アクティオの防災
2020.01.21
アクティオの防災 中国地方での取り組み 常に大量の機械や資材を保有する建機レンタル企業は、災害時の復旧作業に大きな力を発揮してきた。建機レンタル最大手のアクティオは、今や消防や自衛隊と並ぶほど、災害復旧には欠かせない存在となっている。今回は2018年7月に中国地方を中心に大きな被害を出した、平成30年7月豪雨でのアクティオの対応をご紹介する。
中国地方を襲った豪雨
中国地方は、気候も温暖で、災害も比較的少ないというイメージを持つ人も多い。しかし、実際には、過去、台風などによって大きな土砂災害を起こした地域がいくつもある。瀬戸内周辺には花崗岩が多く分布しているが、風化した花崗岩は水を吸いやすいため、土砂災害を起こしやすいのだ。
2018年、中国地方を夏の豪雨が襲った。「平成30年7月豪雨」だ。大量の雨がもたらした災害に、アクティオがどう対処したのか、キーマン2名に語ってもらった。
中国支店 支店長 小櫻勝彦
現地対策本部の司令塔として、災害対策の指揮をとった。
中国支店 営業課 課長 井上純次
軌陸機械の専門家として、鉄道インフラの復旧をサポート。
土砂災害が同時多発
2018年6月28日に降り始めた大雨は、7月に入っても止む気配はなく、10日の間降り続いた。広島県、岡山県の一部では、期間中の総雨量が500mmを大きく超える地区が続出。そして、同時多発的に土砂災害が発生してしまった。
小櫻勝彦(中国支店 支店長):最初に災害が発生したのは7月6日でした。ちょうど岡山に営業に行く予定があって山陽道を通る予定だったのですが、通行止めになりました。翌日7日も雨が止むことがなく、各ブロック長に「緊急時に備えろ」という指示を出していました。8日に入って岡山の高梁川と小田川が決壊しまして、当社にも重機の要請が入ってきました。そして、次第に電話が鳴り止まない状況になっていったのです。これは大きな被害が出ているな、と感じました。
井上純次(中国支店 営業課 課長):私は鉄道関連を専門に仕事をしています。鉄道は交通インフラとして、被災するといち早い復旧が求められますので、すでに7月6日の時点で電話が鳴りっぱなしの状態でした。殺到する問い合わせへの対応に追われていましたね。
災害時のレンサルティング
降り続く雨、鳴り止まない問い合わせの電話。自治体のニーズを的確にすくい上げ、迅速に支援することが求められた。アクティオには、災害時の豊富な経験が蓄積されている。今回は、さっそく初動の段階で、その経験値が活きることになった。災害時におけるアクティオのレンサルティングの一端を語ってもらった。
小櫻:当社では、各地の企業様、自治体様と災害協定を結んでいます。災害時に優先的に機材をお出しする契約です。まず、災害協定を結んでいただいている地域に入って、被害状況を確認するとともに、当社で手伝えることは何か、役所に相談にうかがいました。すると、土砂災害や河川の氾濫被害が広範囲で出ていることが分かりました。
私どもは、阪神淡路大震災の頃から、災害への経験を積み重ねてきています。今回は、自治体のご要望をお聞きすることはもちろん、我々の経験から「こういう商品がありますが、必要ありませんか?」「あるいは、こういうことができますよ」という提案を積極的に行いました。
井上:建設会社のお客様であれば機械のことに詳しいのですが、行政の方々ですと機械については、あまり詳しくありません。ですから、注文を受けた時に、その機械で何をしたいのか、どこをどう解消したいのか、ということをうかがって、それに最も適した機械を提案することが重要でした。
小櫻:例えば、生活に必要なトイレ、あとは電気関係、広島では土砂災害が多かったので、重機、ダンプですね。それと豪雨が開けると猛暑が続きました。避難所にも多くの方がいらっしゃいますし、自衛隊の方々も3万人近く派遣されて宿舎に泊まられています。そこにスポットクーラーとか、扇風機を納入しました。スポットクーラーは500台近く納入しましたね。
井上:発災からしばらくすると、全国から大量の救援物資が届きます。その中には、冷凍食品も多く含まれていましたので、その保存に大量の保冷庫が必要だというご相談がありました。これには、運送で使われる大型の保冷車をご提案しました。これなら、保冷車に貯蔵してそのまま各地へ配送できるわけです。あとは、仮設トイレ用の水のポリタンクを回収に行った時、まだ水が残っているタンクがあったんですよ。それを集めて、まだ断水している地域のボランティアの方に渡して役立ててもらったりしました。
