アクティオクオリティ
2024.07.10
高所作業車整備の安全性と効率性を改善。アクティオ社員の考案がダブル受賞 令和5年度 公益社団法人 建設荷役車両安全技術協会「考案賞」において、アクティオ社員の考案が「金」「銀」のダブル受賞を果たした。いずれも、高所作業車の整備業務の安全性と効率性を高める考案であることが高く評価されたものだ。
高所作業車用傾斜規制点検台を考案・作成
建設荷役車両安全技術協会が選定する令和5年度「考案賞」で金賞を受賞したのは、アクティオの「高所作業車用傾斜規制点検台作成」。三重いなべテクノパーク統括工場 整備二課、黒田浩史業務専任課長の考案だ。
高所作業車は転倒のリスクを回避するため、傾斜地ではデッキ(作業床)が上昇しないよう、自動的にストッパーがかかるよう、センサーが付いている。この安全機能が正常に働いているかどうかを検証するため、レンタルの出庫前に高所作業車の本体を傾斜地に置いて点検する。
黒田「これまで点検は、床に小型のスロープ2個を並べて置き、そこに高所作業車を乗り上げる形で行われていました。この点検が、実は少なからず危険性がある作業でした。使っていたスロープは長さ1,200mm、幅450mmと小さいので、高所作業車のタイヤやクローラーがスロープから外れ、本体が転倒するリスクがあったんです」
また前向きの傾斜を検証した後は、後向きの傾斜を調べるため、いったん車両をバックさせ、Uターンしてから再びスロープに乗り上げさせることになり、時間的なロスもあった。
黒田「事故こそないものの何度か"ヒヤリハット"があって、ずっと改善したいと思っていました。課で点検に関わるみんながこういうのがあったらいいなと知恵を出し合い、設計しました。製作は工場内で、自分たちで材料を切ったり、溶接したり試行錯誤。完成までに半年かかりました。形になった時はほっとしましたね」
今回考案したオリジナル点検台は、高所作業車が一方向に点検台を「通過するだけ」で、前傾斜、後傾斜に加えこれまで難しかった横傾斜の点検も連続して行えるというもの。Uターンの手間は要らなくなった。室内系高所作業車の中でも最も大きな9.9mタイプにも対応する、大きめなサイズのため、タイヤやクローラーがスロープから外れ転倒するリスクを大幅に軽減することができた。
改善前は1台平均215秒かかっていた点検が、142秒で済むようになり、1台あたり73秒短縮。工場では1日平均10台を点検しているため、1日あたり約12分の作業時間短縮という効率化も達成した。
黒田業務専任課長は、令和4年度の同銀賞「クレーンワイヤー交換巻取り治具作成」に引き続き、2年連続の考案賞受賞となった。
黒田「今回は安全性を高められたこと、効率化にもなったこと、この2つを達成できたことで、いただけた賞だと思います。安全性と効率性を考えると、別の機械についても何点か、点検に関わる改善の腹案があります。これからも整備二課のみんなで力を合わせて改善に取り組んでいきたいです」
高所作業車ENCL・ENTL専用台車を考案・作成
今回の考案賞では銀賞の受賞もあり、アクティオの金銀ダブル受賞となった。銀賞を受賞したのは「ENCL・ENTL専用台車の作成」。三重いなべテクノパーク統括工場 整備二課の内山采紀が考案した。
内山「室内系高所作業車が現場から戻ってくると、クローラーやタイヤを交換したり清掃したりという整備を行います。今まではクレーンで高所作業車を吊り上げて、車体の下をのぞき込むようにして4片の木材を差し込み、その上に車体を乗せていました。この方法だと木材を置く位置が分かりにくいので、車体と床に手が挟まれたり、車体が転倒したりする恐れがあります。不安に思いながらクレーンで吊る・降ろすを繰り返してセッティングするので、時間もかかっていました。今まで事故は経験していませんが、人の作業を見ていても自分が担当しても、危ないと感じていたので、この治具を作ろうと思い立ちました」
クローラーやタイヤの交換時期になるたびに必要性を感じ、アイデアが徐々に形になっていった。今回考案したものは、4つの鉄製の台を、高所作業車の車体下部に合わせて軸に取り付ける。クレーンで吊った車体の下に片手でスライドして差し込む形。ストッパーが車体に触れたところで車体を降ろせば位置が合うよう、大きさを調整する。
内山「誰でも安全に乗せられるように、サイズを合わせることが大変でした。またもう1つ、重い車両を支えるために、これ自体が丈夫で重さがありますから、女性スタッフでも簡単に運べるように車輪をつけたところ。それが難しかった点です」
部署の協力者と力を合わせ設計、材料を溶接して車輪を取り付け、およそ1カ月で治具は完成した。早速使ってみると、車体を上げて設置するまで、以前は約6分半かかっていたところを、約3分に縮めることができた。月合計では約40分の短縮。安全、確実、簡単に作業を行えるようになった。
内山「検査担当の方々から、仕事が楽になった、という声をいただいて、作って本当に良かったと思っています。何よりも下をのぞき込んで手を入れる作業を、あまり車体に触れなくてもできる作業に改善できたことが大きいです」
受賞の知らせを受けた時は、思わず声を上げて喜んだという内山。業務の効率化のために、すでにほかの改善にも取り組んでいる。
内山「工場内にはさまざまな委託業者様もいらっしゃいます。高所作業車って、仕様や作業手順についてなかなかご理解いただいていないことも多いので、車体に貼る(仕様や作業手順を示す)ステッカーの内容やレイアウトを見直す改善を行っています。こちらも自信作です」
アクティオに根付く「カイゼン」スピリット
今回考案賞を受賞した2つにとどまらず、三重いなべテクノパーク統括工場は"改善熱"が高い。業務(整備)系だけでなく、事務系の社員も参加して、常に多くのQCサークルが動いている。
2024年には、QCサークル東海支部三重地区より、同工場の原価低減活動が優秀賞、優良賞として表彰された。これは、原価低減の実現に向け、入念な社内調査で問題点を明確化、意識改革のためのヒヤリングや勉強会で社員を巻き込み、工場全体で年間100万円以上の原価低減に成功したという活動だ。デスクの中の無駄な付箋まで抜き打ちチェックするなどの徹底ぶりも評価された。
安全、効率化、原価低減は、遠からずお客様の利益につながる。社員一人ひとりの継続的な発想と工夫は、アクティオの「創造と革新」の源流と言えるものだ。今日も現場で、工場で、オフィスで、絶え間ない改善が続いている。
▼高所作業車整備の安全性と効率性を改善 アクティオ社員の考案がダブル受賞
※記事の情報は2024年7月10日時点のものです。
〈ご参考までに...〉
● 三重いなべテクノパーク統括工場(アクティオ公式サイト)
● 高所作業車・作業足場・建築機器(アクティオ公式サイト)