2025.07.31
アクティオの災害対応 令和6年能登半島地震【2】若手社員、それぞれの思い 令和6年能登半島地震でのアクティオの災害対応を伝えるシリーズ。今回は、現地災害対策本部が置かれた金沢湊営業所の若手社員を中心に話を聞いた。自主的に出社した社員たちの対応、能登に追い打ちをかけた9月の豪雨災害における取り組み、復興への思いなどを語ってもらった。

地震発生後、自主的に出社した社員たち
アクティオの一般的な営業所には所長をはじめ、営業、フロント、業務、事務のスタッフが配置されている。営業と事務の職務は世間一般に認識されている通りで、フロントは注文に対する最適な商品選定や効率的な運送管理、機械運用を主とする窓口、業務は機械の整備・修理や安全管理等を行う職種だ。
令和6年能登半島地震の発生以降、震災対応の拠点となる金沢湊営業所のスタッフは職種にかかわらず多忙を極めている。今回は営業、フロント、業務の若手4名に集まってもらい、話を聞いた。
金沢湊営業所は2023年12月に開設されたばかりで、その後すぐに大きな災害が発生した。まだまだ手探り状態だった中での震災対応。若手社員はどのように対応していったのか? まずは1月1日から数日間の、自身や営業所の動きを聞いた。若手リーダー格の岡山拓也営業主査は次のように話す。
岡山「1月1日、私は家族と白山市にいました。揺れましたね。私は能登半島の穴水町(あなみずまち)出身で、穴水に電話したら姉の声が震えていて......。電話でも緊張感が伝わってきました。会社の安全アプリで無事を報告した後、当時の勤務先だった金沢白山営業所に1月2日に出社しました。1月5日まで休みだったのですが、お客様からの問い合わせもあり、機械の積み込みや足りない物資の補充などを行いました」
金沢湊営業所の岡山拓也営業主査
フロントの荒木胤生は、4人の中で最も若手で2023年入社の社員だ。
荒木「私は北海道の祖母の家にいました。北海道も少し揺れて、津波警報も出ました。実はコロナ禍で成人式ができなかったので、今回は長めに休みをもらって成人式に出た後で、石川県に戻ったのは1月10日。営業の岡山主査は2日に出社しているし、自分だけ長く休んでしまって良かったのかとモヤモヤしていたら、1月16日、金沢白山営業所から金沢湊営業所に異動が決まって......。フロントとしてのスキルはさほどないですが、積極的に電話に出て、対応にあたりました」
金沢湊営業所 フロント担当の荒木胤生
同じくフロントの本田有紀は鳥取県に帰省していた。
本田「地震が起こった際の映像をテレビで見ると、もう気が気じゃなくて......。当時、私は金沢白山営業所に所属していて、所長に連絡したら金沢にいるスタッフで対応するから大丈夫と言われました。でも居ても立ってもいられず、予定よりも1日早く戻って、4日に金沢湊営業所へ応援に行きました。電話がものすごい勢いで鳴って、県外の知らない業者さんとかも多くて、もちろん全部は受けられないので、さばくのが大変でした」
金沢湊営業所 フロント担当の本田有紀
甚大な被害を受けた輪島市。1月1日の地震発生時に輪島にいたスタッフが業務の片矢修太主事だ。
片矢「輪島の祖母の家でごろごろしていたんですよね。1回目の地震の時はさほど危機感はなかったのですが、2回目はヤバいかなと思いました。すぐに避難して、3日間ほど避難所にいました。安全アプリは電波状況のせいか開けず、どうにか電話がつながったので所長に無事を報告。精神的に参っていて難しい面もありましたが、被災地にいたのは私だけだったので、できるだけ写真などを撮って状況を伝えようと思いました」
金沢湊営業所 業務担当の片矢修太主事
全国から機材を迅速に調達。アクティオならではの広域レンタル
震災直後、全国から応援の社員が終結し災害対応が行われた。対応が進むにつれ、現場で陣頭指揮を執った金沢湊営業所の高松陽介所長は「もっとチームとして団結していくために、主となる正メンバーの固定が必要だ」と考えるようになる。
同所長は、応援に来ていた若手の中から、岡山、本田、荒木の3人の名を挙げて支社長、支店長に強く進言した。
高松「いずれもまだ若いのですが、非常に責任感が強く、高い向上心を持っていました。加えてコミュニケーション能力が高く、ストレス耐性のあるメンバーです。今までにない忙しさで殺伐とした状況が続く中、震災対応を円滑に進める上で彼らの力は必要不可欠だと感じました」
こうして金沢湊営業所への人事異動が発令され、既存メンバーの片矢を含めた若手4人が、震災対応の主軸となっていく。4人が震災対応で得たこと、感じたこととは何だったのだろうか?
