人材育成
2020.08.21
フィリピンからの技能実習生、アクティオでガンバル! アクティオの三重いなべテクノパーク統括工場に、こぼれんばかりの笑顔で働く8人の外国人スタッフがいる。フィリピンから迎えた技能実習生だ。現在、実習1年の節目を迎えようとする彼ら。ちょっぴり不安を抱えながらも、いなべでの生活になじんできたようだ。
フィリピンから来た若者たち
アクティオが迎えた技能実習生たちは、フィリピンの経済的に恵まれない家庭を対象とした職業訓練学校、CITE(Center for Industrial Technology and Enterprise)の卒業生だ。アクティオがフィリピンに設立した現地法人に社員として所属し、およそ1年前に三重いなべテクノパークに技能実習生として迎え入れられた。
三重いなべテクノパークは、水中ポンプ、発電機、バックホーから高所作業車、軌陸車、そして各種の工事用特殊機械まで幅広い守備範囲を持つ、中部地方の拠点だ。フィリピン人技能実習生は、ここで発電機や水中ポンプといった各種機械の整備技術を習得する。
日本で働くためには、日本語が欠かせない。日本語の壁を乗り越えてもらうため、丁寧な日本語講習を行い、毎日寝る前に日本語で日記を書いてもらう。その結果、日本に来てまだ1年だが仕事上の会話なら難なくこなせるレベルになっている。
僕は部長になる!
彼らは、三重いなべテクノパークの近くの寮で共同生活を送りながら、それぞれ別々の持ち場で働いている。発電機の整備を担当しているピトゴさんとアモロトさんは、もっと勉強してフィリピンに戻り、現地法人の部長になりたい!と胸を張った。またポンプの整備担当のフェルナンデスさんは、将来は現地法人でセールスの仕事がしたい、と目を輝かせる。フィリピンにレンサルティングの灯がともる日も近いようだ。建機レンタルの市場がこれから立ち上がるフィリピンで、彼らは建機レンタル界のエースに育ってくれることだろう。
まずは人を育てる海外戦略
海外技能実習生の受け入れには、大きく2つの形態がある。ひとつは技能実習生受け入れの主流で「団体方式」と呼ばれるもの。業界団体などが技能実習生をいったん受け入れ、それから企業に派遣するという方法だ。この場合、実習生の管理は最初の受け入れ団体が担う。この形態は比較的ハードルが低く、国内の人手不足にともない、近年増加している。
もうひとつは「単独型」で、企業が独自に現地法人などを通じて個々の実習生を受け入れ、教育するものだ。アクティオは、フィリピン人技能実習生の受け入れに際して、後者を選択した。現地に設立した法人で彼らを社員として雇用し、日本へ技能実習生として受け入れたのだ。
直接フィリピンに出向き、募集、面接、適正審査までを行い、有望な若者を受け入れた。また大事な子息を海外に送る家族の面談も行った。万にひとつのトラブルもないよう、細心の注意を払って受け入れた実習生たちは、アクティオの大切な仲間になった。
実習生の日本滞在は、最短の場合で3年、さらに条件によっては5年、10年と延長することができる。その間、時間をかけて充分に技術を習得することができるのだ。そうして育った彼らは、母国に戻りアクティオの現地法人でバリバリ仕事をこなすことができる。フィリピンでの拠点立ち上げをスムーズに、スピーディに行える。これが大きな目的だ。
フィリピン人技能実習生の受け入れは、国内外の組織が協力し合い一体となって実現した。特に受入れ先のいなべテクノパークは勿論、現地事前研修などにも志願いただいた国内組織の数々のメンバーの力なしには実現しなかったと海外本部長を務める、松山安男常務はこう強調する。
松山常務「今回、フィリピンから受け入れたのは、経済的に恵まれない家庭を対象にした技能学校、CITEの卒業生です。こういう方々を受け入れると、ともすれば社会貢献活動という枠組みで受け止められがちですが、弊社は、これを純粋な企業活動として捉えています」
フィリピンからの技能実習生受け入れは、アクティオの成長には欠かせない地に足の付いた戦略だった。
松山常務「フィリピンからの人材を大切に育て、やがては現地でアクティオのために活躍してもらう、という明確な目的があります。もちろん、このような企業活動が結果的にフィリピンにおける社会貢献に繋がっていけばこれに勝ることはありません」
建機レンタルという業態がこれから大きく育つ市場、フィリピン。アクティオの取り組みはやがて大きな実を結ぶに違いない。
富士登山で団結!
いなべテクノパークで技能実習生たちになにくれとなく指導をしているのが、長尾統括工場長だ。かつてタイから受け入れた技能実習生を自らの手で育てあげた経験も持つ。技能実習生たちは昨年9月、長尾統括工場長の発案で富士登山にチャレンジしたという。
長尾統括工場長「入社当初、彼らに日本で興味があることは?というアンケートを取りました。そうすると、『富士山』という答えが圧倒的多数でした。それなら、という事で富士登山を計画したんです。私も富士山に登ったことがなかったし、良い機会だと思いまして。みんなかなりキツそうでしたが、なんとか全員に御来光を拝んでもらうことができました」
実際、技能実習生たちに「日本の体験で一番印象に残っているのは?」と問いかけたところ、口々に「富士山!」という答えが返ってきた。富士から臨む日の出は、実習生たちの瞳にくっきりと焼き付けられたようだ。
大きな責任
長尾統括工場長は、こんなエピソードも聞かせてくれた。
長尾統括工場長「彼らには、たまに日本語で作文を書いてもらうんです。その中に、印象的な文章がありました。フィリピンを出る前、日本の会社ではいじめられるかもしれないけど我慢して頑張れ、と知り合いに言われて怖かったという子が『アクティオの人はみんな優しくて安心した』と書いてくれたんですよ」
外国人技能実習生については、国内各地でさまざまな問題も起きている。だからこそ、アクティオではしっかり受け入れ育てていきたいと長尾統括工場長は語る。
長尾統括工場長「フィリピンからは単独型で実習生を直接受け入れているので、すべての責任が当社にかかってきます。大きな責任がともなっているんです」
アクティオ・三重いなべテクノパークで大切に育てられるフィリピン人技能実習生たち。彼らは、今後アクティオの海外展開のキーマンとして巣立っていく。今回はフィリピンからの1期生だが、今後、2期生、3期生の受け入れも進めていく予定だ。アクティオ社内で、外国人技能実習生の存在感が徐々に高まっている。
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フィリピンからの8人の技能実習生。彼らの来日前には、アクティオが独自に行った、フィリピン国内での4か月にわたる事前研修がありました。その模様はこちらの記事をご覧ください。
※記事の情報は2020年8月21日時点のものです。
〈ご参考までに...〉
● 三重いなべテクノパーク統括工場(アクティオ公式サイト)