2020.08.25

フィリピンで実習生を独自事前研修 日本語研修500時間など4カ月の猛特訓 前回の記事「フィリピンからの技能実習生、アクティオでガンバル!」でご紹介した、アクティオの三重いなべテクノパーク統括工場で働くフィリピンからの8名の若者たち。彼らの来日前には、アクティオが独自に行った、フィリピン国内での4カ月にわたる事前研修があった。

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フィリピンで実習生を独自事前研修 日本語研修500時間など4カ月の猛特訓

企業単独型の受け入れで「アクティオの社員」に

日本の企業が海外から技能実習生を受け入れる際は、国内での採用に至る前に、現地での人材募集、規定の講習、行政手続きなどのさまざまな業務が必要となり、通常、企業はこれらの業務を専門に扱う団体に一括して委託する。「団体管理型」と呼ばれるこの方法は、日本企業による技能実習生受け入れの9割以上を占めると言われている。

現在、三重いなべテクノパーク統括工場で働くフィリピンからの技能実習生の受け入れにあたってアクティオがとった方法はちがう。アクティオは、多岐にわたる業務をすべて自前で行う「企業単独型」の受け入れ方法を選択した。企業単独型では、実習生の受け入れ前も後も時間と労力が必要で、行政手続きも煩雑を極める。多くの業務負担と責任を伴う半面、日本での新入社員と同じように「アクティオの社員」として実習生を受け入れ、一から育てることができるというメリットがある。

「企業単独型で時間をかけて実習生を選抜・研修することで、実習生の意識に『一人のアクティオ社員』としてのプライドが醸成されて、モチベーション高く仕事に臨んでもらうことができます。この入り口部分は、大きなポイントだと思います」(実習生受け入れ業務担当者)


実習候補生は合計500時間に及ぶ日本語の研修を受講した実習候補生は合計500時間に及ぶ日本語の研修を受講した


4カ月間の厳しい研修、笑顔で迎えられた家庭訪問

現在いなべテクノパーク統括工場で働く実習生8名の採用活動をアクティオが開始したのは、2018年の6月。フィリピン・セブ市にある職業訓練学校CITE(Center For Industrial Technology And Enterprise)に依頼し、卒業生のなかから優秀な人材を、実習生候補として紹介していただいた。アクティオは、技能実習生受け入れ制度の規定の講習時間をクリアしたうえでさらに独自の事前講習をプラスする、徹底した現地講習を実施した。

現地に滞在したアクティオの講習担当者は、現地での顧客開拓業務のかたわら、4カ月にわたり実習生候補の選抜と指導、さらに渡航などの各種手続きに奔走した。

「候補者20名について事前に評定表をいただき判断材料とするとともに、6月18日、CITEの校内で面接して、候補生として10名を選抜しました。10名にはセブ市内の語学学校AHGSにおいて、9月18日から2019年1月までの約4カ月間、毎日朝9時から夕方5時まで、合計500時間にも及ぶ厳しい日本語研修を受講してもらいました」(講習担当)

まだ見ぬ国の未知の仕事のために、4カ月もの研修漬けの毎日だったが、候補生たちの表情に戸惑いは感じられず、皆、いつでも真剣な眼差しで取り組んでいて、戸惑いよりも、やる気や希望に満ちあふれていた。

期間中には家庭訪問も実施した。セブ島の外れや山間部など、さまざまな場所にある候補生の実家に、アクティオのスタッフが訪問した。

候補生の家庭環境は、小さな兄弟の多い家庭、母子家庭、父子家庭、なかにはつい先日の台風で家屋が倒壊してしまったという家庭などもあり、決して恵まれているとはいえない。候補生たちが働き手として背負っているものは大きいことを痛感したが、どの家庭でも明るい笑顔で温かく迎えられたことが印象的だったという。


挨拶や整列の仕方などについても、講習が行われた挨拶や整列の仕方などについても、講習が行われた




15日間の合宿で仕上げ。そして日本へ

11月には日曜日を利用してビジネスマナー教育も実施、日本の社会人としてのマナーや身だしなみを厳しく指導。そして11月末、いよいよ受け入れる実習生8名の最終選考を発表した。日本に呼べなかった候補生にとっては辛い宣告となった。

年が明けた2019年1月には、CITE近くの教会を合宿所としてお借りし、15日間に及ぶ合宿を実施。掃除やラジオ体操に始まり、アクティオの会社説明や日本の習慣・礼儀作法の学習など、プログラム漬けの毎日。実習生は特に、「元気に挨拶すること」を徹底的に教え込まれた。食事は実習生が自炊し、互いのコミュニケーションも深めた。日曜日には、早朝にランニングを行った。


掃除の様子合宿中には朝の清掃活動も行われた


1月24日には、CITEの主催で、全員の親兄弟が集まった賑やかな壮行会を開催。全員が抱負を語った。

「家族と別れるのは悲しいですが、3年間は勉強。仕事をがんばります。遊びはナシです。がんばって、アクティオマンになって、エンジニア、マネージャーになりたい。家族のためにがんばります。CITEの先生方にもたいへん感謝しています。将来は、フィリピンに戻って活躍したいです」と、実習生の一人は語った。

壮行会では「別れるのはつらい、1年で帰ってきてほしい」と語る実習生のお母さんも。しかし多くの親御さんは「日本は良い国。アクティオのレンタルもたいへんいいと思う」と、日本へ旅立つ息子を誇らしげに思っている様子だった。

大いに盛り上がった壮行会は、最後に全員で、ソラで歌えるようになった日本の歌「上を向いて歩こう」と「世界に一つだけの花」を合唱して、幕を閉じた。

2019年2月6日、実習生たちは国際空港で家族や関係者に見送られ出発。飛行機は冬の中部国際空港に到着し、実習生たちの日本での3年間がスタートした。


壮行会に駆けつけた家族を前に全員が抱負を語った壮行会に駆けつけた家族を前に全員が抱負を語った


経済成長著しい母国のアクティオを担う人材に

人口が急増し、2020年代後半には日本の人口を追い抜くことが確実視されているフィリピン。現在こそコロナ禍の影響は受けているものの、直前までは毎年5%から6%の経済成長を続けており、その潜在的な成長力は依然として強い。

「フィリピンの建設市場は規模が大きく、2020年のインフラ整備にも多額の国家予算が投じられており、将来に亘ってこの成長を止めることはないだろうと予想できます。現在フィリピンでは、ゼネコンや地場の建設会社は基本的に機械を保有していて、不足したら自社の関連会社から借りて運用しています。いまはこういう状態ですが、将来は日本のように電話一本ですぐに機械が使えるレンタルに切り替わると考えられます」(講習担当)

現在三重いなべテクノパーク統括工場で実習生として研鑽を積んでいる8名の若者は、アクティオがフィリピンでのレンタル事業を本格化するとき、その中核として活躍するに違いない。そのために、いまは日本で着実な歩みを重ね、多くを吸収して、将来フィリピンでアクティオを担ってほしい。期待は膨らむばかりだ。

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