アクティオクオリティ
2023.09.01
岩手で誕生した若手所長と、フロントとして活躍する女性たち〈支店探訪:東北支店 4 〉 アクティオの各支店や営業所を訪ね、スタッフへのインタビューを通して"現場の今"をお届けする支店探訪シリーズ。前回は東北支店の宮城と福島ブロックを取材した。今回も引き続き東北支店にスポットを当て、岩手と秋田ブロックで活躍するスタッフを紹介する。
若い力で新風を吹き込む
本州の北東部に位置し、東西約122km、南北約189kmと南北に長い楕円形で、北海道に次ぐ1万5,275.01km2という面積を有する岩手県。アクティオは岩手県内に10の営業所を構えており、それらを統括しているのが藏田拓実岩手ブロック長だ。まずは藏田岩手ブロック長に現況を聞いた。
藏田「岩手は沿岸部と内陸部にざっくり分けられるのですが、沿岸部は震災特需も終わり、公共・民間の比較的小規模な案件をコツコツと積み上げていく局面になっています。いっぽう内陸部は民間の大型案件が複数動いています。こちらも公共事業の方は若干出方が鈍い状況なのですが、岩手県全体で見れば、まだまだ伸び代はあると思います」
そのような状況の岩手ブロックに、30代の若手営業所所長が2名誕生した。営業所所長といえば、岩手ブロックではベテラン社員が務めることが普通だった。
藏田「実は私もかつて30代で大船渡営業所の所長になったので、初ではないのですが、ほぼ同時に2名の30代所長が誕生したのはレアケースだと思います。2人とも非常に優秀で、1年間、所長代理を経験し、その仕事ぶりを見て"いける"と確信が持てたので、所長に任命しました」
東北支店では、多くの権限がブロック長に委譲されている。人事権がそのひとつで、戸澤正治東北支店長はブロック長が決めた人事を尊重し、覆されることはまずない。
互いに切磋琢磨して高め合う
こうして誕生した若所長が、気仙沼営業所*1の阿部靖弘所長と盛岡営業所の簗田伸一所長である。実は2人は偶然にも同期入社で、同じ大学出身という間柄だ。まずは阿部所長に話を聞いた。
*1 気仙沼営業所:気仙沼市は宮城県だが、地理的な事情から同営業所は岩手ブロックに組み込まれている。
阿部「私は最初、東京営業所に配属になり、その後、羽田営業所に異動。2011年に東日本大震災が発生し、その翌年、仙台営業所に異動となりました。東北は震災復興で猫の手も借りたいほど忙しく、応援要請があったので手を挙げました。私は仙台市の北東側に位置する多賀城市の出身なので、地元のために尽くしたいという思いもありました。その後、昨年1月に気仙沼営業所に異動になり、1年間、所長代理を担当して、今年、気仙沼所長を拝命した次第です」
いっぽう、簗田所長はどんなアクティオ人生を歩んできたのだろうか?
簗田「私は仙台西多賀営業所を皮切りに、東日本大震災が起きる4カ月前に福島の郡山営業所に異動。5、6年在籍した後、岩手の盛岡営業所に移りました。盛岡は私の地元です。昨年5月に所長代理になり、1年間勉強して、今年、所長になりました」
岩手県の沿岸部と内陸部に誕生した30代所長に、それぞれの具体的な取り組みを聞いた。
阿部「まず社内では、できるだけコミュニケーションを取るように心がけています。1日の中で、今いる7名のスタッフ全員が顔を合わせる機会は朝礼くらいしかないんです。朝礼後に一人ひとりに声を掛けて、とにかく話し合うようにしています。気仙沼は復興需要がなくなり、地元のお客様に特化した営業を行う中で、やはりお客様のところに通って、とにかく通って、コミュニケーションを取らないと信頼関係が築けないんですよね。今はその時期です。多くのお客様は地場の競合他社とのつながりが深いため、アクティオならではの組織力を生かして、新しい商品のデモや困り事の対応策提案などを行っています」
地域との関係強化に向け、個人の地道な活動も怠らない。
阿部「私自身は地域の中学校にお願いして、建機レンタルの重要性等についての授業を行っています。子どもたちの誰かが将来、アクティオや建機レンタルのことを思い出してくれれば、それが地域とアクティオの関係強化につながる、そう考えて地道に活動しています」
盛岡営業所も同様に、スタッフ同士の相談や報告を大切にしている。
簗田「盛岡営業所のスタッフは11名で、私は年齢が下から4番目なんですよ。年上のスタッフをまとめるためには、日々の言動なり、行動が伴っていないと難しいですよね。あとは先輩後輩関係なく、相談されたことに対して、何らかのアドバイスをしたとします。それに対して、結果の報告は必ず求めています。その確認方法には気を遣いつつ......。お客様の業種は土木も建築もあり、幅広いと思います。盛岡営業所は岩手ブロックの中核的な営業所だと思っていますので、気を抜けませんね」
2人とも若い所長だけあって、コミュニケーションの取り方をかなり意識しているのが伝わってくる。それは目先の人間関係だけではなく、もっと先の組織づくりや人材育成を見据えてのことだ。
阿部「アクティオは全国展開している企業なので、どこに異動になっても通用する人材になってほしいという思いはあります。職種に関係なく、スキルを磨き上げてほしい。その手助けができればと思いながら、スタッフと接しています」
