2023.07.14

巨大市場の物流を支える──東京物流センターとアクティオトランスポート〈東京DLセンター紹介5〉 これまで4回にわたって紹介してきた東京DLセンター。最終回となる今回は、東京DLセンターの物流を支える東京物流センターと、アクティオの運送業務の多くを担うグループ企業、株式会社アクティオトランスポートを紹介する。

巨大市場の物流を支える──東京物流センターとアクティオトランスポート〈東京DLセンター紹介5〉

東京支店 東京物流センター
東京をはじめとした首都圏がテリトリー

東京DLセンターはオフィス棟とセンター棟に分かれており、オフィス棟は主にレンサルティング本部の拠点となっている。センター棟の1、2階は東京支店 東京物流センター、3階以上はレンサルティング本部 エンジニアリング事業部の整備拠点として、主に活用されている。


東京DLセンターの"D"、つまりDelivery(配送)を担っているのが東京支店 東京物流センターだ。まずは佐藤健センター長に話を聞いた。


佐藤「1階が配送、2階が整備のスペースです。ここを運用しているのが東京支店で、東京、西東京、千葉、茨城の4支店のメール便配送や整備を担当しています。テクノパーク統括工場・専門工場は敷地面積が広いため、大型機械の整備や在庫管理も行えますが、東京23区にスピーディーに配送しようとなると厳しい面があります。東京DLセンターは東京23区の前線基地という位置付けで、稼働率の高い機械は各テクノパーク統括工場・各専門工場から取り寄せて在庫を持っています。また首都圏の現場から戻ってきた機械はいったんここに集約して、各テクノパーク統括工場・各専門工場に振り分けるというイメージです。2階では主に小型の電動工具を整備しています」


東京支店 東京物流センター 佐藤健センター長東京支店 東京物流センター 佐藤健センター長


首都圏は言わずと知れた巨大市場で、大型の現場が数多く存在する。中には夜間、また24時間稼働している現場も珍しくないため、主に緊急時の対応を目的として東京DLセンターの配送部門は24時間稼動している。


佐藤「ここで夜間対応しないと、現場の担当営業が1人で四苦八苦することになりますからね。東京支店の各営業所から当番制で営業担当・業務担当を出してもらい、あとはトラックのドライバーさんが夜間対応しています。トラブル等の緊急対応が必要な場合は、ここから機械を現場まで運んだり、また現場に業務担当が出向いて修理を行います」


東京支店 東京物流センター 佐藤健センター長


東京DLセンター内にあるコントロールセンターは、首都圏の注文を一手に引き受けている。そこで采配を振るっているのが東京支店 東京物流センターの清野力フロント専任課長だ。


清野「先ほど佐藤センター長がお伝えした通り、東京、西東京、千葉、茨城の4支店内の営業所から、ここに注文が入ります。東京DLセンターに在庫のある機械を、ないものは取り寄せて、ここから出荷します。平均すると1日に200件弱くらいでしょうか。それを事務、フロント、配車、アシスタントなどがワンチームになってさばくわけです」


東京支店 東京物流センター 清野力フロント専任課長東京支店 東京物流センター 清野力フロント専任課長


想像を絶する量だが、繁忙期には300件に達することもあるという。


清野「首都圏にはアクティオ内でも売り上げトップクラスの営業所が、いくつもありますからね。私は配車をメインに担当していますが、1件1台では間に合わないため、頭の中で2tトラックや4tトラックの荷台をイメージして、機械の大きさや量に合わせて納品から引き取りまでの効率的な配送スケジュールを組んでいます」


扱う量もさることながら、首都圏ならではの難しさもあるという。


清野「現場によって搬入時間、搬入ルート、トラックのサイズ、高さの指定などがありますから、まさにパズルですよ。さらにドライバーにもヘルメット、安全靴に加えて、安全帯の着用を求める現場もあるので、オペレーションは複雑です」


東京支店 東京物流センター 清野力フロント専任課長


清野フロント専任課長のもと、コントロールセンターでフロントを担当しているのが島田雅章だ。


島田「朝礼が終わると、各営業所から注文が一斉に入ってきます。東京DLセンターの近くにある拠点でも一部在庫を抱えているため、そこの在庫も見ながら調整しています」


東京支店 東京物流センター フロント担当 島田雅章東京支店 東京物流センター フロント担当 島田雅章


アクティオ内で全国ナンバー1の物量を誇る東京物流センターだけに、設備も最新鋭だ。


島田「これだけの物量をさばける要因のひとつとして、自動ラック倉庫が挙げられます。本社のシステムと連動していて、必要な機械をラックから自動で出して、出庫エリアまで届けられる仕組みです。もちろん、整備が完了した完成品から順に出荷されます。1階には11ゲート、外にも5ゲート、計16ゲートから完成品を出荷しています」


配送エリア配送エリア


コントロールセンターは目が回るほどの忙しさだが、どのようなところにやりがいを感じているのだろうか。


島田「首都圏は大規模な現場が多く、誰でも知っているような施設の工事に、間接的にでも携われるのはうれしいですね。完成後の現場を見ると感慨深いです」


センター棟1階の配送エリアで業務を担当している堀圭介。夜勤時には「こんな時間にありがとう」と感謝されることが多いというセンター棟1階の配送エリアで業務を担当している堀圭介。夜勤時には「こんな時間にありがとう」と感謝されることが多いという


井上勇太フロント主査は、センター棟の2階で行う整備の生産管理を担当している。


井上「もともとは1階のコントロールセンターでフロントを担当していました。2階では小型の電動工具をメインに、高圧洗浄機や掃除機といった商品を300アイテム、数にしたら約6,000台在庫しており、その整備も行っています」


