2025.08.19

発電機整備の安全性と効率性を改善。アクティオ社員の考案が銀賞を受賞 令和6年度 公益社団法人 建設荷役車両安全技術協会「考案賞」において、アクティオ社員の考案が「銀賞」を受賞した。同時に別の考案で「努力賞」も受賞。いずれも、発電機を整備する際の効率性と安全性を高める点が高く評価されたものだ。

発電機整備の安全性と効率性を改善。アクティオ社員の考案が銀賞を受賞

公益社団法人 建設荷役車両安全技術協会(略称:建荷協)は、建設荷役車両(建設機械および荷役運搬機械)の検査・整備業、メーカー、ユーザー、リース・レンタル業者などで構成された団体だ。これらの企業が協力して、建設荷役車両の性能の保持向上と、作業の安全を確保するための定期自主検査制度の定着化を推進している。


同協会が、特定自主検査に係わる労働災害の防止および品質・能力向上に役立つ作業改善や検査技術、機器などの考案を推奨し、特定自主検査制度の意識高揚を図ることを目的として、 毎年募集している制度が「考案賞」だ。アクティオ社員は一昨年、昨年に引き続き、3年連続で考案賞を受賞する快挙を成し遂げた。




銀賞|簡易移動式馬台

今回、銀賞を受賞したのが「簡易移動式馬台」だ。「馬台」は用途によって指すものが異なる。例えば、自動車整備ではジャッキアップした車体を支える「リジッドラック」を指し、単に「ウマ」と呼ばれることも多い。建築作業や木材加工の現場では、4本の脚を持つ作業台や作業足場を指し、今回の簡易移動式馬台は後者にあたる。


簡易移動式馬台


生産現場にとって"改善"は永遠のテーマだ。世界中が注目しているのがトヨタ自動車の生産方式「トヨタ生産方式(TPS)」であり、今や"カイゼン"は世界共通語となっている。アクティオでは、トヨタ生産方式を手本にした「APS(Aktio Production System)」を導入。三重いなべテクノパーク統括工場のAPS道場では、生産ラインから無駄を排除するための方式を徹底的に学ぶ。


もともと三重いなべテクノパーク統括工場では、発電機を整備する際に使用する整備用品として、馬台を持っていた。"使っていた"ではないのが発案のポイントだ。馬台は片側約40kgと重く、整備場所まで運搬するのは一苦労だった。馬台に発電機を載せて整備すると、かがみながらの作業が軽減されて楽になるが、運搬するのが億劫になり、次第に使う頻度が減っていってしまったのだ。


そこで発案・製作されたのが、簡易移動式馬台だ。改善のポイントは3つある。


❶ 馬台を傾けると接地する位置にコロ(車輪)を取り付けた
❷ 馬台を傾けるためのバーを取り付け、軽い力で持ち上がるようにした
➌ 1人で2台同時に、軽い力で運搬できるようにした


(左)❶ 絶妙な位置に取り付けられたコロ(車輪)
(右)❷ 馬台の脚に沿わすように取り付けた折りたたみ式のバーにより、軽い力で持ち上がる


➌ 片側約40kgの簡易移動式馬台を、1人で同時に2台運搬できるようにした


実際に簡易移動式馬台を運搬してみると、誰でも簡単に扱うことができた。シンプルな改善だが、その効果は絶大。こうした点が評価されたのではないだろうか。


「馬台」が「簡易移動式馬台」に生まれ変わったことで、運搬の労力と作業中の腰への負担が減り、積極的に使われるようになった




努力賞|バッテリー交換台車

努力賞を受賞したのが「バッテリー交換台車」だ。発電機のバッテリーは重く、中には数十kgに及ぶタイプもある。部品庫から新品のバッテリーを出す ➡ 台車に載せる ➡ 発電機の前まで運搬 ➡ 発電機から古いバッテリーを外す ➡ 新しいバッテリーに交換 という一連の作業を、できるだけ身体への負担なく行えるようにしたのがポイントである。


バッテリー交換台車


製作のポイントは2点だ。


❶ 既存の昇降式台車に廃却した機械のウインチ部を再利用して取り付けた
❷ バッテリーを吊った際に台車が倒れないようにするため、台車下部にウエイトを置く台を取り付けた


(左)❶ 台車にウインチを装着。ワイヤーの先端には、バッテリーの取っ手に引っかけるフックも取り付けた
(右)❷ バッテリーを吊り上げた際の安定性を確保するため、台車下部に取り付けた箱に、廃棄するバックホーのピンを置き、重りとしている


バッテリー交換台車を使用し、発電機のバッテリーを交換する作業は以下の通りだ。


部品庫の棚の高さまで台車の天板を昇降させることで、重いバッテリーをスライドさせて台車に載せる。なお、これは既存の台車本来の機能だ


ウインチを使い、発電機から古いバッテリーを吊り上げて台車に置く


同じ方法で新品のバッテリーに交換。これを人力のみで行う場合、中腰での作業を強いられるため、作業者に大きな負担がかかる


三重いなべテクノパーク統括工場の社員が、公益社団法人 建設荷役車両安全技術協会「考案賞」を3年連続で受賞できたのは、日頃から改善に取り組んでいるからにほかならない。今後も物事を多角的に見る「鳥の目、虫の目、魚の目」の視点を大切にして、日々改善に取り組んでいく。


公益社団法人 建設荷役車両安全技術協会「考案賞」を受賞した、三重いなべテクノパーク統括工場 整備一課の北原孝志主査



▼令和6年度 公益社団法人 建設荷役車両安全協会「考案賞」 アクティオ社員が「銀賞」受賞


※記事の情報は2025年8月19日時点のものです。



〈ご参考までに...〉

三重いなべテクノパーク統括工場(アクティオ公式サイト)

作業足場(アクティオ公式サイト)

発電機(アクティオ公式サイト)

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