2023.07.11

道路や鉄道のインフラを守る──道路機械事業部と鉄道事業部〈東京DLセンター紹介4〉 シリーズ4回目は、レンサルティング本部の中で交通インフラに深く関わる、道路機械事業部と鉄道事業部を紹介する。

道路や鉄道のインフラを守る──道路機械事業部と鉄道事業部〈東京DLセンター紹介4〉

道路機械事業部
近年はICTや安全対策にも注力

道路舗装工事に必要な機械の提供を行うのが道路機械事業部だ。重機に加え、ICT施工関連、安全対策商品、保安用品がメイン商材である。今関政美事業部長、ICTサポート課の営業担当 山本来実、安田勇介営業主査、道路メンテナンス課の業務担当 小岩海斗に話を聞いた。


今関「今、道路を含め建設業界が置かれている状況としては、やはり少子高齢化の影響で働き手が少ないということが言えます。加えていわゆる「3K」のイメージがまだあるので、若い人がなかなか入ってこないという課題があります。ある現場の事例ですが、職人が集められなくて工期に間に合わず、何か手立てがないかと相談され、ICT施工を提案しました。マシンコントロールによって、整地作業を行ったんですね。これにより、従来であれば10人ぐらいの職人さんが必要だったのに対して5人で済み、工期も守れたと喜ばれました」


道路機械事業部 今関政美事業部長道路機械事業部 今関政美事業部長


確かにICT施工は建設業界に生産性の面で革命をもたらしたが、注意すべき点もあるという。


今関「職人さんたちはプライドを持って作業されていますし、まだまだその技は必要です。例えば、整地をマシンコントロールで行う場合、確かにブレードの高さは制御されますが、重機の操作を行うのはオペレーターさんです。技量が問われる作業のため、誰が操作しても高い生産性を担保できるわけではありません」


道路機械事業部 今関政美事業部長


道路機械事業部の中で、ICTを専門に扱っているのがICTサポート課だ。2022年4月に入社した若手営業担当、山本は「日本で日本人のためになる仕事をしたい」という思いから、就職活動中にインフラ系に興味を持ち、「道路やICT施工の分野で活躍したい」と考えるようになったという。現在はその念願がかなった形で働いている。


山本「主に支店・営業所のサポートに携わっています。公共事業は別として、民間の工事ではICT施工の見積もりを出しても通らないケースが多く、お客様のICTに対する"難しい"といったイメージをいかにして変えるか......。そこが課題だと思っています。ほかには社内・社外のICTセミナー関連ですね。徐々にですが、講師を担当する機会が増えてきました」


道路機械事業部 ICTサポート課 営業担当 山本来実道路機械事業部 ICTサポート課 営業担当 山本来実


ICT施工は道路工事から始まったため、ICT=道路というイメージが強いが、今ではドローンを活用した建築工事、また林業でもICTの普及が進みつつある。今後もICTから目が離せないのは確かだ。


道路機械事業部 ICTサポート課 営業担当 山本来実


いっぽう、道路機械事業部が扱う機械にとって、安全対策商品も欠かせない存在だ。どのような商品があるのか、安田営業主査に聞いた。


安田「フォーエスバックホー、AI監視カメラ EagleEye®Ⅱ、コンバインドローラ用の後付け衝突軽減システムなどが代表商品です。新しい機械、それも既存の重機に後付けできる商品は、評判がいいですね」


道路機械事業部 安田勇介営業主査道路機械事業部 安田勇介営業主査


支店・営業所に対する、こういった商品の取付サポートも重要な仕事である。


安田「今日も茨城県の日立まで行ってきました。営業所の業務担当がバックホーをフォーエスバックホー化する装置・システムの取り付け作業を一緒にやってきました。私の担当は営業なので、道路ゼネコンさんに行ったりすることが多いのですが、こういった技術的なサポートも守備範囲です」


2022年10月に発表したコンバインドローラ用の後付け衝突軽減システム2022年10月に発表したコンバインドローラ用の後付け衝突軽減システム


建機用無線操縦ロボット「アクティブロボSAM」も道路機械事業部が扱う商品のひとつで、重機の遠隔操作を可能にする装置だ。


安田「この手の商品が一般的な現場で使われることはまだまだ少ないですが、国土交通省が発注する工事、また災害復旧の現場では、無線ロボットを使って無人化施工が行われることがあります。そういったシステムの構築もアクティオで可能です」


道路機械事業部 安田勇介営業主査


ICT施工の機器、フォーエスなどの安全対策商品、加えて保安機材の整備も、東京DLセンターで行う。道路メンテナンス課 業務担当の小岩はその難しさを語る。


小岩「取り付けられる重機が違えば、それに取り付ける機械も違う。また精度が求められる商品が多いので、当たり前ですが気が抜けないですね。やはり安全に関わる商品ですから、正常に作動しなかったら一大事ですし。入出庫の点検は特に気を遣います。私たちは"機械は生モノ"と言っているのですが、ここでは正常に作動していても、営業所で取り付けるとエラーが......ということがあります。微妙なアンペアの違いなどが影響したりするので、機械は難しいですね」


