2026.09.16

北信越エリアの新拠点「長野ちくまテクノパーク統括工場」が本格稼働 アクティオは、研究開発拠点やトレーニングフィールドを兼ね備えた大型の整備・物流工場として、全国にテクノパークを展開している。その9番目の拠点として、2025年12月1日、長野県千曲市に「長野ちくまテクノパーク統括工場」を開設した。テクノパーク最大の敷地面積を誇り、高い整備力と最新設備を備えた、北信越エリアのインフラを支える新拠点だ。2026年5月13日にはプレス発表会や記念植栽が行われ、地元の長野や東京から多くの報道関係者が訪れた。

北信越エリアの新拠点「長野ちくまテクノパーク統括工場」が本格稼働

【目次】



敷地面積はテクノパーク最大

長野自動車道・更埴ICから車で約10分。県内や関東方面はもちろん、新潟・北陸方面へのアクセスも良好な長野県千曲市に、長野ちくまテクノパーク統括工場が開設された。


長野ちくまテクノパーク統括工場


敷地面積は9万1,104m2(2万7,559坪)と東京ドーム約2倍の広さで、アクティオのテクノパークの中で最大の敷地面積を誇る。県内5カ所に点在していた整備拠点を本工場に集約したことで、重機から小型機械、レンタカーまで幅広い機材を1カ所で整備できるようになり、管理や物流の面でも効率が高まった。


工場棟は、事務室や会議室がある事務棟を中心に東西に分かれている。東棟には、発電機・コンプレッサー・投光機などを扱う「整備一課」と、重機・高所作業車などを担当する「整備二課」がある。


事務棟は東西に分かれた工場棟の中心にある


整備一課は、発電機・コンプレッサー・投光機などを担当


整備二課は、重機・高所作業車などを担当


西棟には、300種類以上の小型機械を扱う「整備三課」と、軽自動車から4t車までの一般整備や車検整備が行える「レンタカー工場」がある。レンタカー工場は、国の厳しい基準をクリアした指定工場(いわゆる民間車検場)であるため、車検整備後の車両を陸運局に持ち込む必要がなく、車検に伴う業務を大幅に短縮できる。


整備三課は、小型機械を担当


レンタカー工場は、国の検査場と同等の設備と、国家資格である自動車検査員を配置した民間車検場として機能する




整備から製作まで担う技術力

長野ちくまテクノパーク統括工場の大きな特長は、単なる整備や修理にとどまらず、パーツなどを内製できる高い技術力にある。内製の中でも頻度の高い作業が、金属加工だ。西棟には、3次元精密加工が行えるMC加工機が設置されている。この機械により、バケットのピン加工やブレーカーのノミ加工などを自動化できる。


MC加工機


ブレーカーノミの加工再生が自動で行える


人の手では難しい精度とスピードで、安定した品質の溶接を自動で行える溶接ロボットも完備。商品の溶接に加え、ラックなど工場の備品も製作できる。


溶接ロボット


溶接やアタッチメントを取り付ける際、作業しやすい角度に調整できるポジショナーも導入している。これにより無理な姿勢での作業を強いられることが少なくなり、整備担当者の負担が大幅に軽減された。


ポジショナー


本工場では、メーカーの認定を受けた作業員が油圧ホースを内製している。その場で形状に合わせて製作できるため、外部に修理を依頼する、交換品を注文するといった場合よりも迅速に対応できるのがメリットだ。