岡山「アクティオは広域レンタルなので、全国から機材を集めることができます。金沢湊営業所の在庫だけでは当然足りないので、本社の方たちがネットワークを活かして集めてくださり、広域レンタルの他社さんに負けないスピードで調達できました。お客様から、アクティオに頼めばどうにかなる、アクティオは断らないね! と言われたのがうれしかったですね」
荒木「能登半島に向かう道が崩壊し、機材を調達できても現地へ迅速に届けられない歯がゆさがありました。春になり輪島へ行った時、焼け跡の朝市通りで、思い出の品を探している方を見かけました。この人たちのために頑張りたい。それが原動力になっています。事情で商品をお届けできなかったり、遊びじゃないんだよ! と怒鳴られたりすることもあります。フロントは矢面に立たされる場面も多いですが、輪島で見た光景を思い出し、頑張っています」
本田「私は7月1日に金沢湊営業所へ異動になりました。7月になってからもまだ、機械を手配しようにも物がない状態が続きました。コレがないとフロントの私が上司に相談すると、すぐに本社に連絡して繁忙期でも機械を届けてくれる。グループ会社の皆さんも最優先で出してくれる。この対応力は、社員ながら驚きました」
片矢「震災当初は重機よりもライフラインに関する商品を現地に届けるのが最優先でした。とにかく仮設トイレをトラックに積み込んでいた印象が強いですね」
穴水町出身の岡山営業主査は、金沢白山営業所時代、金沢、白山、小松方面が営業担当エリアで、能登方面へ営業に行くことはなく、今回の震災を機に、少しずつ地元の会社の方と取り引きができるようになったと話す。
岡山「能登地域は地元のつながりを大切にする会社が多いため、急に広域レンタルを行うアクティオが行っても、レンタルしてもらえるという状況ではありませんでした。私がお客様に誠心誠意伝えたのは、"皆さんの力になりたい"という思いです。全国から機械を集めて、お客様の仕事を止めないように尽力します! という思いが徐々に伝わり、仕事がもらえるようになりました」
岡山営業主査の努力が実り、新たに取り引きが始まったお客様は40社にも上る。今では「アクティオさん、能登に来てくれてありがとう!」と言われる存在になったのだ。
能登に追い打ちをかけた豪雨災害。4tダンプや重機などを供給
震災復旧が少し落ち着いた9月、今度は豪雨が能登を襲った。その時の対応を聞いた。
荒木「能登の豪雨で全ての河川が氾濫しました。9月までの間に復旧も進み、金沢湊営業所も少し落ち着いて、多少早く帰れるようになった矢先の出来事でした。とにかく林業機械の注文がすごく多かったです。土砂でなぎ倒された木の処理に必要だったんですね。こんな機械があるんだ、アクティオはこんなに持っているんだと驚きました」
能登半島の随所で氾濫した河川の復旧作業が行われている
本田「金沢湊営業所に異動になった頃は、震災後の復旧で解体現場がメインだったので、いわゆるフォーク付きのバックホーがよく出ていました。それが豪雨以降、4tダンプとバックホーのセット、軽トラとポリタンクと高圧洗浄機のセットに注文が集中しました。解体現場で使われていたバックホーはボロボロになって返ってくるので、すぐにはレンタルできないため、業務の片矢主事と連携しながら、ここにある在庫を整備して、いかに効率よく回せるかに注力したのを覚えています」
フロントは事務との連携も多い。右は事務担当の大村紗代
片矢「震災の時よりも豪雨の方がダメージが大きかった気がします。震災と豪雨では出る機械の種類が変わりました。重機が大量に戻ってくると、置く場所も工夫しなければなりません。重機を扱える業務員は限られているので、そのやりくりも必要でした」
岡山「とにかく4tダンプと重機の注文が多かったですね。7t、11tのキャリアダンプなんて、普段は金沢で出ないですから。金沢は建築系の仕事が多いですからね。豪雨災害の対応で、デジタルサイネージも随分と出ました」
穴水町出身の岡山営業主査、輪島で被災した片矢主事、1月中旬に異動してきた荒木、そして7月に異動してきた本田。金沢湊営業所で今も奮闘する彼らに、復興に対するそれぞれの思いを聞いた。
岡山「できることならば、輪島にできた出張所の所長になりたいと思っています。チームをまとめられるように早く成長して、能登の復興に尽力したいです。結果として会社に貢献し、石川県でナンバー1の建機レンタル会社を目指します」
2025年3月に開設された能登出張所
片矢「現地で避難所生活を3日ほど体験しただけに、現地の方の気持ちは分かっているつもりです。できるだけ早く復興できるよう、能登出張所の業務員と連携しながら、切れ目のない機械供給を心がけたいです」
本田「フロントは営業所の司令塔だと思っています。弊社は男性が多い会社ではありますが、女性でもここまでできる! という姿を全国の社員に見てもらいたいです。フロントとして復興を盛り上げていきたいと思います」
荒木「僕たちが金沢湊営業所で頑張れるのは、ほかの営業所、事業部、工場、グループ会社、運送会社さんなど、多くの方の協力があるからです。そういった方々への感謝の気持ちを忘れずに仕事を行うとともに、人から頼られる、困っている人を助けられる人を目指して、一歩ずつ頑張っていきたいと思います」
若手スタッフを率いる高松所長は次のように話す。
高松「心身共に疲弊する環境の中でも、皆は高いコミュニケーション能力を発揮して、応援者のチームを活性化してくれました。そのモチベーションを維持し続ける強い精神力には感嘆するばかりです。震災対応は今後も長期化が予想されていて、先の見えない不安もあります。責任感と向上心を兼ね備えた若手メンバーと共に、能登の復興に向けて頑張っていきたいと考えています」
最終回となる次回は、輪島で被災した建設会社との連携についてお伝えしたい。
※記事の情報は2025年3月末日時点のものです。
【3】へ続く
〈ご参考までに...〉
● アクティオの強み「災害への備えと迅速な対応」(アクティオ公式サイト)
● 簡易水洗トイレ(アクティオ公式サイト)
● 発電・溶接・照明機器(アクティオ公式サイト)
● 林業機械(アクティオ公式サイト)
● 2~4tダンプ(アクティオ公式サイト)
● 軽ダンプ4WD・軽トラック(アクティオ公式サイト)
● 高圧洗浄機(Zワッシャー)(アクティオ公式サイト)
● キャリアダンプ(アクティオ公式サイト)
● デジタルサイネージ(アクティオ公式サイト)