基礎問題
2021.08.04
「土木施工管理技士」学科試験問題を解いて仕事力アップ!【第4回:専門土木】 今回は鋼材を素材とした鋼道路橋(鉄橋)の架設工法の種類と特徴、選定条件、適用される橋梁の形式、施工に当たっての留意点などを問います。(問題選定と解説/井上國博=住環境再生研究所所長)
問題
鋼道路橋の架設工法に関する次の記述のうち、適当なものはどれか。
- クレーン車によるベント式架設工法は、橋桁をベントで仮受けしながら部材を組み立てて架設する工法で、自走クレーン車が進入できる場所での施工に適している。
- フローティングクレーンによる一括架設工法は、船にクレーンを組み込んだ起重機船を用いる工法で、水深が深く流れの強い場所の架設に適している。
- ケーブルクレーン工法は、鉄塔で支えられたケーブルクレーンで橋桁をつり込んで架設する工法で、市街地での施工に適している。
- 送出し工法は、すでに架設した桁上に架設用クレーンを設置して部材をつりながら片持ち式に架設する工法で、桁下の空間が使用できない場合に適している。
(平成29年度 2級土木施工管理技士学科試験 第1回・№13より)
解説:鋼道路橋(鉄橋)の主な架設工法
さまざまな架設工法がありますが、現場の環境に応じて工法を選択します。代表的な工法例を概念図と共にご説明します。
(1)クレーン車によるベント式架設工法
橋桁をベントで仮受けしながら部材を組み立てて架設する工法で、自走クレーン車が進入できる場所での施工に適しています。他の架設工法と比較して少ない架設で行えて、工期の短縮もはかれます。
●ベント式架設工法の例(概念図)
(2)フローティングクレーンによる一括架設工法
海上や現場周辺で組み立てた橋梁の大ブロックを、船にクレーンを組み込んだ起重機船(台船)などで移動して架設する工法で、水深が深く流れの弱い場所に適しています。
●フローティングクレーン工法の例(概念図)
(3)ケーブルクレーン工法
鉄塔で支えられたケーブルクレーンで橋桁を吊り込んで架設する工法で、海上や河川上で自走クレーンが進入できない場所での施工に適しています。
●ケーブルクレーン工法の一例(概念図)
(4)送出し工法
手延機と橋桁の部分の組み立てや全体組み立てを行って、順次送り出す工法で、桁下の空間が使用できない場合に適しています。
●送出し工法の例(概念図)
(5)片持ち式工法
すでに架設した桁上に仮設用クレーンを設置して、部材を吊りながら架設する工法です。
●片持ち式工法の例(概念図)
今回の設問の答え:1
1の「クレーン車によるベント式架設工法」は、自走クレーン車が進入できる場所での施工に適しています。2の「フローティングクレーンによる一括架設工法」は、水の流れが速い場所には不向きです。3の「ケーブルクレーン工法」は市街地には適しません。4の「送出し工法」として説明している内容は、「片持ち式工法」のものなので適当ではありません。
※記事の情報は2021年8月4日時点のものです。