道路機械事業部 道路メンテナンス課 業務担当 小岩海斗道路機械事業部 道路メンテナンス課 業務担当 小岩海斗


今関「道路機械事業部が数多く取り扱っている、モーターグレーダーやアスファルトフィニッシャ、タイヤローラといった大型の機械は、テクノパーク統括工場で整備を行っています。東京DLセンターで整備するのは小型の機械、あとは小岩が申し上げたような機械ですね。アスファルト舗装と一口に言っても、一般的な道路で使用される密粒度アスファルト舗装、高速道路で多く使われる排水性アスファルト塗装、道路の温度を下げる遮熱性アスファルト塗装、わだち掘れに強い半たわみ性舗装など、さまざまです。多様であると同時に、道路工事はミリ単位の仕上げ精度が求められる見かけ以上に繊細な工事であり、それだけ機械整備の精度も求められるのです」


路盤の敷きならしを効率良く行える「TSマシンコントロール グレーダー」路盤の敷きならしを効率良く行える「TSマシンコントロール グレーダー」




鉄道事業部
鉄道の保守保全に欠かせない軌陸車

軌道陸上兼用車「軌陸車」は、軌道(線路)も道路も走行可能な車両で、主に鉄道事業に携わる企業が保線工事などに使用する。これを扱っているのが鉄道事業部だ。今回は黒田大士事業部長、鉄道機械営業課の木下優課長、営業担当の上野みのりに話を聞いた。


黒田「鉄道事業部は2013年に発足しました。鉄道事業者、そのパートナー企業に軌陸車をレンタルするのがメインですが、後発で鉄道業界へ参入しています。この業界は非常に狭くて、軌陸車を製造しているメーカーは限られます。つまり、どこから借りても、変わらないんですね。そういった状況の中で、どのようにアクティオならではの特色を出していくのか......。そこが鍵になります」


鉄道事業部 黒田大士事業部長鉄道事業部 黒田大士事業部長


その解決策のひとつが、軌陸車の自社開発だった。


黒田「もともとメーカーから購入してレンタルしていた軌陸ダンプ、軌陸平トラックといった車両を、自社開発にスイッチしました。アクティオの軌陸車は載線・離線がスピーディーに行えるのが特長で、慣れた作業員なら1分ほどで完了します。また省力化、省人化が可能という点でも軌陸車のニーズは高いです」


木下「そうした中で誕生したのが『小型軌陸自動車』です。これは東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)水戸支社と共同開発しました。軽トラックをベースとしているため、狭い踏切でも載線・離線が可能で、最小作業人員は2名なので省人化にもなります」


鉄道事業部 鉄道機械営業課 木下優課長鉄道事業部 鉄道機械営業課 木下優課長


軽トラックをベースにした小型軌陸自動車。活躍するのは軌道の「点検」だ。


黒田「従来は『レールスクーター』と呼ばれるゴーカートのような小型車両で、台風などの災害発生後に軌道点検を行っていました。屋根は付いていますが簡易的なもので、雨風には強いとは言えません。また道路の走行はできないため、これを配送するための車両を別途手配する必要があり、急を要するような作業では人員や配送用車両の確保が難しかったのです。しかし、この小型軌陸自動車ならば現場まで道路を自走でき、たった2名の作業員で軌道点検が行えるわけです」


東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)水戸支社と共同開発した小型軌陸自動車。東京DLセンターに設けられたトレーニングフィールドにて東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)水戸支社と共同開発した小型軌陸自動車。東京DLセンターに設けられたトレーニングフィールドにて


こういったオリジナル軌陸車のほかに、他社と差別化が図れるサービスとして、初日立ち会いがある。


黒田「保線工事作業前に軌陸車の取り扱いに関するトレーニングを行っているのですが、実際に工事を行う初日は立ち会うようにしています。やはり安全に、安心して使っていただきたいですからね」


そのトレーニングを担当しているのが、営業担当の上野だ。


上野「トレーニングには年に1回行う定期的なものと、工事前に行うものがあります。定期的なトレーニングは、春のダイヤ改正に合わせたタイミングで行うことが多いですね。保線工事は終電から始発までの限られた時間で行われることが多いため、時間との闘いです。やはり手際よく終えるためにトレーニングは欠かせません。また万が一、軌陸車にトラブルが発生した場合でも、安全・確実に軌陸車を離線させる脱出訓練も念入りに行います」


鉄道事業部 営業担当 上野みのり鉄道事業部 営業担当 上野みのり


オリジナル軌陸車の開発、初日立ち会い、各種トレーニングなどを行うことで、鉄道事業部は大きく成長した。


黒田「現在は軌陸ダンプ、軌陸平トラック、軌陸高所作業車、軌陸バックホー、軌陸クローラクレーンなど合わせて500台以上を保有、運用しています。事業部発足当初と比較すると、業績は10倍以上になります。今後もレンサルティングを武器に、鉄道事業の安心・安全に陰ながら貢献していきたいですね」


鉄道事業部 黒田大士事業部長


次回は主にデリバリーを担当する部署を紹介する。


※記事の情報は2023年7月11日時点のものです。


※2024年1月の組織改編に伴い「支店」は「支社」に改編されています。


〈東京DLセンター紹介5〉へ続く



〈ご参考までに...〉

東京DLセンター(アクティオ公式サイト)

事業分野紹介「道路分野」(アクティオ公式サイト)

事業分野紹介「鉄道分野」(アクティオ公式サイト)

後付け衝突軽減システム搭載コンバインドローラ(アクティオ公式サイト)

アクティブロボSAM(レンサルティングミュージアム)

TSマシンコントロール グレーダー(アクティオ公式サイト)

軌陸ダンプ(アクティオ公式サイト)

軌陸平トラック(狭軌)(アクティオ公式サイト)

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