2022.02.22

工事の進捗状況を見える化する「地下化切替工事・工事進捗状況確認システム」を開発 ひと晩にして地上にあった線路が地下に潜り込む。そんな芸当がなぜ可能なのか不思議で仕方がないが、綿密な計画によって成り立っているのは言うまでもない。とにもかくにも工種・手順が複雑な線路切替工事を見える化するのが「地下化切替工事・工事進捗状況確認システム」だ。

工事の進捗状況を見える化する「地下化切替工事・工事進捗状況確認システム」を開発

分刻みの進捗状況を一括管理

都市が進化するためには、大規模な再開発事業も時には必要である。当然、鉄道も姿を変えざるを得ない。線路や駅を連続的に高架化、地下化して、踏切を解消。道路混雑の緩和や分断された市街地の一体化を狙った連続立体交差事業を行うわけだ。


これがなかなか難しい。既設線の平常運行を確保した上で、高架橋や地下トンネルを建設することになるからだ。当然、大掛かりな工事は終電から始発までの真夜中に行われる。そのクライマックスが線路切替工事だ。


ある線路切替工事を例に挙げると、約1kmの区間をひと晩で地下化するに当たり、仮設の橋桁(はしげた)を撤去するために用意されたクレーンは10機。その工種、手順は多岐にわたり、進捗状況をリアルタイムで把握するのは至難の業(わざ)だ。さらに工事記録をつぶさに残すとなると、ハードルは非常に高くなり難しい。


そこでアクティオ技術部が工事の進捗状況の見える化を目的として開発したのが、「地下化切替工事・工事進捗状況確認システム」である。システムの概要は以下の通りだ。


1.大型モニターを使用した一括モニタリング
2.タブレットを利用した簡易入力システム
3.工事進捗状況の全体図面表示
4.工程に対する進捗状況をグラフ表示
5.Webカメラを使用したライブ映像表示


まず、大型モニターを使用した一括モニタリングは、60型×2枚で全体の作業状況を表示。各工区の工程は、24型×12枚で表示。加えて40型×6枚でWebカメラのライブ映像を見られる仕組みになっている。

工程に対する進捗状況をグラフ表示した例。縦軸に工事ステップ、横軸に時間が割り振られており、計画工程(ブルー)と実施工程(オレンジ)が並べて表示されているため、進捗状況の把握が容易である工程に対する進捗状況をグラフ表示した例。縦軸に工事ステップ、横軸に時間が割り振られており、計画工程(ブルー)と実施工程(オレンジ)が並べて表示されているため、進捗状況の把握が容易である


大型モニターに表示される情報は、各工区担当者がタブレットを使って入力する各工事ステップの開始・終了時刻が基になっている。各工区別に縦軸に何を行うかの工事ステップ、横軸に時間が割り振られており、作業開始と同時に各工区担当者が「進む」を押すと、まずはステップ1にオレンジのバーが現れ、そのステップ終了後に再度「進む」を押すと、次のステップにオレンジのバーが移行する。予定時間はブルー、実際の作業時間はオレンジでグラフ表示されるため、工程に対する進捗状況がひと目で分かるのだ。


工事進捗状況の全体図面表示では、タブレットのボタン操作と連動してクレーンの動作と桁材の撤去状況をアニメーションで表示。工事全体を可視化することにより、進捗状況を視覚的に把握することが可能となった。


もちろん、各工区にはWebカメラ(夜間対応型)を設置し、ライブ映像をモニタリングすることで進捗状況をリアルに確認できる。ちなみに、各工区担当者間、さらに本部との連絡には、IP通信を利用した免許・資格不要のトランシーバーを使用する。携帯電話の電波網を使用するため、一般的な特定省電力のトランシーバーと違い、通信距離の制限がなく、混信する可能性も低い。さらに地下や高低差がある現場などでも通話可能なため、信頼性が高く確実なのだ。


地下化切替工事・工事進捗状況確認システムが開発される以前は、紙に記入するなどしてアナログで管理されていた。それら工事の進捗状況をリアルタイムで確認でき、工事記録も残せる意義は、とても大きい。アクティオの技術が、重要なインフラのアップデートに貢献しているのだ。

地下化切替工事・工事進捗状況確認システムを開発した技術部企画計画課 太田八生課長地下化切替工事・工事進捗状況確認システムを開発した技術部企画計画課 太田八生課長


※記事の情報は2022年2月22日時点のものです。



〈ご参考までに...〉

事業分野紹介「鉄道分野」(アクティオ公式サイト)

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