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2025.01.21
風力発電関連事業を多角的に支援 風の力でタービンを回し、そのエネルギーを電気に変える風力発電。設置場所は風が強い山間部や高原などの陸上、もしくは海の上の洋上だ。アクティオはSDGsの目標達成に向けて、社会の課題解決に取り組んでいる。ここでは再生可能エネルギーのひとつである風力発電関連事業の一端を紹介したい。
着実に導入実績を伸ばす風力発電
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの導入拡大が急務となっている。日本では再生可能エネルギーのうち、太陽光発電は急速に導入が進んだが、そのほかは以前から普及していた水力発電を除き、一歩も二歩も遅れているのが現状だ。
■再生可能エネルギーの導入状況
そのような中で、着実に導入実績を伸ばしている再生可能エネルギー、それが風力発電だ。
■日本の風力発電導入量(暦年)
風力発電の風車は昨今、効率よく発電できるように大型化、高層化が進んでいる。黎明期の2000年頃は一基あたりの発電量は1MWであったが、2010年には2MW、2020年には2.7MW、2023年には3.8MWまで風車サイズが大型化し、単基出力が増加しているのだ。
■新設風車の平均サイズの推移
大型風車用タワークレーンを開発
風車の大型化、高層化が進むと、建設工事におけるさまざまなセクションで課題が生じる。とりわけネックになるのは資材の輸送、そして揚重作業だ。
森林への環境負荷をできるだけ低減するため、使用するクレーンはブームが伸縮可能なオールテレーンクレーンがメインだ。3MW以上の風車建設には国内最大の1,200tオールテレーンクレーンが必要になるが、更なる風車サイズの大型化・高層化に対応するためには、能力的に不足する可能性もある。
確かに、発電効率を考えれば超大型風車(6MW超やハブ高*1120m超の風車)が有利だが、景観や輸送がネックになりやすいのは事実。よって現状では6MW級、ハブ高100~115mの大型風車の需要が高い。しかしこのクラスでもなお、1,200tオールテレーンクレーンの販売は既に終了しているため、増車が難しく、高まる風力発電の需要に応えられないのが現状だ。
*1 ハブ高:地上から風車の軸までの距離。
オールテレーンクレーンの機動性とコスト感を持ちつつ、十分な楊重能力と高層化に対応できる機種はないものか......。そこで東光電気工事株式会社、株式会社TAリフト、株式会社北川鉄工所、株式会社アクティオの4社共同で開発したのが、風車用タワークレーン「JCW1250」である。
JCW1250の最大の特徴は足元、つまり基礎部分にある。タワークレーンの多くは杭基礎を採用しているが、JCW1250はクロスベース*2構造だ。一辺約23mの足を十字に置くだけで、その上にそびえたつタワー高さ約80m、最大作業高さ130m、最大吊能力95tのタワークレーンを支えているのだ。
*2 クロスベース:クレーンのベース架台の名称。
クロスベース構造のベースフレームは、ハサミのようにたためるため輸送もしやすい。また、JCW1250 1台に対してクロスベースを2セット用意すれば、次サイトの設置に先行してクロスベースを組み立てられるため、作業時間が短縮できるというメリットもある。
JCW1250の初回搬入はトラックをメインにし、トレーラーは15台程度で済む。サイト間の移動はオペレーション室とジブ部分の上部ユニット、開閉機構を備えた下部ユニットはそれぞれ一体で輸送。その輸送には風車運搬で使用する車両をそのまま活用するため、無駄がない。
JCW1250の最小作業半径は12.5mで、1,200tオールテレーンクレーンの約22mよりもサイト面積*3を削減することができる。この機動力の高いJCW1250が、6MW級の大型風車建設に大いに役立つのは間違いない。
*3 サイト面積:風車の建設に必要な工事面積。
建設中の発電機もカーボンニュートラルに
風車用タワークレーン「JCW1250」の導入に欠かせないのが建設時に使用する発電機である。最低でも600kVAクラスの発電機が必要だ。
