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2019.05.20
ビルメンテナンスロボットが人手不足を解消 整然と並べられたロボットたち。アクティオ本社の9階には、ビルメンテナンスロボットの普及促進を目的とした日本初のロボットセンターが開設されている。
ビルメンテナンスロボット普及促進センターとは?
ロボットというと人型を想像しがちだが、目的の作業・操作をコンピューターの制御で自動的に行う機械や装置は、ロボットに定義される。今回の主役、ビルメンテナンス分野におけるロボットが、まさにこれだ。ロボットというだけあって、なかなか高価である。数百万円のロボットなんてざら。ちょっと大型のロボットになると、500~1,000万円にもなる。
ビルメンテナンスは、入札によって契約となるケースがほとんどで、その契約期間は1~2年と短い。契約期間終了後に、再度入札。必ず落札できるとも限らないため、高価なロボットの導入に踏み切れない事業者が多いのが現状だ。「レンタル」という仕組みがあれば、ロボット導入のハードルが下がるのだが......。
このような経緯があり、ビルメンテナンスロボット普及促進コンソーシアム(現在の日本ビルメンロボット協議会)からアクティオに声が掛かり、約2年前にアクティオも加入することとなった。
加入して間もなく、アクティオは経済産業省の支援を受け、日本初となる「ビルメンテナンス用ロボット普及促進センター」を開設(2017年12月13日)した。ビルメンテナンスロボット普及促進コンソーシアム(当時)と連携するとともに、アクティオの強みである「レンサルティング」のノウハウを最大限活用。メーカーの枠を越えた多種多様な業務用清掃ロボットを展示し、さらに操作体験、導入相談など総合的な導入支援サービスを提供したのだ。
また、ビルメンテナンス分野を代表する公益社団法人全国ビルメンテナンス協会とも協力し、業界初となる業務用清掃ロボットの具体的な導入手順・方法をまとめたマニュアルも作成。関係者に広く活用してもらう取り組みを進めたのである。
ビルメンテナンス用ロボット普及促進センターの開設から1年3カ月。来場者は776名(267社)にも上り(今年3月末現在)、来場者からは「各メーカーのロボットが一堂に集まっており、比較ができて便利」「ユーザー目線に近い説明が受けられて助かる」といった声が寄せられている。ビルメンテナンス事業者だけではなく、ビルオーナー企業の来場も多く、清掃現場での人手不足が深刻化していることが窺える。
ロボットと清掃員が協力して作業を完遂
ビルメンテナンス用ロボット普及促進センターに展示されているロボットは、全7タイプ。フロア洗浄用が2タイプ、カーペット清掃用が2タイプ、小型万能の清掃用が1タイプ、窓清掃用が1タイプ、そして床下点検用が1タイプという具合だ。それぞれのタイプに特徴がある。
例えばフロア洗浄用は、作業員が行った清掃ルートをロボットがなぞるティーチング方式と、センサーで空間の形状を読み取った後、清掃範囲を指定するマッピング方式があり、清掃場所やロボットをセットする作業員のスキルなどにより、向き不向きがある。メーカーの垣根を取り払い、そのあたりの説明を的確に行えるのが、アクティオの強みだ。
ロボットとて、万能ではない。すべての清掃をロボットに任せるのではなく、ロボットが得意なパートを粛々と作業させるのが得策だ。例えばロボットは、広い場所をまんべんなく清掃するのが得意。汚れた場所を重点的に清掃しがちな人間とは、大違いである。その代わり、壁際や入り組んだ場所は苦手。このような特徴を踏まえ、例えば深夜、ロボットに大まかな清掃をさせ、朝、清掃員が仕上げをするというのが、賢い利用法のように思える。
実は今、インバウンドなどにより、都心部やリゾートのホテル需要が伸びているが、清掃員不足により、フル稼働できないホテルが存在する。そのようなホテルでは、清掃ロボットの導入に前向きで、ロビーや廊下などをロボットに清掃させることで、清掃員不足を解消しようという動きも見られるのだ。
この他、国内外の新たなメーカーが業務用清掃ロボット市場に参入、または参入を予定している。例えばPepperでお馴染みのソフトバンクロボティクスは、オフィスや業務フロア向けのAI清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」を開発。アクティオでは同ロボットのレンタルを今年6月以降に開始する予定だ。
早期のレンタル普及が急務
アクティオでは、昨年4月に業務用清掃ロボットのレンタル事業を立ち上げて、ちょうど1年が経過する。これまでは導入検証のため、短期間(1~数ヶ月)のレンタルが大半を占めるが、今年に入ってから少しずつ本格導入でのレンタル(数年間)も出始めている。日本ビルメンロボット協議会と連携した活動を実施している背景もあるため、レンタル事業においても協力・連携が可能なことで、早期のレンタル普及を目指したいのが当面の目標だ。
今回は株式会社アクティオのお二方にお話をうかがった。左から新規事業開発部 辻尾晃一、新規事業開発部ロボット事業推進課 課長 上瀧博伸。
▼ビルメンテナンス用ロボット
※記事の情報は2019年5月20日時点のものです。
〈ご参考までに...〉
● 事業分野紹介「ビルメンテナンス分野」(アクティオ公式サイト)
▼ アクティオの主なビルメンテナンス用ロボット(アクティオ公式サイト)