2026.10.05

クレーンワイヤー交換の安全性と効率性を改善。アクティオ社員の考案が銀賞を受賞 令和7年度 公益社団法人 建設荷役車両安全技術協会「考案賞」で、アクティオ社員が考案した「クレーンワイヤー交換治具」が銀賞を受賞した。この治具を使うことで、2人で行っていた移動式クレーンのワイヤー交換作業を1人で完結できるようになり、作業時間の大幅な短縮に成功した。安全性と効率性を高めた点が評価され、昨年に続いて4年連続の受賞となった。

クレーンワイヤー交換の安全性と効率性を改善。アクティオ社員の考案が銀賞を受賞

移動式クレーンのワイヤー交換作業における課題

移動式クレーンは、多くの工事現場で活躍する建設機械のひとつだ。軟弱な地盤や悪路でも使えるクローラークレーン、トラックの荷台にクレーンを架装したトラッククレーンなど、さまざまなタイプが存在する。


いずれのクレーンでも要となる部品がクレーンワイヤーだ。このワイヤーはクレーンの動力を吊り荷に伝える、まさに生命線と言える。ワイヤーの状態が、作業の安全性と効率性に大きく影響する。


クレーンワイヤーは作業中、常に高いテンション(張力)と摩擦にさらされているため、キンク(折れやねじれ)、摩耗といった経年劣化が生じる。適切なタイミングでの交換が必須である。


移動式クレーンのワイヤー交換作業は、手間と時間を要する重労働だ。通常はクレーン操作者とワイヤーを引き出す作業者の2人1組で行う。クレーン操作者がゆっくりとクレーンを下げ、もう1人がワイヤーにテンションをかけながら引き出す。テンションが緩むと、クレーンドラム上でワイヤーが乱巻になりやすく、やり直しが必要になるため作業時間のロスにつながる。


また、ワイヤーの根元部分に曲がりがある場合、引き抜く際に強いテンションがかかり、外れた反動で作業者に跳ね返る危険性もある。これは重大なインシデントにつながりかねない。


従来は移動式クレーンのワイヤー交換を行う場合、2人1組で作業していた




クレーンワイヤー交換治具|ワイヤーを安全かつ効率よく交換

こうした課題を解決するための改善を行ったのが、アクティオ三重いなべテクノパーク統括工場 整備二課の黒田浩史業務専任課長だ。安全性と効率性を高める方法はないものか......黒田業務専任課長が導いた答えが、「クレーンワイヤー交換治具」の設計・製作である。


バッテリー式高所作業車の走行装置(電動駆動部)を再利用し、クレーンワイヤーの抜き取り・巻き取りを1人で安全に、かつ効率よく行える交換治具を自作した。黒田業務専任課長が持っている第一種電気工事士の資格が、開発に役立った。


クレーンワイヤー交換治具を考案したアクティオ三重いなべテクノパーク統括工場 整備二課 黒田浩史業務専任課長


クレーンワイヤー交換治具は、土台と駆動部をアームで連結し、駆動部を吊り上げられる構造になっている。ワイヤーを治具に通して電源を入れ、駆動部が吊り上がった状態にセット。するとワイヤーにテンションがかかるため、あとはクレーン操作と治具の操作を同調させて作業すればOK。これにより、ワイヤーの抜き取り・巻き取りともに1人で安全に素早く作業できるようになったのだ。


特に抜き取り作業では、従来、2人で約28分かかっていたが、この治具を使えば1人で約9分に短縮できた。


クレーンワイヤーを治具のガイドに通し、下のガイドから出るようにセット


治具とバッテリーは別体式。コントロールボックスはクレーン操作室まで持って行けるようになっている


クレーン操作と治具の操作を同調させながらワイヤーを抜き取る。治具の駆動部が吊り上がることでテンションがかかり、1人での作業を実現した


このクレーンワイヤー交換治具を、令和7年度 公益社団法人 建設荷役車両安全技術協会の「考案賞」に応募したところ、見事、銀賞を受賞した。考案賞は、特定自主検査に係わる労働災害の防止および品質・能力向上に役立つ作業改善や検査技術、機器等の考案を推奨し、特定自主検査制度の意識高揚を図る目的で、毎年実施されている。ちなみに、考案賞の受賞は、昨年に続き今回で4年連続となる。




ミニバックホーのHリンク・ブッシュ交換治具|ブッシュを素早く交換

今回、惜しくも考案賞の受賞は逃したものの、リードタイムを大幅に短縮する策として注目したいのが、同じくアクティオ三重いなべテクノパーク統括工場の整備二課 安藤隆諒主事が開発した「ミニバックホーのHリンク・ブッシュ交換治具」だ。


ミニバックホーのHリンク・ブッシュ交換治具。段がついている部分はダストシールが入る溝になる


これまで、ミニバックホーのHリンク・ブッシュを交換する際は、油圧プレスで古いブッシュを抜いてから、新しいブッシュを圧入していた。しかしこの方法では新しいブッシュがHリンクの表面までしか入らず、ダストシール分の溝(隙間)をつくるために、一度治具を外して、さらに別の治具に交換して作業を行う必要があった。そこで、一度で一連の作業を行える治具を開発した。


■ミニバックホーのHリンク・ブッシュ交換治具を使用した交換方法

Hリンクの下にスペーサーをかませ、そこに古いブッシュが落ちる状態にする。Hリンクの上に新しいブッシュ、さらに交換治具をセットして油圧プレスで圧入すれば、ぴたりと位置が決まる


■従来の交換方法

(左)まずは治具を使って古いブッシュを抜き取る
(右)新しいブッシュを圧入


別の専用治具に交換し、ダストシールが入る溝をつくる


ミニバックホーのHリンク・ブッシュ交換治具は、古いブッシュの抜き取りと新しいブッシュの圧入が同時にでき、加えてダストシールの溝の位置も正確に決まるように工夫されたもの。


従来はブッシュ交換(7~8個)に1台当たり約30分かかっていた。しかし、この治具を使用することで、約10分で完了できるようになり、作業時間が約20分も短縮できた。



ミニバックホーのHリンク・ブッシュ交換治具を使用することで、作業時間が1台当たり約20分も削減できた



▼創意工夫で安全性や作業性向上に貢献 アクティオ社員が考案賞「銀賞」を受賞


※記事の情報は2026年10月5日時点のものです。



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