油圧パイプの製作は内製している


このような技術や機器は、既存のダンプから需要の高い深煽りダンプへの改造など、業務の幅を広げることにも貢献している。


深煽りダンプへの改造も行える


整備力・技術力の向上には人材育成も欠かせない。そのため、専門技術の講習や商品の勉強会なども実施。作業員のスキルアップや安全意識の向上にも注力している。




最新設備を完備

長野ちくまテクノパーク統括工場には、数々の最新設備が備わっている。

■ツインタワーリフトとフロアリフトピット

「ツインタワーリフト」は10tまでの車両を持ち上げることが可能で、リフト格納時はフロアがフラットになるため、安全に作業できる。


ツインタワーリフト


一方、「フロアリフトピット」は下降型で、フロア面が上下することで最適な作業ポジションを確保。作業員が安全かつ無理のないポジションで点検や整備を行える。


フロアリフトピット

■塗装ブースと防音室

塗装ブースは上部開放型で、大きなバックホーのアームを伸ばしての塗装も可能。なお、上部の空気が下部に吸い込まれる構造になっているため、塗料が飛散する恐れはない。


塗装ブース


騒音や振動を伴う作業は、防音室で行われる。防音室は工場の躯体と切り離されており、音だけではなく、振動も伝わらない仕組みになっている。工場内で働く作業員の環境整備に加え、近隣への影響も配慮して設置された。


防音室

■専用の洗浄装置

作業員の負担の軽減や拘束時間の短縮を目的に、洗浄作業の効率化にも注力している。


まずは、重機の洗車プールにおける工程を見てみよう。初めに重機のクローラー部分を水に浸け、泥汚れなどを落としやすくしておく。次に、バックホーの場合はバケットと排土板を使って本体を浮かせ、クローラーを回転させた状態で、プール側面の洗浄ノズルから水を噴射。この工程で下回りの汚れを徹底的に落とす。


重機を洗車プールに入れ、クローラー部分を水に浸ける


バケットと排土板を使って本体を浮かせクローラーを回転させながら、プール側面の洗浄ノズルから水を噴射してクローラー周辺を洗浄


続いて、重機を自動洗浄エリアに移動させる。スイッチを入れた後は作業員がほかの業務に従事できるため、作業効率が大幅に向上する。


重機の自動洗浄装置


最後に、高圧洗浄機を使った手作業で気になる汚れを落とせば作業完了だ。通常の洗浄作業よりも時間を削減でき、洗浄効果も高い。


高圧洗浄機を使った手作業で最後の仕上げ


工事現場やイベント会場などで大量に使用される「敷鉄板」や「プラスチック敷板」は、返却後に長時間の洗浄作業が必要になる。そこで専用の洗浄装置を導入した結果、作業時間が手作業と比較して3分の1に軽減された。


「敷鉄板」用の洗浄装置


「プラスチック敷板」用の洗浄装置


降雪地域では凍結を防止するため、道路に塩化カルシウム(融雪剤)が散布される。塩化カルシウムは雪を溶かす効果が高い一方で、車に付着するとサビが発生しやすくなってしまう。このような地域特性に対応するため、レンタカー工場の洗浄装置は車の下回りも十分に洗えるように、14本のノズルで強力洗浄できる仕様になっている。また、車に乗ったまま洗浄装置を操作できるため、乗り降りの煩わしさがなく節水にもなる。


レンタカー工場の洗浄装置


「ショットブラスト」も洗浄装置の一種だ。これは直径1.4mmの鉄の粒を高速で吹き付けることで、コンクリートのような頑固な付着物、塗料、サビなどを除去できる装置。洗浄後は再塗装することで、新品のような状態を取り戻せる。


ショットブラスト。バックホーのバケットも入る大きさだ


コンクリートバケットに付着したコンクリートの汚れが、ショットブラストすることで驚くほどきれいになる




物流の拠点|多様な機械を保管・管理

長野ちくまテクノパーク統括工場のもう1つの重要な役割が、物流倉庫としての機能だ。営業所の「バックヤード」として欠かせない存在である。


建物の南側には広大なストックヤードが広がり、大型の機材を動かすために欠かせない3基の橋型クレーンを設置。工場内とストックヤードの移動には、空港などで活躍するトーイングトラクターや大型フォークリフトを使用している。


ヤードには3基の橋型クレーンを設置


数多くの重機がストックされている


西棟2階のストックエリアには、シーズン品や小型機械などが保管されている。ここで商品を保管・管理することにより、各営業所ではニーズの高い商品をストックすることが可能になる。


