2021.06.10

「土木施工管理技士」学科試験問題を解いて仕事力アップ!【第2回:建設機械】 土木施工管理技術検定学科試験から、項目ごとに、2級と1級の問題を1問ずつ取り上げて、解説します。既に資格を取得されている方は復習に、これから試験を受ける方には勉強の補強として、チャレンジしていただければ幸いです。今回は主な建設機械を取り上げ、それぞれの用途と特徴に関する理解を問います。(問題選定と解説/井上國博=住環境再生研究所所長)

「土木施工管理技士」学科試験問題を解いて仕事力アップ!【第2回:建設機械】

問題1

建設機械の用途に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  1. ドラグラインは、ワイヤロープによって吊り下げたバケットを手前に引き寄せて掘削する機械で、しゅんせつ(浚渫)や砂利の採取などに使用される。
  2. ブルドーザは、作業装置として土工板を取り付けた機械で、土砂の掘削・運搬(押土)、積込みなどに用いられる。
  3. モータグレーダは、路面の精密な仕上げに適しており、砂利道の保守、土の敷均しなどに用いられる。
  4. バックホーは、機械が設置された地盤より低い場所の掘削に適し、基礎の掘削や溝掘りなどに使用される。


(令和元年度 2級土木施工管理技術検定学科試験 No.46より)




解説1:掘削に関わる主な建設機械

問題1では主要な建機の1つである掘削機(くっさくき)を取り上げています。掘削機は、建設現場の土砂や鉱山の岩石を削り取るほか、地下トンネル工事で地面を掘り進めるなど、様々な工事現場で活躍します。掘って削り取るだけでなく、掘削した土砂や岩石を集めて積み込んだり運搬したりする機能を持つ機械もあります。続いて、それぞれの機械の特徴を説明していきます。


図1「ドラグライン」

図1「ドラグライン」
機械より下部の土砂をワイヤロープで吊り下げたバケットを手前に引き込んで掘削します。掘削半径が大きく、広く浅い掘削や機械より低いところの掘削に適し、しゅんせつや砂利の採取に用いられます。



図2「ブルドーザ」

図2「ブルドーザ」
作業装置として土工板を取り付けた機械で、強力なけん引力で、土砂の掘削・運搬(押土)・集土などに用いられます。



図3「モータグレーダ」

図3「モータグレーダ」
広い路面を平らに形成し、整地します。(整地転圧)路面の精密な仕上げや不陸整正に適しており、砂利道の補修、土の敷均しなどに用いられます。



図4「バックホー」

図4「バックホー」
機械の位置より低い場所の土砂を手前に引き寄せて掘削します。硬い地盤、構造物の基礎の掘削や溝掘りなどに用いられます。




問題2

締固め機械の選定に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  1. ダンピングローラは、ローラの表面に突起をつけ先端に荷重を集中でき、土塊や岩塊などの破砕や締固め、粘質性の強い粘性土の締固めに効果的である。
  2. 振動ローラは、ローラに起振機を組み合わせ、振動によって小さな重量で大きな締固め効果を得るものであり、一般に粘性に乏しい砂利や砂質土の締固めに効果的である。
  3. ロードローラは、表面が滑らかな鉄輪によって締固めを行うもので、高含水比の粘性土あるいは均一な粒径の砂質土などの締固めに用いられる。
  4. タイヤローラは、空気入りタイヤの特性を利用して締固めを行うもので、タイヤの接地圧は載荷重及び空気圧で変化させることができるため、機動性に富み、比較的種々の土質に適用できる。


(平成26年度 1級土木施工管理技術検定学科試験 問題B(必須問題)No.8より)




解説2:締固めに関わる主な建設機械

問題2では、締固めに使われる機械を取り上げています。締固めとは、密度が低い状態の地盤や土壌を、密度を高くして崩れないようにすることを指します。土の場合は突固めや転圧、振動、注水などで密度を高め、コンクリートは振動させたり、叩いたり、突いたりして空隙を少なくして密実にします。では続いて、締固めで使われる機械の特徴を説明していきます。


図5「タンピングローラ」

図5「タンピングローラ」
突起(フート)の先端荷重へ集中させることにより締め固めます。土塊や岩塊、土丹、硬粘土などの締固めに適しています。



図6「振動ローラ」

図6「振動ローラ」
起振機による強制振動により締め固めるもので、小型でも高い締固め効果があります。粘性に乏しい砂利、砂質土に適するとともに、振動数、振幅、転圧速度の変更により、岩や礫(れき)にも効果があります。



図7「ロードローラ」

図7「ロードローラ」
鉄輪により締め固めるもので、最も一般的な締固め機械です。アスファルト混合物や路床、路盤の締固めおよび盛土面の仕上げに適しています。



図8「タイヤローラ」

図8「タイヤローラ」
空気圧(接地圧)の調節により、各種土質の締固めの作業に対応可能です。接地圧を高くすると砕石の締固めに、低くすると粘性土の締固めに適します。また、広い面積の転圧に用いられます。




今回の設問の答え

問題1:2
ブルドーザ(図2参照)は土砂の掘削、運搬(押土)、集土などに適している一方、積み込みには適しません。よって、答えは2です。


問題2:3
ロードローラ(図7参照)は砂質土の締固めには適しますが、高含水比の粘性土には適しません。よって、答えは3です。


※記事の情報は2021年6月10日時点のものです。

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