2023.07.04

レンサルティングを推進する中核部門──エンジニアリング事業部〈東京DLセンター紹介2〉 5つの専門部署と3つの支援部署からなるエンジニアリング事業部は、工法プランニング、機種選定、商品開発、設計製作、各種工事、国内外への技術者派遣などを行う技術集団だ。シリーズ2回目はエンジニアリング事業部の5つの専門部署にスポットを当てたい。

レンサルティングを推進する中核部門──エンジニアリング事業部〈東京DLセンター紹介2〉

エンジニアリング事業部 土木部
トンネル工事やケーソン工事のプロ集団

エンジニアリング事業部の中で、シールドトンネル、山岳トンネル、ケーソン工事現場といった、大型の土木工事を行う部署が土木部だ。トンネル工事では流体移送設備を使って掘った土砂を地上に上げる必要があり、ケーソン工事現場は水処理が必須となる。土木部は、そうした工事に付随する特殊な機械を扱っている。今回は土木部土木二課の宮本将伍営業主事に話を聞いた。


宮本「今私が担当している工事のひとつに、大深度地下を掘り進むトンネル工事があります。これまでシールド工法のトンネル工事は最大深度が50mくらいまでだったのですが、私がいま担当しているトンネルは80~100mもあります。そのトンネルの深さ80m付近から土砂を地上に圧送します。計算上はその深さからの圧送に問題ないのですが、やはり実際に稼働するまでは気持ちが落ち着かないですね」


エンジニアリング事業部 土木部 土木二課 宮本将伍営業主事エンジニアリング事業部 土木部 土木二課 宮本将伍営業主事


宮本営業主事は理系出身の営業担当。新入社員当時は環境部に配属され、その後、技術部に異動し、9年前から土木部だ。


宮本「エンジニアリング事業部の営業担当は、理系出身が結構多いです。扱っている商品が特殊というか専門的な機械ばかりなので、やはり技術的なこと、現場のことが分かっていないとお客様と話が通じません」


トンネル内の掘削土砂を搬出する土砂圧送ポンプ/油圧ユニット。ポンプは使用用途に合わせて、切羽用・中継用の2タイプがあるトンネル内の掘削土砂を搬出する土砂圧送ポンプ/油圧ユニット。ポンプは使用用途に合わせて、切羽用・中継用の2タイプがある


大型案件を担当する中、苦労は多々あるが、やりがいは大きいという。


宮本「入社3年目くらいの時に、某地区の再開発を担当したのですが、どうしてもトラブルは起きます。例えば電気が止まってしまったら掘削はできませんが、土砂を運び出すために大型ダンプは列をなして待っている......そういったことも起こり得ます。苦難を乗り越えて工事が完了したときは、やはり達成感がありますね。工事が終わってお客様に感謝された時は、この仕事に就いて良かったと心から思います」


東京DLセンターの職場環境については次のように語る。


宮本「エンジニアリング事業部の全部署が集約されているため、横の連携がスピーディーに行えるのがメリットですね。事業部内だけではなく、ほかの事業部、グループ企業とも連携しながら、今後も仕事に邁進したいと思います」


エンジニアリング事業部 土木部 土木二課 宮本将伍営業主事




エンジニアリング事業部 環境部
有害物質の対策を担当

有害物質の対策機械を扱う部署が環境部だ。エンジニアリング事業部 環境部 プラントリニューアル課の海老原利昌課長に詳細を聞いた。


海老原「焼却炉の解体や定期的な補修工事を行う際、集塵機が必要になります。この集塵機は、環境部が扱っている代表的な機械です。あとはアスベストのような有害物質の対策機械。他には今は橋梁関係が多いですね。鉄骨の橋は塗装されているのですが、昔の塗料の中に鉛やPCB(ポリ塩化ビフェニル)といった有害物質が含まれているので、工事の際、大気に放出できませんし、作業員の方の健康も守らなければなりません。そういった対策機械をメインに扱っています」


エンジニアリング事業部 環境部 プラントリニューアル課 海老原利昌課長エンジニアリング事業部 環境部 プラントリニューアル課 海老原利昌課長


アスベスト規制の歴史は1975年に始まり、年を追うごとに強化されてきた。2006年には労働安全衛生法施行令が改正され、石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有する全ての物の製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されている。さらに2020年には大気汚染防止法、石綿障害予防規制の一部が改正され、規制対象が全ての石綿含有建材に拡大された。それでも、まだまだ現場ではアスベストの対策が必要なのだ。


超微細粉塵対策集塵機(大型)超微細粉塵対策集塵機(大型)


海老原「建物の耐火被覆用、防音、断熱材として使用されてきた、アスベストの除去・封じ込めについて、アクティオは専用対策機器をレンタルしてきました。今後、高度経済成長期時代に建設された超高層ビルの建て替え工事が増える見込みであり、そのピークは2030年頃ともいわれています。その頃のコンクリートにはアスベストが含まれているので、やはり対策が必要になります」