西棟2階のストックエリア


2階へのアクセスは「垂直搬送機」を使用。積載荷重は2tで、パレットや台車などを載せる。


垂直搬送機


フロアの一角には「電動式移動ラック」を設置。ここには整備が終わった小型機械などを格納している。ラックには576個のパレットが収納可能で、災害時に必要な備蓄品も保管されている。


電動式移動ラック




地域の防災拠点|災害時にも機能

アクティオは、災害時における道路や線路の復旧、瓦礫の撤去に欠かせない重機、停電時に必要な発電機などを大量に保有している。このためテクノパークは、災害対応物資の集まる拠点、中継基地としての役割が想定されている。そのためには、たとえ被災したとしても、稼働し続けられる体力が必要だ。


長野ちくまテクノパーク統括工場は、工場自体のBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)対策も万全だ。


災害で商用電源が喪失した場合は、各エリアに設置されたBCP接続盤に大型発電機を接続し、配電経路を切り替える。これにより、数十分以内に必要な電源を確保できる。また、これまでの災害の経験を踏まえ、発電機や重機、車両に必要な燃料の給油設備を完備。軽油は2万L、アドブルーは900Lを備蓄している。


商用電源が途絶えた際は、BCP接続盤に大型発電機を接続して対処可能だ


軽油とアドブルーを備蓄


また、アクティオとして初のヘリポートを設置。長野県消防防災航空隊のヘリコプターが安全に離着陸できる仕様になっている。


地域の災害時などに活用されるヘリポート


さらに、工場内には衛星通信サービス「Starlink Business(スターリンクビジネス)」のアンテナを設置している。災害時でも通信環境を確保できる。




プレス向けの発表会を開催

2026年5月13日、プレス向けの発表会が行われた。県内だけでなく、東京の報道関係者も数多く来場した。


「長野ちくまテクノパーク統括工場 お披露目会」の様子


見学コースは、長尾勝徳統括工場長の説明を聞きながら工場内を一周するというもの。単なる設備の紹介にとどまらず、デモンストレーションも行ったため、長尾統括工場長への質問が相次ぎ、プレス関係者の関心の高さがうかがえた。


(左)約1時間の工場見学後、質疑応答も行われた
(右)長尾勝徳統括工場長




クララの記念植栽も実施

また同日、姨捨(おばすて)の棚田オオルリシジミ保存会と更級農業高等学校の協力のもと、長野ちくまテクノパーク統括工場お披露目会記念植栽も行われた。


お披露目会記念植栽を実施


工場の南西には、日本の棚田百選に選定されている名勝「姨捨の棚田」が広がっている。1990年頃まで、姨捨の棚田一帯には絶滅危惧種に指定されているシジミチョウ「オオルリシジミ」が多数生息していた。しかし、農薬の散布や捕獲などによりこの地域では姿を消してしまった。姨捨の棚田オオルリシジミ保存会は、毎年5月初めにオオルリシジミの蛹(さなぎ)を放して自然繁殖に取り組んでいる。


一方、更級農業高校は、オオルリシジミの幼虫の食草であるマメ亜科の多年草「クララ」の栽培に協力している。アクティオは保存会を支援しており、2023年12月18日に、長野県、アクティオを含む加盟5社、更級農業高校と「生物多様性保全パートナーシップ協定」を締結。このような関係から、工場の敷地にクララを植栽する運びとなった。


(左)クララの植栽には姨捨の棚田オオルリシジミ保存会、更級農業高校、アクティオ関係者など、数多くが参加。地元テレビの取材もあった
(右)小沼直人代表取締役社長も植栽した



長野ちくまテクノパーク統括工場は、北陸・中部地方を中心に広いエリアの機械を担う、アクティオのサービスインフラとして不可欠な拠点だ。整備リードタイムの最小化や、未来を先取りした高精度なデジタル化への対応に取り組みつつ、作業員がストレスなく働ける環境を整え、生産性の向上につなげていく。近隣とも良好な関係性を保ちながら、成長を遂げることに期待したい。


長野ちくまテクノパーク統括工場の正面入り口


※記事の情報は2026年9月16日時点のものです。



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