2021.08.27

鉄道の安全・安定輸送に貢献する「ワイドリフト」をアクティオが納入 日々の安全・安定輸送を確保するため、軌道や架線、橋脚、トンネルなどの保守点検は欠くことのできない作業だ。アクティオは鉄道のトンネルを保守点検する車両「ワイドリフト」の設計・製作を担当し、このほど保守基地への配備が完了した。

鉄道の安全・安定輸送に貢献する「ワイドリフト」をアクティオが納入

上中下ステージで構成されるワイドリフト

アクティオは、鉄道工事のリーディングカンパニーである東鉄工業株式会社と、鉄道のトンネル保守用車両「ワイドリフト」を共同開発し、このほど保守基地に納入した。


発電機(青色の機械)を積載した台車の後方に3両連結されているのがワイドリフト。写真は上中下ステージを全て格納した状態だ発電機(青色の機械)を積載した台車の後方に3両連結されているのがワイドリフト。写真は上中下ステージを全て格納した状態だ


このワイドリフトは全長9,000mmの台車3台にワイドリフトを各1台搭載したもので、前後にモーターカー(小型の動力付き鉄道車両)と台車を複数配置した保守用車編成がワンパッケージとなる。


ワイドリフトは3両編成で、前後に複数の台車とモーターカーを配置した保守用車編成だワイドリフトは3両編成で、前後に複数の台車とモーターカーを配置した保守用車編成だ


それではワイドリフトの細かな仕様を見ていこう。上中下の3段ステージ構成になっており、上段ステージは1,150mm電動昇降する。中段ステージは上段ステージとワイヤーで連結することで、上段ステージに合わせて上下する(ワイヤーを外せば、上段ステージのみの昇降が可能)。上段ステージは左右に張り出し、さらに踏み台を展開することで、高さ約7,500mm、幅約9,500mmのトンネル内で効率よく作業できるようになっている。


上中下ステージを全て展開した状態上中下ステージを全て展開した状態


下段は全長4,700mmのステージが左右に電動スライドする仕組みになっている。これにより、トンネル壁面約100mmの距離まで近づくことが可能だ。


この位置からだと、中段ステージがワイヤーで吊られているのがよく分かる。下段ステージは左右いずれか片側のみ展開可能だこの位置からだと、中段ステージがワイヤーで吊られているのがよく分かる。下段ステージは左右いずれか片側のみ展開可能だ


さらにカントにも対応している。軌道はカーブに合わせてカント、つまり外側のレールが内側よりも高く角度が付けられている。当然、トンネル内にもカーブがあるため、そこで作業する場合はそのままだとワイドリフトが傾いてしまう。それを補正するため、台車から上の部分を傾けることで、上中下ステージが水平になるよう工夫されているのだ。


上中下ステージは軌道のカントに対応するため、ダンパーにより左右いずれかに傾けることで水平が保たれる(写真は軌道が水平のため、上中下ステージが傾いている)上中下ステージは軌道のカントに対応するため、ダンパーにより左右いずれかに傾けることで水平が保たれる(写真は軌道が水平のため、上中下ステージが傾いている)


(左)基本的な操作は、リモートコントローラーによって行う。(右)発電機は上下ステージの展開、カントに対応したダンパー操作のため必要になる(左)基本的な操作は、リモートコントローラーによって行う。(右)発電機は上下ステージの展開、カントに対応したダンパー操作のため必要になる




緊急時の対応に万全を期す

電動モーターの故障時など電動格納できない場合を想定して、全て手動でも行えるバックアップが用意されている。


電動で稼働する部分は、万が一の際に備えて、手動でも格納できるようになっている電動で稼働する部分は、万が一の際に備えて、手動でも格納できるようになっている




トンネル保守作業の使用状況

(左)上段ステージの手すりは、昇降した際に架線に干渉しないよう工夫されている。(右)中段ステージがトンネル側面ギリギリまで、せり出しているのがよく分かる(左)上段ステージの手すりは、昇降した際に架線に干渉しないよう工夫されている。(右)中段ステージがトンネル側面ギリギリまで、せり出しているのがよく分かる


アクティオが設計・製作したワイドリフトが、鉄道の安全・安定輸送に大きく貢献するのは間違いない。


トンネル保守作業時の安全性が向上したワイドリフトは今宵も活躍している。



▼鉄道トンネル作業車 ワイドリフト


※記事の情報は2021年8月27日時点のものです。



〈ご参考までに...〉

事業分野紹介「鉄道分野」(アクティオ公式サイト)

アーカイブ

ページトップ