簗田「私も同じような考えです。アクティオで働くなら盛岡営業所で働きたい。私と一緒に仕事したいと思ってもらえるような関係、組織をつくりたいと思っています。仲良くなるだけでは駄目で、やることをちゃんとやって、決められたルールの中で生き生きと、みんな必要なスキルを身につけて......というのが理想です」
4名の女性がフロント職として活躍
アクティオの営業所は、所長をはじめ、営業、フロント*2、業務*3、そして事務という各担当で構成されている。岩手ブロックで特に注目したいのがフロントだ。
フロントは機械の手配をするのが主な仕事である。フロント職は、アクティオでは「ホテルのフロントマンのように、その人に聞けば何でも分かる存在であれ」とされる。お客様の注文に応え、営業所に整備済みの在庫があれば出荷を手配してお客様に間違いなく届ける。機械が未整備の場合は業務に作業を依頼。まったく在庫がない場合は、近隣の工場や営業所などに在庫を確認し、とにかく出荷できる機械を探す。
機械の問い合わせはお客様からだけではなく、営業担当やほかの営業所からも寄せられるため、多忙を極める。機械の知識も必要なため、経験の長い社員が務めることが多い。岩手ブロックでは2022年、このフロント職に相次いで4名の女性が起用され、仕事を任されている。フロント職に女性を抜擢した狙いを藏田岩手ブロック長に聞いた。
*2 フロント:お客様のご注文に対する最適な商品選定や効率的な運送管理、機械運用を主とする営業拠点の窓口。
*3 業務:機械の整備・修理や安全管理等を行う職種。
藏田「女性だからということではなく、この4人が、お客様に本当に親身になって対応できる人材だから、起用したのです。実際にお客様にも、電話越しにその姿勢が伝わっているようです。女性は機械に対して苦手意識があるような先入観を持たれがちですが、岩手ブロックの4人は東日本大震災の復興で言葉にはできない忙しさを経験していますから、フロント職として必ず通用すると確信していました」
そうはいっても、フロント職を命じられた女性たちの本心はどうなのだろうか。そして、仕事に邁進する中でどのような時に喜びを感じるのか。盛岡南営業所の渡部睦、宮古営業所の佐藤彩、大船渡営業所の菊池恭子、気仙沼営業所の三浦紗耶に話を聞いた。
渡部「事務担当だとしても、もともと、忙しい時はフロントを手伝うこともあります。だったらフロントに専念できた方がいいと思っています。以前から私はフロントをやりたいと言っていましたし、性に合っていますね。やりがいを感じるのは、例えばお客様から午後に電話をいただいて『この機械を明日の午前中までに欲しい』とご要望をいただくけど、その機械がここにはない時。それからあちこち探して、何とかお客様にその機械を送り届けて『さすがアクティオさんやってくれるね』と言われた時、『よしっ』と感じます」
菊池「私も、営業所で2人で事務をやっていた時に、もう1人の方が事務のメインで、もともと私はフロント寄りの仕事をしていたので、仕事はフロントになった今もあまり変わりません。お客様にご負担をかけないよう在庫に気を配るなど、難しいことも多いですが、日常的にお客様と接することで『ありがとう』と言われて元気をいただくこと、これがやりがいです」
佐藤「フロント職になって間もない頃、ある工場建て直しの現場向けに見積もりを出して、受注ができた時はうれしかったですね。お客様の監督さんが女性の方で、こちらがレスポンス良く対応してきたことと、ハウスの中の配線の整理など細かいところに気づく様子に、同じ女性同士、共感していただいたのかもしれません。もちろん私だけではなく所長や営業マンの努力があってこそなのですが、『やったー!』と思いました。営業所は人手が少ないので、受注後も商品を届けたり引き取ったり、今でも私が現場に出向いています」
三浦「私は、以前は道路機械事業部に所属して事務職を担当していました。以前と今の営業所では取り扱う機械が違うので、初めは戸惑いましたが、やってみるとフロント職はとても魅力的です。ただ、お客様とアクティオで機械の呼び名が違うなど未だに分からないこともあって、完璧を求めたいのに、完璧にできずに悩むこともあります。それでもお客様からいただく『助かった』とか『対応早いね』などのお言葉ひとつで、自分のモチベーションは上がっていきます」
4人とも、確かに機械の知識を覚えるなど大変な面もあったが、フロント職そのものには抵抗がなく、むしろお客様と営業マン、業務担当と話しながら仕事をする今の職務に大きな魅力を感じていると口をそろえる。ちなみに、盛岡南営業所の渡部には先輩のフロントがいるが、ほかの3名は営業所内のフロント業務を1人で切り盛りしている。
彼女たちを突き動かす原動力、それはお客様からいただく「ありがとう」の一言である。お客様のご要望に的確かつスピーディーにお応えするため、いかに効率よく機械を調達・提供するか。そこがフロント職の腕の見せどころなのである。
次回は北上営業所を訪ね、岩手ブロックの売り上げの柱となっている案件を掘り下げたい。
※記事の情報は2023年9月1日時点のものです。
※2024年1月の組織改編に伴い「岩手ブロック」は「岩手支店」に、「支店」は「支社」に改編されています。