アクティオは、2023年4月から、次世代バイオディーゼル燃料「サステオ」を使用したタワークレーン用発電機のレンタルを行っている。
サステオは、株式会社ユーグレナが製造・販売する燃料で、使用済み食用油を主としたバイオマス(生物資源)が原料だ。燃料の燃焼段階でCO2を排出するが、使用済み食用油の原材料である植物や微細藻類ユーグレナは光合成でCO2を吸収するため、燃料使用時に発生するCO2の排出量が実質的にはプラスマイナスゼロとなり、カーボンニュートラルへの貢献が期待されている。
なお、サステオを使用したタワークレーン用発電機は、東光電気工事株式会社が建設を担当したJRE宮城加美風力発電建設工事現場において、使用された実績を持つ(ニュースリリースはこちら)。
送電線建設用のクレーンを新たに導入
発電した電気は、送電網を通って変電設備に送電される。送電線の鉄塔建設工事は、1990年頃から1996年頃にかけて数多く行われた。施工会社が当時から保有しているクレーンは老朽化が進んでいるのが現状だ。一方で2022年以降、東北地方と東京間を結ぶ送電線工事(鉄塔の新設・建替工事)が増加しているため、アクティオは2024年3月、新型の「クライミングクレーン」「ジブクレーン」を導入した。
今回導入した「クライミングクレーン」は、送電線の鉄塔を建てるための専用クレーンだ。従来のマストよりも剛性をアップし、最大自立高さは28m、最大設置高さは150mまで対応できる。
「ジブクレーン」は、深礎基礎工事・資機材運搬等で長期間必要不可欠なクレーン。従来機と違い、ディーゼルエンジンを搭載しているため、仮設発電機が不要となるのが特長だ。操作は操縦席からに加え、無線リモコンで遠隔操作する方法も選べる。
保守管理に役立つ製品もラインナップ
風力発電機で使用する風車ブレード(羽根)内部の点検は、2~3年に1度と定められている。ブレード内部は空洞になっているが、その中に作業者が入り目視による点検が一般的に行われている。ブレード内部の空間は天井が低く、狭い。作業者は屈んだ格好での点検を強いられるため、肉体的にも精神的にもつらい作業だ。
そんな点検作業の負担を軽減するために開発されたのが、「パイプクローラー」である。長さ440mm、重量15kgのコンパクトなボディーに、カメラとライトを搭載。全長200mのケーブルを通じて、コントローラーから遠隔操作により点検を行うのだ。
風力発電設備の点検を行う際、場合によっては現地までの導線を確保するため草刈りが必要だ。そんな時に重宝するのが「ラジコン草刈機」である。写真の「神刈RJ700」は幅1,110mm、重量360kgとコンパクトな設計のため、現地まで大型ワゴン車で運搬可能。草刈中はエンジン、走行はモーターのハイブリッド仕様で、環境に優しいのも魅力だ。
風力発電機や送電線鉄塔などの傾斜監視に威力を発揮するのが、傾斜監視クラウドシステム「OKIPPA104」だ。
これはセンサーボックスだけで始められる手軽で安価な監視・管理システムで、通信方式はIoTに適したLPWA(Low Power Wide Area)を採用。従来の監視・管理システムのような電源設備も配線も基地局も必要なく、動力源は2年間も交換不要(1時間に1回の送信モード時)な電池のみ。現場に出向かなくてもPCやスマホで傾斜角度データ、設置位置、現在の向きや姿勢が確認できるのだ。
アクティオは風力発電機や送電線鉄塔の建設、さらにそれらの保守管理までをサポートする体制を整えており、今後もレンサルティングのノウハウを活かし、生産性を向上させる製品やサービスを提供する予定だ。
▼風車建設用タワークレーン JCW1250
※記事の情報は2025年1月21日時点のものです。
〈ご参考までに...〉
● 風車建設用タワークレーン(アクティオ公式サイト)
● バイオディーゼル燃料専用発電機(アクティオ公式サイト)
● 送電線鉄塔建設用クライミングクレーン(アクティオ公式サイト)
● 送電線鉄塔建設用ジブクレーン(アクティオ公式サイト)
● パイプクローラー(アクティオ公式サイト)
● ラジコン草刈機(自走式草刈機 遠隔式)(アクティオ公式サイト)
● 事業分野紹介「送電線分野」(アクティオ公式サイト)
● 事業分野紹介「パワーシステム分野」(アクティオ公式サイト)