2026.06.30

「TawaRemo®(タワリモ)」が実現するタワークレーンの遠隔操作。作業環境改善と生産性向上を後押し 建設現場の要であるタワークレーン操作において、オペレーターの負担が大きい労働環境や人材不足は大きな課題だ。これらの解決に向けて開発されたのが、遠隔操作システム「TawaRemo®(タワリモ)」である。地上のコックピットから操作するこのシステムは、生産性を向上させ、技術継承のあり方をも変えようとする、建設DXの象徴的な存在として注目されている。

「TawaRemo®(タワリモ)」が実現するタワークレーンの遠隔操作。作業環境改善と生産性向上を後押し

【目次】




「高所での長時間拘束」「人材不足」「高齢化」という課題

建設業界全体で人手不足と高齢化が深刻化する中、特にタワークレーンのオペレーターの確保は困難な状況にある。その大きな要因となっているのが、肉体的・精神的な負担が極めて大きい作業環境だ。


オペレーターは毎日、地上から旋回部に設置される運転室まで、高いと最大自立50mほどにもなるタワークレーンの垂直はしごを自力で昇降しなければならない。このはしごを昇るだけで20分以上を要し、一度昇れば作業終了まで1日中、狭い運転室内での拘束を強いられる。食事やトイレも運転室内で済ませる必要があり、休憩中も高所で過ごさねばならない。こうした過酷な作業環境が次世代の担い手不足の一因ともなり、熟練オペレーターの高齢化に拍車がかかっていた。


写真のタワークレーンの運転室で高さ20mほど。現場によってはこの倍以上の高さまではしごを昇らなくてはならない


ハーネスを装着し、安全ブロックを取り付け、はしごを毎日昇り降りする。危険が伴うため精神をすり減らす




地上からタワークレーンを遠隔操作する「TawaRemo®(タワリモ)」とは?

こうした課題を打破するために、竹中工務店、鹿島建設、アクティオが共同開発したのが、タワークレーン遠隔操作システム「TawaRemo®(タワリモ)」である。


このシステムでは、オペレーターはクレーン上部の旋回部に設けられる運転室ではなく、地上に設置された専用コックピットからクレーンを操作する。専用コックピットには、運転席の実機と同じ操作レバーやスイッチ、各種計器情報のモニターが配置され、クレーンに搭載された複数台の監視カメラの映像をモニターで確認しながら作業を行える。


正面モニターには、日常点検や異常早期発見にも使われるドラム監視カメラ、前方・後方監視カメラなどの映像が映し出される


(左)コックピットの脇には、揚程や荷重の情報を表示する集約計器モニターとジブ先端のモニターがある
(右)レバーやスイッチ類も運転席と同じものを使用している


特筆すべきは、実機の振動や揺れを再現する機能だ。クレーン上部の運転室に設置されたジャイロセンサーが、風や吊り荷による細かな振動や揺れを信号化。地上にある専用コックピット内にあるシリンダーがその振動や揺れを再現することで、オペレーターが従来の運転席と同等の感覚で操作できる工夫が施されている。


なお、建設現場における導入事例では、現在はコックピットを作業所内の専用ハウスや遠隔操作室に設置し、LAN接続で運用しているが、4GやWi-Fiなど複数の通信手段にも対応しており、将来的な長距離遠隔操作に向けた検討も進めている。


タワークレーンの運転室に設置されたジャイロセンサー(左)が振動や揺れを感知し、TawaRemo®のコックピットの下にあるシリンダー(右)でその振動と揺れを再現する。この機能はオフにもできる




オペレーターの負担を減らし、作業効率化にもつながる

TawaRemo®の導入は、オペレーターの労働環境を劇的に改善する。タワークレーンへの昇降が不要となり、これまで運転室への移動に費やしていた時間を削減できるだけでなく、オペレーターは快適な室内環境でタワークレーンを操作し、適切に休憩を取ることが可能となった。


また、地上の遠隔操作室にコックピットを設置することで、現場監督や作業員との直接的なコミュニケーションが容易になり、業務連携がスムーズになるというメリットも生まれる。


TawaRemo®の導入で、オペレーターの交代も容易になる


鹿島建設の成瀬ダム(秋田県東成瀬村)の堤体打設工事では、TawaRemo®の導入によりオペレーターの移動時間を1日あたり65分短縮し、クレーン稼働時間が約16%向上したと公表している。移動時間の削減に加え、オペレーターの精神的・肉体的疲労の軽減も期待される。




技術継承や現場DXのあり方を変える、TawaRemo®の可能性

TawaRemo®がもたらす変革は、単なる環境改善にとどまらない。建設現場のDX化を象徴する技術として、その活用にさらなる期待がかかる。


例えば、技術継承の効率化だ。コックピットが地上にあれば、熟練オペレーターが若手の横で直接指導することが容易になる。将来的には、1人のオペレーターが複数のクレーンを切り替えて操作したり、集中コントロールセンターなどにコックピットを集約させ、1人の熟練オペレーターによるサポートのもと、複数のオペレーターが全国各地のクレーンを遠隔操作するなど、効率的な運用も期待されている。


将来的にコントロールセンターが実現すれば、熟練オペレーターが複数の若手オペレーターを指導することも可能になる


さらに、場所の制約を超えた「クレーン作業のリモートワーク化」も視野に入っている。全国どこからでもクレーンを操作できる未来が実現すれば、多様な人材が活躍できる魅力ある業界への転換点となるだろう。アクティオは、自社保有のクレーンへのシステム導入を順次進めており、既存の枠組みにとらわれない新しい働き方の普及を牽引していく考えだ。


※記事の情報は2026年6月30日時点のものです。



〈商品情報〉

TawaRemo®(タワリモ)


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