小櫻:現地では人手不足で、なおかつ災害にも慣れていない、ということがありまして、我々の経験がお役に立ったと思います。被災地の方々には喜んでいただけました。
道路が寸断・重機が運べない
土砂災害で道路は寸断。平時とはまったく道路事情が異なる中、重機や機材の配送は困難を極めた。
小櫻:道路も寸断され、高速道路や主要国道も土砂災害がありまして、商品の配送も大変でした。配送業者に依頼して配送してもらっても、1便出たらなかなか戻ってこない、という状況が続きました。これでは配送業者に頼るだけでは難しいと判断し、運べるものは社員が配送対応しました。私自身も広島で一番被害が大きかった坂町に、車両と重機をお届けにあがりました。通常30分でお届けできるところが4~5時間かかってしまいました。
井上:やっとのことで商品をお届けすると、すぐ次の配送が待っていて、ひとつずつこなすので精一杯でしたね。
小櫻:配送に関しては、ベテラン社員がずいぶん活躍しました。彼らは重機の運搬ひとつとってもいろいろと経験を積んでいます。自分がどういうふうに行動すれば迅速に対応できるかということを、肌で分かっているんです。応援に来てくれた社員も、昼夜問わず配送に走り回ってもらい、本当に感謝しています。
本社の災害対策本部が司令塔に
同時多発した土砂災害で、膨大な数の重機が一遍に必要になった。全国から迅速に重機を調達するため、本社に災害対策本部が設けられた。
小櫻:今回、発災直後に本社で災害本部を立ち上げていただき、中国支店は現地対策本部の位置づけで連携しました。当然現地だけでは、レンタルする重機や機械、資材などは足りないわけです。そこで本社からトップダウンで全国の拠点に号令をかけてもらいました。その結果、約30億円分のレンタル資産を中国方面に供給してもらえたのです。発災から2~3日後には、機械が続々と入ってきました。
井上:発災直後の7月7日の時点で本社に状況を伝えて、これから軌陸車や軌陸ダンプの需要が増えるためなんとか回してほしいと要望したんです。そうしたら翌8日の夜にはこちらに第1陣、4台が納入されました。災害時には何をおいても最優先に動こうというスピード感が頼もしかったですね。災害のご相談に関してはお断りせず、全て受けていましたので、商品を迅速に集めることができたというのは非常に強かったと思います。
小櫻:アクティオは、被災地に対する全国的な協力体制がしっかり整っているんです。今回も発災直後に全国から20名の応援が駆けつけてくれましたし、レンタル資産も集中的かつ迅速に投入してもらえました。
そのことで、災害協定締結先はもちろん、それ以外のお客様にも対応できました。先ほどお話しした500台のスポットクーラーが調達できたのもそのおかげです。アクティオの組織力のすごさを実感しましたね。
復旧・復興はこれから
大規模災害は発災直後の緊急対応が済んでも、復旧、復興に長い時間がかかる。平成30年7月豪雨被害も復興の道半ばだ。
小櫻:今、復旧と復興工事が行われています。発災直後の緊急対応後、しばらくは災害の後始末が続きますのでそれらに対しても、しっかりと商品提供していきたいと思っています。
井上:鉄道が、たとえ徐行運転であったとしても、復旧したニュースを知ると非常にうれしくなります。できることは限られていますけれど、自分たちが動くことで一般市民の皆様の助けになれたというのは、励みになります。
建機レンタルだからこそできる災害対応
建機レンタル最大手のアクティオ。保有機械の物量、機械調達の全国ネットワーク、訓練された機動力が災害時に活きてくる。さらに災害協定という仕組みを通じて、確実な支援が可能になっている。今回は平成30年7月豪雨で大きな被害を受けた、中国地方の例をご紹介した。次回は北海道胆振東部地震での災害対応を取り上げる。
※記事の情報は2020年1月21日時点のものです。
〈ご参考までに...〉
● スポットエアコン(スポットクーラー)(アクティオ公式サイト)
● 軌陸ダンプ(アクティオ公式サイト)
● 商品案内(発電・溶接・照明機器)(アクティオ公式サイト)