2025.09.11

建設現場の働き方を変革! 「重機遠隔操作システムに関する記者発表会」を開催 2025年5月29日、アクティオは報道関係者を対象に「重機遠隔操作システムに関する記者発表会」を開催した。建設現場の働き方を変革する「重機遠隔操作システム」の紹介を軸に、遠方にある重機を操作するデモンストレーションを実施。会場となったアクティオ本社(東京・日本橋)のレンサルティングスタジオには、多くの報道関係者が集まった。

建設現場の働き方を変革! 「重機遠隔操作システムに関する記者発表会」を開催

小型重機での実現に強み。1人で2台を遠隔操作

建設業界が抱える課題は多岐にわたるが、中でも人材不足と生産性の向上が深刻だ。また、災害復旧を含め、危険な場所での作業を余儀なくされることも課題である。こうした状況を踏まえ、デジタル技術を活用した重機の遠隔化や自動化に向けて、各社が試験や開発を進めている。アクティオもラジコンバックホー(13~20tクラス)のレンタルや、ゼネコンへの遠隔操作支援などを行ってきたが、多くは現場敷地内、つまり近距離の遠隔操作支援が主である。


今回行われた記者発表会では、遠方の重機を安全かつ効率良く操作できる「重機遠隔操作システム」の開発を発表した。


アクティオ本社(東京・日本橋)のレンサルティングスタジオに設置された操作席から、産業機械事業部 プラント営業課(千葉県市原市)にある2台の重機を操作するデモンストレーションも実施した


土木の現場で使われるバックホーの遠隔化は、作業効率を求め13tクラス(バケット容量0.45m³)以上の機体で行われることが多い。これに対しアクティオの遠隔化は、山間部のような狭い現場でも遠隔操作を可能にするため、バックホーは4t(バケット容量0.14m³)、キャリアダンプは2.5tと小型の重機での実現に的を絞った。このことが今後、アクティオならではの強みとなっていくことが期待される。


バックホーは4t、キャリアダンプは2.5tと小型の重機で遠隔操作を行った
※写真は別日に行った遠隔操作の様子。アクティオ本社(東京・日本橋)から、九州テクノパーク統括工場 鹿児島姶良工場(鹿児島県姶良市)にある2台の重機を操作した


また、重機からの直接操作と遠隔操作の両方に対応しており、耐衝撃や耐振動性といった耐久性に優れている点も特長だ。さらに、1つの遠隔操作席でバックホーとキャリアダンプ、つまり1人で2台の重機を操作でき、遠隔操作による施工効率を高めている。


1人で2台の重機を操作できるのもポイント。切り替えはダイヤル操作(右上)で行う


重機の遠隔化は、後付けの電磁比例弁によって行っている。ロボットを搭載して遠隔化することも可能だが、今回は重機からの直接操作と遠隔操作の両方に対応するため、電磁比例弁を採用した。


電磁比例弁




ソフトバンク社、ジザイエ社との協業による技術を採用

今回の遠隔操作システムで特に重視したのが「通信」と「映像」だ。遠隔操作は、極論を言えば遠隔仕様の重機と通信環境さえあれば成立する。しかし実際は、現地を目で見て、重機を直接操作できないことから、通信環境の速度と応答性、映像による状況把握、制御システムによる操作性と安全性が求められるのだ。「操作対象重機の最適化」「操作性・安全性」を担う技術の確立、加えてオペレーターの習熟度によって、効率の良い遠隔操作が可能になる。


「通信」のキーワードとなるのが「Starlink Business(スターリンクビジネス)」だ。スターリンクは衛星通信を利用した高速インターネットサービスで、アクティオは、一般向けよりも通信が安定しやすい法人向けのサービスを提供している。スターリンクであれば、携帯電話の圏外エリアであっても、光回線が何らかのトラブルで使用できない場合でも、即時の高速インターネット通信が可能になる。


具体的な遠隔操作システムは次の通りだ。まず、操作席から送信された操作信号は、光回線、スターリンクの衛星を経由して、遠方の現場に設置されたスターリンクのアンテナに送られる。アンテナが受信した信号は、中継地点を経由してWi-Fiで重機へと送られ、重機が動作する仕組みだ。


(左)操作信号は、光回線、スターリンクの衛星を経由して、現場に設置されたスターリンクのアンテナ(写真手前)に送られる
(右)アンテナが受けた信号は、中継地点を経由してWi-Fiで重機へと送られる


通常はこのように操作信号を送るのは容易ではないが、アクティオはソフトバンク社から提供を受けたSD-WAN*を使用することで実現している。なお、重機にはそれぞれWi-Fiの受信機が搭載されており、個々にIPアドレスを振り分けているため、誤って別の重機が動作することはない。


* SD-WAN:Software Defined Wide Area Networkの略。ソフトウェア制御により動的にWAN(広域ネットワーク)を管理、運用するサービス


一方、映像システムには、東京大学稲見研究室発のスタートアップであり、リアルタイム遠隔就労支援プラットフォーム「JIZAIPAD(ジザイパッド)」を提供するジザイエ社の高圧縮映像伝送技術を採用している。使用したカメラは、車載カメラと俯瞰カメラの2台だ。


(左)車載カメラにはブレ補正が付いている (右)俯瞰カメラ
圧縮された映像はリアルタイムでクラウドにアップロードされ、低遅延かつ高画質である点も特長だ


操作席ではこれらの映像を一画面にまとめ、オペレーターの好みに合わせて大きさや位置を調整でき、より安定した遠隔操作を実現している。


操作席の前に設置されたモニターの映像は、各画面の大きさや位置を自由に変更できる



今回発表された重機遠隔操作システムは、現場ごとに仕様が異なることが想定されるため、当面レンタルでの運用は行わず、お客様ごとの案件に応じて内容を精査し、対応する計画だ。



▼重機遠隔操作システムに関する記者発表会


※記事の情報は2025年9月11日時点のものです。


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〈ご参考までに...〉

アクティオ、「重機遠隔操作システム」を開発(アクティオ公式サイト)

Starlink Business(スターリンクビジネス)レンタルサービス(アクティオ公式サイト)

Starlink Business 特設ページ(アクティオ公式サイト)

事業分野紹介「i-Construction(ICT施工)」(アクティオ公式サイト)

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