2019.09.18

「ジャイロマスター」&「I-MAJUN」 消波ブロックを効率よく設置 島国、ニッポン。領土の周りが海に囲まれているため、護岸工事は欠かせない。海岸や川岸などに堤防を整備し、高潮や洪水などの水害に備える。また海岸浸食による国土の流失を防ぐためにも、護岸工事は重要なのだ。ここでは、護岸工事の際に役立つ商品をご紹介したい。

「ジャイロマスター」&「I-MAJUN」 消波ブロックを効率よく設置

吊荷を旋回制御可能なジャイロマスター

海岸沿いでよく目にするのが消波ブロック。放射線状に伸びたコンクリート製の四脚ブロックが一般的で、中には六脚や八脚、中空三角、ドーム型などもある。こういった消波ブロックを海岸沿いに噛み合わせて並べることで、波のエネルギーを減衰・消散させ、海岸浸食を防いでいるわけだ。消波ブロックのサイズはさまざまだが、波のエネルギーに抵抗するため、大きいものが使われることが多い。中には単体重量で80トンというものもある。

消波ブロックの設置は、クレーンによって吊り上げて行う。陸上からクローラークレーンで吊り上げる場合もあるし、沖合に設置する際はクレーン付き台船が活躍する。いずれにせよ、組み合わせを考えて効率よく積み上げないと崩れやすくなるし、想定していた数よりも多くの消波ブロックが必要となり、コストが嵩んでしまう。この積み上げに職人の技が要求されるのだ。

ただでさえも海岸線は風が吹きやすく、吊荷の制御が難しい。さらに消波ブロックを効率よく積み上げるためには、設置する位置に加え、向きも細かく調整する必要がある。吊荷が軽ければ手作業での微調整も可能だが、重さが数十トンにもなる消波ブロックではそうもいかない。

消波ブロックの設置は、クレーンによって吊り上げて行う。

そんなときに活躍するのがジャイロマスターだ。一見すると大型発電機のようだが、中身はまったくの別物。写真のタイプには約700キロもあるフライホイールが内包されており、それが約2,000rpmで回転。この大きな慣性力を持ったフライホイールを右に左にとモーターで傾けることで吊荷の回転抑止、吊荷の任意位置への回転を遠隔操作で行うのだ。

このジャイロマスター、もともとは風の影響を受けやすい高層現場、吊荷の細かな制御が必要な狭小スペース、PC板やカーテンウォールといった風の影響を受けやすい吊荷の安定に使われていたが、アクティオでは吊荷を任意位置に回転できることに着目。護岸工事における消波ブロックの積み上げ時に使用することを提案している。なお、現在は75tm2までの吊荷を旋回制御可能なジャイロマスターをラインアップしているが、4倍の能力を有するタイプの導入も検討している。



水中での通信を光で行うi-MAJUN

水中での通信を光で行うi-MAJUN

消波ブロックは海底に設置するため、水中での位置確認が必要になる。潜水士がその作業にあたるが、潜水士同士の意思疎通は今までジェスチャー、もしくは有線で通話を行っていた。有線はコストや取り回しに難点があるため、いまひとつ使い勝手が良くない。そこで注目したいのが、水中可視光通信装置「i-MAJUN(イマジュン)」だ。

水中可視光通信装置「i-MAJUN(イマジュン)」

i-MAJUN(イマジュン)は水中マスクに内蔵された骨伝導マイクで潜水士の声を拾い、LED光波で相手のi-MAJUN(イマジュン)に伝達する無線装置。波や外部雑音といった外乱の影響を受けずに、透明度にもよるが10メートル程度の通信距離を確保している。現状では水中での潜水士同士の使用に限定されるが、今後は地上の作業員とも通話が行える仕様もリリースする予定だ。


今回お話をうかがったアクティオ クレーン事業部 上席執行役員事業部長の小川 剛さん(右)と、クレーン東日本営業課 課長の多々良憲司さん(左)今回お話をうかがったアクティオ クレーン事業部 上席執行役員事業部長の小川 剛さん(右)と、クレーン東日本営業課 課長の多々良憲司さん(左)。


▼ジャイロマスター


※記事の情報は2019年9月18日時点のものです。



〈ご参考までに...〉

ジャイロマスター(吊荷旋回制御装置)(アクティオ公式サイト)

可視光通信装置 i-MAJUN(アクティオ公式サイト)

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