東京支店 東京物流センター 井上勇太フロント主査東京支店 東京物流センター 井上勇太フロント主査


それだけアイテム数が多いと、それぞれの整備手順を覚えるだけでも苦労しそうだが、電動工具は基本的な構造に共通点が多いため、多種類にわたる整備も可能なのだという。


井上「戻ってきた段階の入庫チェックで、ある程度は良し悪しを判断できます。問題なければ清掃のみ、必要があれば修理、またあまりにも状態が悪い場合は廃棄、入れ替えという流れもあります」


整備エリア整備エリア


多様な機械を整備、管理するため、日々の生産性を高めることも重要だ。業務改善への意識については、次のように語る。


井上「業務改善といえばトヨタ式の"カイゼン"が有名ですが、トヨタの考え方をアクティオに落とし込んだ方式があります。最初はアクティオの社員がトヨタに行って学んでいました。今は三重いなべテクノパーク統括工場に道場があり、私は約1年間、いなべで"カイゼン"について学んできました。それを今、東京DLセンターで実践しています。本当にこの方法でいいのか? 常識にとらわれていないか? そういった目で物事を見て、改善すべきところは改善し、日々、生産効率を高められるよう精進しています」


センター棟2階の整備エリアで業務を担当している亀谷勇人。井上フロント主査のもと、センター棟2階の整備エリアで業務を担当している亀屋勇人。井上フロント主査のもと、"カイゼン"を学びながら業務にあたっている




株式会社アクティオトランスポート
運送をサポートするグループ企業

アクティオの運送業務の多くを担っているのが、グループ企業の株式会社アクティオトランスポートだ。まずは小川好男代表取締役に話を聞いた。


小川「もともとはアクティオ自らが機械の運送を行っていたのですが、建機レンタルが普及し、規模が拡大したため、運送部門を別会社化して誕生したのがアクティオトランスポートです。東京DLセンターだけではなく、全国の物流を担っています。自社のドライバーとトラックだけでなく、協力会社が約1,000社、毎月業務を委託している会社が750社ほどあります。それら全てをコントロールして、スピーディーで安心、安全な運送業務を提供しています」


株式会社アクティオトランスポート 小川好男代表取締役株式会社アクティオトランスポート 小川好男代表取締役


実際に機械はどのような手順で配送されるのだろうか?


小川「基本的には日によって決まったルートを回るメール便、アクティオの営業所に張り付いている常用便、あとは1件1件対応するスポット便があります。東京DLセンターには、全国エリアのスポット便をコントロールしている部署と、東京エリアをコントロールしている部署があります。ちなみに、大阪や名古屋など、エリアを区切ってコントロールしている拠点は7カ所あります。特に東京エリアはドライバー泣かせの運送が多いです。現場への搬入ルート、時間が決められていることが多いのですが、時間を調整する場所がありません。かといって、路上で待機もできない。そこが一番苦労するところですね」


アクティオの物流を担う上で、効率化が課題であると小川代表取締役は話す。


小川「発地点と着地点の間にある複数の拠点の機械も運べれば、あらゆるコストが削減できます。まさに今、会社全体で取り組んでいる課題ですね。注文を待っていたのでは実現できないため、攻めの営業が必要です。そのためには工場なり、営業所のフロントさんとの密なコミュニケーションが大切です」


ほかにも構想中の新たな試みがあるという。


小川「アクティオの拠点では、アクティオの社員がトラックへの積み降ろしを担当しています。それを弊社の社員ができないかと検討中です。そのためには建機を運転する資格が必要になりますが、アクティオ側の負担軽減のためにもぜひ実現したいですね」


株式会社アクティオトランスポート 小川好男代表取締役


アクティオトランスポート本社で、全国エリアのスポット便をコントロールしているのが、フロントの原江駿さんだ。


原江「全国エリアのスポット便は、ほぼ協力会社さんにお願いしています。各地域にある協力会社さんを全て把握していますので、運送日の3日くらい前から計画を立てます。積む機械に合わせてトラックのサイズやルートを決め、途中で積んでいける機械はないか、営業所に確認を取ったりもします」


株式会社アクティオトランスポート 本社フロント担当 原江駿さん株式会社アクティオトランスポート 本社フロント担当 原江駿さん


扱う量の多い東京エリアについては、対応に工夫を要する。


原江「東京エリアはメール便や常用便、スポット便があり、またフロントの担当を重機、汎用機、陸送の3つに分けています。それでも追いつかない場合には、ほかのエリアから応援に行ったりもしますね」


株式会社アクティオトランスポート 本社フロント担当 原江駿さん


東京エリアならではのサービスもある。


原江「東京DLセンターの物流機能は、一部ですが24時間稼働しているため、それに合わせ、我々も夜間対応しています。20時から翌5時まで対応するドライバーを常駐させています」


株式会社アクティオトランスポート 本社


東京DLセンターの役割と機能、そしてこのセンターで仕事に邁進するスタッフについて、5回にわたって紹介してきた。DはDelivery、LはLaboratory......物流と研究開発という看板の枠を超えて、アクティオが掲げる「レンサルティング」の中核として東京DLセンターは、今後ますますその重要性を増していくことになるだろう。


※記事の情報は2023年7月14日時点のものです。


※2024年1月の組織改編に伴い「支店」は「支社」に改編されています。



〈ご参考までに...〉

東京DLセンター(アクティオ公式サイト)

汎用機器(アクティオ公式サイト)

充電式バッテリー工具(アクティオ公式サイト)

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