I-Con連載
2019.04.23
i-Constructionが解る!【4】3次元設計データの作成 従来なら、2次元の図面という形をとっていた設計図も、i-Constructionでは「3次元データ」という形に変換される。今回はその手順を見ていこう。
2次元図面から3次元データへ
i-Constructionのプロセスは、すべて3次元データに基づいて進む。設計図も同様だ。発注者から3次元の設計データが支給されればそれをそのまま読み込めば良いが、現実的には、まだまだ2次元の図面の形で支給される場合が多い。これらの図面を専用のソフトウェアを使用することで、3次元設計データを作成する。これは、従来にはなかった「追加作業」になるが、今のところ避けては通れない道だ。
2次元の図面をコンピュータに読み込む
3次元設計データの作成は、まず専用ソフトに、支給された2次元の図面を入力することからはじまる。
道路の場合なら、道路のカーブ形状を示す平面線形(平面図)、坂の形状を示す縦断線形(縦断図)、道路の断面形状を示す複数の横断形状(横断図)が支給されるので、これを専用のソフトウェアに取り込み、組み合わせていく。
図面上に記載された設計情報を数値化して入力し、展開図を組み立てるように3次元データを作成する。平面線形からは主要点の座標や線形等、縦断線形からは縦断線形や計画標高・勾配など、横断形状からは幅員(幅)や横断勾配などを入力していく。
2次元の図面からでは、よほど慣れていないと仕上がりの形状は読み取れないが、3次元データなら、一目瞭然に工事関係者間のイメージ共有ができる。また、新人作業員や、地域住民への説明などが飛躍的にわかりやすく、簡単になるのだ。
日南茂雄(アクティオ ICT施工推進課):2次元の設計図といっても、フリーハンドで描いているわけではありませんから、数値はコピー&ペーストできます。
また、道路なら道路の設計の法則があるんです。それを覚えてしまう、というのがコツのひとつです。道路の場合なら、例えば、道の途中に突然カーブがあると危ないので、本当のカーブが始まる前に緩やかにカーブを付ける設計をします。カーブはそういう風に設計されるものだ、という法則を一度覚えてしまえば、図面の中の数値がどういう意味をなしているのかが分かってってきますので、作業が格段にスムースになりますね。
起工測量のデータと比較する
前回見た起工測量の3次元データと、今回作成した3次元設計データを組み合わせることで、様々な検討が簡単になる。この二つの3次元データを重ね合わせれば、盛り土、切り土の場所や、施工に困難が伴いそうなポイントなども、直感的に把握できるため、施工計画も立てやすくなるのだ。
さらに、コストに直接反映される土量の計算も簡単になる。従来は、2次元の図面を元に、平均断面法など複雑な計算式で求めていたものが、現況と設計の3次元データを比較することで自動的に、しかも従来と比較し正確に算出できるのだ。
日南(アクティオ ICT施工推進課):2次元の図面からの3次元設計データ作りは、実際には結構複雑なものも多いんです。正直、ここでつまずいてしまう施工会社様もいらっしゃいます。ただ、逆に言えば、これができるようになると大きな武器になると思います。
弊社では、3次元データ作成に関しても施工会社様と「一緒に」作業することで、ノウハウをしっかり施工会社様に蓄積できるよう、努めています。
設計データのこれからの形 BIM/CIMとの連携
土木、建築のプロセスを、設計の段階から3次元データを使用して行う「BIM/CIM」が注目されている。これが普及し、3次元の設計データがプランニングの起点になれば、今回見てきたような、2次元データからの3次元設計データ作成という作業は必要なくなる。i-Constructionはさらに効率化され、生産性もあがるだろう。
日南(アクティオ ICT施工推進課):i-Constructionは、最終的にはBIMCIMの流れの中に入っていくと思います。3次元モデルありきで現場を進めていく形ですね。
例えば、構造物を分割して、あらかじめ2次製品で作っておいて、現場では組み立てるだけ、とか。現場の作業をなるべく少なくする、という効率化が進むと思います。BIM/CIMの運用・管理手法のひとつとしてi-Constructionがあるというイメージです。
このBIM/CIM、世界に目を向ければ、すでに実用化され様々な建設案件で使われている。日本の現場もBIM/CIMによって、大きく進化する日も近いだろう。
次回は、3次元データを使った、ICT建機による施工を見ていこう。
※記事の情報は2019年4月23日時点のものです。
〈ご参考までに...〉
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