実習・事例
2023.06.20
「アクティオSDGs体験型ワークショップ2023」を開催 2023年5月20日、アクティオの三重いなべテクノパーク統括工場において、いなべ市との共同主催による「アクティオSDGs体験型ワークショップ2023」が開催された。このイベントは、三重県いなべ市在住の小学4~6年生が対象で、午前と午後を合わせて約20組が参加した。
アクティオといなべ市のSDGsに関する取り組み
イベントレポートをお届けする前に、アクティオといなべ市のSDGs(持続可能な開発目標)に関する取り組みについて少し触れたい。
アクティオはさまざまな形でSDGsに関わる活動を行っているが、そのひとつが全国各地で行っている子ども向けの体験学習である。「SDGs for School」のパートナー企業として、その活動を支え、SDGsの4つ目のゴールである「質の高い教育をみんなに」の実現を支援しているわけだ。
いっぽう、いなべ市は、地方創生SDGsの達成に向け、優れたSDGsの取り組みを提案する自治体である「SDGs未来都市」に2020年に認定され、2020年度から本格的にSDGsを推進している。2021年度からは「いなべSDGs4Tプロジェクト」として、企業と行政がパートナーシップを結んで体験型ワークショップを展開。4TはTouch(触れる)、Think(考える)、To make(つくる)、Tell(伝える)の頭文字だ。SDGsが日常生活で当たり前になること、そして取り組みを繰り返しつなげていくことで、持続可能な開発目標の実現を目指しているのである。
アクティオはこの趣旨に賛同し、2022年5月に初めていなべ市と共同で「小学生向けSDGs体験型ワークショップ」を開催。同社の三重いなべテクノパーク統括工場で行った。使用済み食用油からバイオディーゼル燃料を作り、そのバイオディーゼル燃料を使ってアクティオが保有する機械を動かし、エネルギーを持続可能なものとすることの大切さを、子どもたちに学んでもらったのだ。この活動が評価され、アクティオは同年12月、「いなべSDGs推進パートナー」として認定されている。
こういった流れを受け、再びいなべ市と共同主催でのSDGs体験型ワークショップを開催する運びとなったのだ。
前年よりもパワーアップしたプログラム
イベント当日は午前と午後を合わせて約20組が参加。前日の雨がうそのように晴れて、午後は暑いくらいだった。
プログラムは、会議室での簡単な座学から始まった。まず、アクティオが行っている建機レンタルの仕組みについて説明。お客様は必要な時に必要な機械をアクティオから借りて、使い終わったら返す。アクティオは戻ってきた機械を整備して、また違うお客様にお貸しする。つまり建機レンタルは資源を無駄にしない循環型のビジネスで、図書館で本を借りる仕組みと同じ! といったことをレクチャーした。
参加者はさらに三重いなべテクノパーク統括工場の紹介を聞いた後、天井付近から工場内を見渡せるメンテナンスデッキ・ウォークへ出発。案内係の説明を聞きながら、ちょっとした空中散歩を楽しんだ。
普段、重機を見かける機会はあっても、近づくことは到底できない。このイベントは、「4T」を体感できるようにプログラムが組まれていて、重機にTouch(触れる)することも可能だ。0.07m3や0.7m3のバックホー、4.9tクローラークレーン、1.3m3ホイールローダなどの運転席に搭乗することができ、子どもたちは滅多にできない体験に満足そうだった。
重機・車両エリアを見学した後は、発電機エリアに移動。ここでは使用済みの食用油からバイオディーゼル燃料を作る方法を学び、それを使って機械を動かすことで発する天ぷらのような臭いを体感。
発電機エリアでは、「太陽光パネル搭載オフグリッドオフィスカー」も展示。屋根に搭載された太陽光パネルにより、オフィススペースの電気が自給自足できることが、この商品の最大の特長だが、子どもたちにとってはそれよりも、ポップアップルーフによって生まれる、秘密基地のような天井空間の方が印象的だったようだ。いずれにせよ、記憶に残ったことは間違いない。
発電機というと、ガソリンや軽油で動く大きなものを想像しがちだが、卓上コンロで使うカセットガスで動く発電機もある。メリットはカセットガスの入手が簡単で、保管も容易な点だ。大型の扇風機もしっかりと動かすことができるパワーに、子どもたちは驚きの様子だった。
三重いなべテクノパーク統括工場には、お客様や従業員が機械を操作し、さまざまな実証実験を行えるトレーニングフィールドがある。そこで行われたのが、バッテリー機関車の搭乗体験だ。ちょっとした冒険気分を味わえ、短い時間ではあったが存分に楽しめたようだ。また、ここでは騒音と振動についても学んだ。
移動中にも、ちょっとしたプログラムが組み込まれていた。作業員の後ろを従順なペットのようについてくる「台車」の紹介だ。半自動ロボット運搬台車「フォロリー」は、作業者の後方を約1mの間隔を保ちながら追従する優れもの。作業者自身が手押し台車を使用すれば、1人で2台の台車を同時に扱えるというわけだ。今回、フォロリーはカピバラに扮し、次のプログラムで使用する防護メガネを運んでいた。
エンジニアリング機械エリアでは、山岳トンネルやシールドトンネル内の現場で使用される集塵機、送風機、水処理関係機械などの点検・整備を行う。ここでは2つのプログラムを体験した。
まずは大型ファンによる暴風体験だ。カピバラが運んでいた防護メガネを装着して、大型ファンの前を通過。風速20mの猛烈な風圧に参加者たちは驚いていた。
次は「循環式手洗いユニット」の使用体験。手を洗った水を浄水して再利用するため、水が引けない・排水できない・水の運搬が難しい場所でも使用可能で、まさにSDGsに適した機械だ。
水中ポンプエリアでは、水中ポンプの仕組みを学びつつ、整備や塗装の工程を見学。バイオディーゼル燃料専用発電機で水中ポンプを稼働し、放水させて締めくくった。序盤のプログラムで、バイオディーゼル燃料の作り方を学んだだけに、多くの子どもたちが腑に落ちた様子だった。
最後は海水淡水化装置を使って綺麗にした水を、高圧洗浄機で噴射し、的当てを行うというゲーム感覚のプログラム。当日は5月にしては気温が高かったため、涼もとれたことが好評だった。
アクティオといなべ市がタッグを組んだワークショップは今年で2回目。SDGsに関する活動だけに、来年も継続して開催する予定だ。
▼アクティオSDGs体験型ワークショップ2023
※記事の情報は2023年6月20日時点のものです。
〈ご参考までに...〉
● 三重いなべテクノパーク統括工場(アクティオ公式サイト)
● バイオディーゼル燃料専用発電機 (アクティオ公式サイト)
● 建機用無線操縦ロボット アクティブロボSAM (レンサルティングミュージアム)
● 太陽光パネル搭載オフグリッドオフィスカー(アクティオ公式サイト)
● 循環式手洗い機(アクティオ公式サイト)