目に見えない敵と戦うのが環境部なのである。新型コロナウイルスが猛威を振るい始めた2020年は、ウイルス対策商品として「仮設陰圧ハウス」を発表している。


海老原「病院の陰圧室と同等の機能を保持しており、外部に室内の空気が漏れ出すことはありません。ほとんどの設備を内蔵した状態で納品でき、現地での組立は不要という商品です。医療関係の商品を開発するのは初めてで、かなり苦労したのを覚えています。コロナに立ち向かう商品を作れないか、アクティオが役に立てることはないのかを第一に考え、グループ企業のエスアールエス株式会社とも協力しながら、短期間で完成させました」


エンジニアリング事業部 環境部 プラントリニューアル課 海老原利昌課長




エンジニアリング事業部 建築部
作業足場や台車を扱う、縁の下の力持ち

工事現場などで使用するアルミの作業足場、台車などを扱う部署が建築部だ。そのキーマンになるのが伊藤弘揮専任課長である。


伊藤「建築部には資材課と機械課があり、私は資材課をメインに担当しています。あと千葉にある建築浦安センターのセンター長も兼務しています。仕事内容は軽仮設の商品開発とその運用ですね。ちなみに、機械課はガラスやパネルを運搬して据え付ける機械『グラスワーカー』や、臨時的に使用するクーラーなどを扱っています」


エンジニアリング事業部 建築部 伊藤弘揮専任課長エンジニアリング事業部 建築部 伊藤弘揮専任課長


資材課が取り扱う商品で人気なのが台車系の商品だ。


伊藤「最近のヒット商品は『アクロス』です。これはクローラー仕様の搬送台車で、ネーミングの通り悪路でもスムーズに進むことができます。砂地、砂利、芝生もOKで、コンクリートの打設前の配筋の上も進めるため、建築現場で重宝されています」


(左)配筋の上も押して進める台車「アクロス」、(右)アルミ製収納庫台車(左)配筋の上も押して進める台車「アクロス」 (右)アルミ製収納庫台車


仮設機材に関する安全性を確保するため、一般社団法人仮設工業会が認証制度を設けている。例えば、適用工場制度だ。


伊藤「アクティオは北海道から九州まで、全国にある16拠点で仮設工業会の適用工場の認定を受けていて、東京DLセンターもそのひとつです。この東京DLセンターは整備よりも配送のスピードアップに軸足を置いているため、30分以内で終わる整備をここで行います。それ以上かかる重整備は、佐野テクノパーク統括工場にある整備拠点に任せています」





エンジニアリング事業部 通信計測部
カメラやトランシーバー、トータルステーションが主力商品

カメラやトランシーバー、各種計測器、顔認証システム、はたまた自動体外式除細動器(AED)といった商品を扱うのが通信計測部だ。営業課と業務課に分かれており、まずは営業課の田中尚志課長に話を聞いた。


田中「我々の部署は社内向けに通信計測器を提供しています。ですから注文は営業所から入り、営業所に出荷するという流れです。そういった中で、今ある商品にこんなことを付け加えたいという要望が、全国の支店・営業所から舞い込んできます。最大公約数が得られるようであれば商品化し、ほかの支店・営業所に横展開もします。そういった商品は安全、効率、環境に関するものが多いですね」


エンジニアリング事業部 通信計測部 営業課 田中尚志課長エンジニアリング事業部 通信計測部 営業課 田中尚志課長


具体的な商品としては、「クラウドカメラ」が挙げられる。コンセントに挿すだけですぐに録画を開始する、アクティオオリジナルの商品である。


田中「カメラ自体は既に存在しますが、システムを付加することで新しい商品になります。現況確認、また防犯にも使えると好評です。ほかにもカメラと測定器を連動させる、つまり拡張性を持たせることで、レンサルティングをさらに具現化しています」


クラウドカメラクラウドカメラ


そうなると、使用される現場は建築土木に限らない。


田中「確かにマーケットボリュームは大きいですね。例えば、ガスが発生する可能性のある工場はたくさんあります。そういった工場にガス検知器のような測定器は必須ですからね」


エンジニアリング事業部 通信計測部 営業課 田中尚志課長


通信計測器をメンテナンスする部署が通信計測部業務課だ。通信計測器というと機械が小さく、種類も多いイメージがある。まずはそのあたりの話を中島洋佳専任課長に聞いた。


中島「グループ企業を除いて、800型式くらいの通信計測器を5万台ほど保有しています。これらを東京と大阪のDLセンター、それから東京の葛西にある拠点の3カ所で整備、保有しています」


