2023.02.21

建設現場の花形「タワークレーン」に関する業務をトータルサポート 建設現場の花形とも言える「タワークレーン」。敷地が狭い都市部で高層ビルや大型建造物を建設する際に重い荷物を吊り上げたり、移動させたりするのに欠かせない建設機械のひとつだ。今回は、タワークレーン事業におけるアクティオの取り組みや強み、今後の展開などを紹介する。

建設現場の花形「タワークレーン」に関する業務をトータルサポート

工期短縮が期待できるタワークレーンの保有台数は業界トップクラス

アクティオがクレーン事業に参入したのは2006年のこと。2008年1月からはアクティオのクレーン事業部と、建設機械専門商社である伊藤忠建機のタワークレーン部門が統合し、アイテック・マシナリーとして新たなスタートを切った。この事業統合により、中・大型クレーンの保有台数において業界トップクラスとなり、そのスケールメリットを生かして、より質の高いサービスをお客様に提供できるようになったのだ。その後、アイテック・マシナリーはアクティオに吸収され、現在のクレーン事業部に至っている。


クレーン事業部が扱う機種はタワークレーンが中心で、「ラフタークレーン」や「クローラークレーン」と呼ばれる移動式のクレーンは含まれていない。建設する敷地に駐車する余裕があれば、ラフタークレーンでも10階程度のビルまで対応できるが、建物が密集している都市部などでは駐車スペースが確保できない。そのような現場では、駐車スペースが不要なタワークレーンが活躍するのだ。


タワークレーンは、「フロアークライミング」と「マストクライミング」に大別される。フロアークライミングは、建設中の建造物とともに昇降する。通常、鉄骨造(S造)のビルを建設する際に用いられる。


いっぽう、マストクライミングは建造物の横にマストを建て、どんどんマストを継ぎ足していく方法だ。主に鉄筋コンクリート造(RC造)のマンションを建設する際に使用する。


現在、クレーン事業部は大・中型機を94台、小型機を35台保有している。アクティオの強みとは何なのか? 2007年からクレーン事業部をけん引している小川剛常務執行役員事業部長に話を聞いた。


小川「クレーン事業部が保有しているのは大型機がメインで、その特長はコンパクトで自立が高いという点です。壁つなぎの段数が少ないことおよびボルト種類も少なく、組み立て・解体日数も少なくて済みます。コンパクトなため、運送コスト面での優位性が高いのもメリットですね」


クレーン事業部 小川剛常務執行役員事業部長クレーン事業部 小川剛常務執行役員事業部長


一般的にタワークレーンは、350t以上を大型機、120t以上を中型機、RCのマンション現場等で使用される100t未満を小型機と呼んでいる。メーカーはIHI、小川製作所、そして北川鉄工所の3社が主流だ。その中でも、アクティオでは北川鉄工所が製造したタワークレーンを中心に保有している。その理由を、クレーン東日本営業部 クレーン東日本新規開発課の多々良憲司課長は次のように語る。


多々良「昔のタワークレーンはオペレーター室がある旋回フレーム部分が大きく、オーバースペックでした。そこで北川鉄工所は約18年前にオペ室がある旋回フレーム部分を小さくして、マスト、つまり柱の自立を上げたんですね。これは先進的で、48mの自立が可能になったのです。それまでのタワークレーンよりも自らよじ登るフロアクライミングが2回ほど減るため、コストを下げられます。ゼネコンさんからの評判も上々で、機動力の高いタワークレーンとして名を馳せました」


クレーン事業部 クレーン東日本営業部 クレーン東日本新規開発課 多々良憲司課長クレーン事業部 クレーン東日本営業部 クレーン東日本新規開発課 多々良憲司課長


定格荷重、作業半径、最大揚程といったタワークレーンの性能は、メーカーによる差が少ない。そのため、組み立て・解体の日数やクライミング回数が少ない北川鉄工所製のタワークレーンは、他社製よりも工期を1週間程度短縮することが可能になり、競争力が高いのだ。




計画から解体までトータルサポート

アクティオの強みは、保有する機種だけではない。全国に張り巡らされた営業網を生かして、計画から参画。現場状況に合わせて基礎を設置するための受梁(うけばり)等の設計・製作が可能な技術力を持ち、組み立て・解体に必要な指導員や保守運工管理など、タワークレーンに関する全ての業務を一貫して行える組織力も持ち合わせている。


タワークレーンの整備は、茨城県の関東工場(16,700坪)と滋賀県の関西工場(4,000坪)で、小型機は千葉県の成田工場で行っている。


クレーン事業部には、設計を行っているクレーン技術課という部署があり、そこで設計したものを工場にて製造している。


(左)設計を行っているクレーン事業部東日本技術課 (右)クレーン事業部東日本技術課にて設計し、工場で製作した基礎部材(左)設計を行っているクレーン事業部東日本技術課 (右)クレーン事業部東日本技術課にて設計し、工場で製作した基礎部材


最後に、クレーン事業部が今後実現させたい案件、新たに開発したいサービスを両人にうかがった。


小川「再生可能エネルギーが注目される中、2024年に風力発電機設置用タワークレーンの導入を予定しています。現在、陸上風力発電機はオールテレーンクレーンで施工していますが、その台数は全国で20基程度と限られています。また、風力発電機は発電量を稼ぐためブレード(羽根)をできるだけ長くする必要がありますが、そうなるとオールテレーンクレーンでの施工には限界があります。高さを稼ぐことができ、設置面積も少なくて済むタワークレーンの需要は今後伸びるでしょう。また、送電線の鉄塔建設でもタワークレーンが使用されるのですが、今後、新規設置や建て替えが積極的に行われるため、需要の増加が期待されます」


多々良「タワークレーンの関連商品にも注力していきたいと考えています。例えば、吊荷回転制御装置の『スカイジャスター』です。これはほぼ、アクティオしか持っていません。ほかにもクレーン作業を効率化する『自動玉外し装置』や、クレーンで消波ブロックを設置する水中吊荷回転制御装置『アクアジャスター』やラフター用吊荷カメラ『ワイヤレスウォッチャー』など、お客様が必要とされる商品を積極的に導入していく予定です」


(上)スカイジャスター (左下)自動玉外し装置 (右下)アクアジャスター(上)スカイジャスター (左下)自動玉外し装置 (右下)アクアジャスター


高度経済成長期に建てられた建造物は、築50~70年を迎えて老朽化が進み、今まさに建て替えラッシュだ。首都圏だけでも100基以上のタワークレーンが稼働しているという。アクティオならではのアドバンテージであるレンサルティングを柱に、タワークレーン関連事業でも更なる発展が期待される。


※記事の情報は2023年2月21日時点のものです。



〈ご参考までに...〉

事業分野紹介「クレーン分野」(アクティオ公式サイト)

タワークレーン(100t・m以上)(アクティオ公式サイト)

タワークレーン(40t・m以下)(アクティオ公式サイト)

解体用クレーン(アクティオ公式サイト)

ジャイロマスター(吊荷旋回制御装置)(アクティオ公式サイト)

自動玉外し装置(アクティオ公式サイト)

可視光通信装置 i-MAJUN(アクティオ公式サイト)

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