テクノパーク・DLセンター
2022.12.20
更なる進化を遂げた水中ポンプ広域センター アクティオにとって水中ポンプは、原点とも言うべき商品。そんな水中ポンプを一手に管理・運用するのが水中ポンプ広域センターだ。東西に拠点が設けられているが、今回は佐野テクノパーク統括工場の水中ポンプ広域センターを改めて取材した。併せて、エンジニアリング事業部が運用する大型ポンプも紹介する。
水中ポンプには多種多様なタイプが存在
アクティオの歴史は水中ポンプの修理から始まった。日本は掘れば地下水が湧く地盤のため、土木・建築の現場において水中ポンプは欠くことができない。ポンプの修理中であっても現場で水が湧けば必要となるため、修理期間中に代替の水中ポンプを貸すという発想が生まれたわけだ。かれこれ50年以上も前の話である。
もしかしたらポンプというと、井戸にあるような手押しポンプを想像するかもしれない。あるいはエンジンで作動するフレキシブルポンプ(エンジンポンプ)を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。
それに対して水中ポンプの大半は、電気式である。たいていは筒のような形状で、底側に吸込口があり、インペラと呼ばれる羽根車がモーターで回されることで水を吸い込み、上部にある吐出口(ホース取付部)から吐き出す。上部には水中ポンプに電力を供給するCT(キャブタイヤ)ケーブルも接続される。そんな仕組みの水中ポンプを丸ごと水の中に沈めて使用するわけだ。
水中ポンプの種類はさまざまで、用途で大別すると以下のようになる。
普通揚程ポンプ:一般的なタイプ
大水量ポンプ:主に河川工事などで使われ、揚水量が多い
オートポンプ:一定の水位に達すると、自動で排水を開始
残水ポンプ:底に溜まった水を吸い上げる能力が高い
残水処理ポンプ:底に溜まった水を、ほぼすべて吸い上げ可能
サンドポンプ:泥水・砂まじりの水を吸い上げ可能
高揚程ポンプ:高い位置に水を汲み上げる際に使用
超高揚程ポンプ:より高い位置に水を汲み上げる際に使用
汚水用ポンプ:水が通る水路を広く設計し、固形物を詰まりにくくしている
出力(インペラを回す力)で分けると、0.4kW、0.55kW 、0.75kW、1.5kW、2.2kW、3.7kW、5.5kW、7.5kW、11kW、15kW、19kW、22kW、37kWなどがある。基本的に0.55kWまでは単相100V、それ以上のゾーンが三相200Vだが、例えば0.4kWのコイルを巻き替えて単相200Vに変更、37kWを三相400Vに変更といったポンプも存在する。
クオリティーを担保するためには自社整備が必須
アクティオは水中ポンプの運用を電気の周波数に合わせ、東側は佐野テクノパーク統括工場にある水中ポンプ広域センターを拠点に、西側は三重いなべテクノパーク統括工場の西日本水中ポンプ広域センターを拠点に行っている。今回は、水中ポンプ広域センターの設備が一部リニューアルされた、佐野テクノパーク統括工場を訪れた。
アクティオは11万台もの水中ポンプを運用しており、そのうち7万台が水中ポンプ広域センターの管轄だ。7万台のうち北海道と東北の一部で流通している水中ポンプ以外は全て、水中ポンプ広域センターで分解・整備・検査・塗装を行っている。
なぜアクティオは、自社で水中ポンプの整備を行うのか? 冒頭で述べたように、水中ポンプはアクティオの歴史そのものということもあるが、基幹工場に集約することで「量」による集中整備を行い、効率化している。また、1度でも使用すると使いまわしせず基幹工場に戻して整備を行うことで、切羽が詰まっていて現場で動かない、水が上がらないということがないように「品質」という付加価値を提供している。機械の求められる性能を発揮させることを、アクティオは使命としている。
汎用の水中ポンプは「今すぐ欲しい」と、必要に応じてすぐに持って行かれる商品。主要な機種は、営業所で完成品として在庫を抱えておく必要がある。
また、水中ポンプは季節商品的な要素も持ち合わせている。台風シーズンの9月~10月は単相100Vの小さな機種が引っ張りだこだ。11月~翌年2月は年度末に向けた工事で、7.5kW以上の大型ポンプの需要が高まる。
アクティオには水中ポンプに関し、「お客様からの依頼は絶対に断らない」という教えがある。注文が入ってから整備していたのでは納期に間に合わないため、それ相応の数の完成品をストックしておく必要があるのだ。それでも足りない可能性がある場合は、グループ会社の櫻川ポンプ製作所から購入するなどして、是が非でも対応する。そうしたことも踏まえ、相当数の水中ポンプが必要なのだ。
エンジニアリング事業部は大型のポンプを運用
水中ポンプ広域センターが小型・中型の水中ポンプを運用しているのに対し、大型(22kW以上)を扱っているのがエンジニアリング(EG)事業部だ。
EG事業部はアクティオが提唱するレンサルティングを推進するための中核部門で、ゼネコンなどに対して工法プランニングのサポート、それに基づいた安全性と環境負荷の低減に配慮したレンタル機種選定、必要に応じた商品開発、設計などを行っている。トンネル工事や大規模開発など、大掛かりな工事に参画することが多いため、それらに必要なインフラ関連、環境関連のレンタル機材を幅広くラインナップしているが、仮設足場といった建築機材関連、トランシーバーやレーザー測量器といった通信計測機器関連も扱っており、その守備範囲はかなり広い。
EG事業部が関わる工事で使用するポンプの代表格が、スラリーポンプだ。これは土や石などの固形物質が液体の中に懸濁(けんだく)している流動体を吸い出すポンプで、主に地山(じやま)を掘った際に出る泥水を吐き出す際に使用する。泥水式シールド工法では欠かせないポンプで、例えば東京湾アクアラインを掘る際に使用したスラリーポンプは、組み立てると20tにもなったという。
ここまで大きくはないが、いわゆる筒形の水中ポンプでも、エンジニアリング事業部が扱うものは人の背丈ほどある。電圧は200V、もしくは400Vだ。電圧を高くするとCTケーブルを細くすることが可能なので、直径が小さい通信インフラ用のトンネル工事では、取り回し性を重視して400Vの水中ポンプが使われるのだ。
片手で持ち上げられるような小型のタイプから、総重量20tにも及ぶ大型のタイプまで、ポンプは用途やサイズ、また構造もさまざまである。アクティオはあらゆる工事に対応するため、ひいては日本の国土を築くため、万全の体制でポンプの運用にあたっている。
※記事の情報は2022年12月20日時点のものです。
〈ご参考までに...〉
● 大水量ポンプ(アクティオ公式サイト)
● オートポンプ(アクティオ公式サイト)
● 残水ポンプ(アクティオ公式サイト)
● 残水処理ポンプ(アクティオ公式サイト)
● 水中サンドポンプ(アクティオ公式サイト)
● 横型サンドポンプ(アクティオ公式サイト)
● 高揚程ポンプ(アクティオ公式サイト)
● 超高揚程ポンプ(アクティオ公式サイト)
● 汚水用ポンプ(アクティオ公式サイト)
● 水中ポンプ・水処理機械(アクティオ公式サイト)