エンジニアリング事業部 通信計測部 業務課 中島洋佳専任課長エンジニアリング事業部 通信計測部 業務課 中島洋佳専任課長


通信計測機器の中にはトータルステーションのような精密機械も多い。整備するためには資格が必要となる。


中島「日本測量機器工業会(JSIMA)という一般社団法人があり、JSIMA規格に基づく校正・検査事業を行う販売・修理事業者等で、工業会の定める検査資格者と検査機器を有し、かつ必要な教育を受けた事業者を認定する制度を設けています。JSIMA規格に基づいた校正・検査認定事業者として認められた事業者は、工業会の定める書式に基づく証明書を発行することができます。東京DLセンターはその事業者として認められており、検査資格者も複数在籍しています。ちなみに、大阪DLセンターにも資格者がいます」


東京DLセンターのセンター棟にある通信計測部の整備エリア。JSIMA規格に基づく検査が行われている東京DLセンターのセンター棟にある通信計測部の整備エリア。JSIMA規格に基づく検査が行われている


1人で多様な機械を整備するため、作業員は機械に応じた手順を覚える必要がある。


中島「スタッフ一人一人が、トランシーバー、カーナビ、ドライブレコーダー、計測機器、測量機と、全く異なる多種類の整備手順に熟達する必要があり、その人材育成に最も気を配っています」


小型通信機の整備エリア小型通信機の整備エリア


精密機械はもちろん配送にも気を遣う。


中島「専用ケースがあれば良いのですが、ない計測器は上下2面、左右4面の計6面を厳重に梱包して出荷しています」


エンジニアリング事業部 通信計測部 業務課 中島洋佳専任課長




エンジニアリング事業部 パワーシステム部
大型発電機がテリトリー

あらゆる現場で必要になるのが電気、つまり発電機である。アクティオの中で220kVA以上の大型発電機を扱うのがパワーシステム部だ。EG発電機技術課の業務担当 谷口和希に話を聞いた。


谷口「マイコン搭載機器にも使えるインバータ搭載発電機、2~3kVAの小型発電機、10~100kVAの中型発電機、100~400kVAの大型発電機、550kVA以上の超大型発電機など、さまざまなタイプ、サイズの発電機を扱っています。パワーシステム部の担当は、基本的に300kVA以上の発電機、それに付随する分電盤などです。220kVAも扱うことはあるのですが、それは並列で使う場合ですね」


エンジニアリング事業部 パワーシステム部 EG発電機技術課 業務担当 谷口和希エンジニアリング事業部 パワーシステム部 EG発電機技術課 業務担当 谷口和希


アクティオオリジナルの発電機もラインナップしている。その代表格が「高圧発電機」だ。


谷口「一般的な発電機は100V、200V、400Vまでしか電圧を上げられません。大規模な工場などで使用するためには、トランス(昇圧器)を介して6,600Vまで上げる必要があります。発電機、トランス、それを結ぶ太い配線が必要なんですね。当然、スペースも必要になるし、現地で配線もしなければならない。そういった手間を省き、場所も取らないワンパッケージの高圧発電機(1,000/1,100kVA)をメーカーと協力して開発しました」


高圧発電機高圧発電機


アクティオでは、支店・営業所の担当として営業、フロント、業務の3つが一般的である。谷口は業務担当で、整備作業をメインに行っている。


谷口「私の仕事は営業と業務の中間のようなイメージですね。営業が持ち帰ってきた仕事内容をお客様と詰めたり、現場に行って機械を設置したり、配線もします。もちろん仕事相手はお客様だけではなく、全国の支店・営業所も必要に応じてバックアップします」


そもそもなぜ、アクティオを就職先として選んだのだろうか?


谷口「大学は機械学科で、鉄やアルミといった金属材料の勉強をしていましたが、最終的に研究室では半導体を勉強していました。就職を考えた時、メーカーに入ったらずっと同じような商品の開発に携わるんだろうなと。でもアクティオには多種多様な建設機械がある。自分にとってはその方がやりがいがある、と思いました」


エンジニアリング事業部 パワーシステム部 EG発電機技術課 業務担当 谷口和希


多様な機械や資材を取り扱うエンジニアリング事業部。次回は、そのバラエティーに富んだ事業を技術面から支援するエンジニアリング事業部 技術部を紹介する。


※記事の情報は2023年7月4日時点のものです。


※2024年1月の組織改編に伴い「支店」は「支社」に改編されています。


〈東京DLセンター紹介3〉へ続く



〈ご参考までに...〉

東京DLセンター(アクティオ公式サイト)

土砂圧送ポンプ/油圧ユニット(アクティオ公式サイト)

超微細粉塵対策集塵機(大型)(アクティオ公式サイト)

仮設陰圧ハウス(アクティオ公式サイト)

クローラー台車(アクティオ公式サイト)

アルミ製収納庫台車(アクティオ公式サイト)

クラウドカメラ(アクティオ公式サイト)

高圧発電機(アクティオ公式サイト)

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