2021.02.17

鉄道トンネル工事で活躍する軌陸車「車載式高所作業台」 水陸両用車とか、空飛ぶ自動車とか、一台二役の機能を備えた乗り物にはワクワクさせられる。さしずめ、男のロマンといったところか。だから鉄道線路も自動車道路も走行できる軌陸車にも、心を揺さぶられる。今回の主役は、「車載式高所作業台」という名の軌陸車だ。

鉄道トンネル工事で活躍する軌陸車「車載式高所作業台」

天井付近も側壁も保守点検可能

軌道(線路)と道路の両方を走行できる車両を軌陸車(軌道陸上兼用車の略)と呼ぶ。道路は通常のタイヤ、線路上では普段格納している鉄輪を下ろして走行するわけだ。これだけでも十分に特種なのに、たいていの軌陸車はプラスαの能力を秘めている。ダンプやトラック、バックホー、クレーンという具合で、積んだり、掘ったり、吊ったりもできる働き者なのだ。


今回紹介する「車載式高所作業台」は、読んで字のごとく、トラックの荷台に高所作業用の台を積んだ軌陸車だ。このうち、「車載式高所作業台 500kg/軌陸用」では、高所作業台のフロア高は通常は約2.8mだが、油圧でストロークさせると約4.5mまで上げられる。さらに高所作業台のフロア部と、その下にもはねだし床を装備しており、左右約70cmも張り出せるのだ。


高所作業台を下げて、はねだし床を出している状態。通常の荷台部分には、作業員が移動のために乗ったり、ちょっとした機材を積み込むことができる高所作業台を下げて、はねだし床を出している状態。通常の荷台部分には、作業員が移動のために乗ったり、ちょっとした機材を積み込むことができる(※)


主な用途はトンネル内(単線を想定)の保守点検である。高所作業台を上げて天井付近、はねだし床から側壁を点検・修理するわけだ。高所作業台の積載荷重は500kg、はねだし床の許容荷重はいずれも150kgなので、たいていの作業には事足りる。


ベースとなるトラックの乗車定員は3名。作業を行うには人員不足のような気もするが、ご心配なく。車載式高所作業台の下のスペースに作業員や機材を載せられるのだ。(※)


線路上での保守点検は、終電から始発までの限られた時間で行われることが多い。現場付近まで道路で移動できて、踏切等からさっと載線(車体をレールの上に載せること)できる軌陸車は機動力が高いため、時間的な制約が多い鉄道の保守点検に大活躍なのだ。鉄道インフラは、こういった軌陸車によって支えられているのである。


※荷台への人の搭乗は軌道内限定


▼車載式高所作業台


※記事の情報は2021年2月17日時点のものです。



〈ご参考までに...〉

車載式高所作業台 500kg/軌陸用:PDF(アクティオ公式サイト)

車載式高所作業台(レンサルティングミュージアム)

鉄道機械レンタルカタログ:PDF(アクティオ公式サイト)

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