テクノパーク・DLセンター
2023.07.28
九州全域をカバーする整備・物流拠点〈九州テクノパーク統括工場紹介1〉 全国6カ所にあるテクノパーク統括工場の中で、最も南に位置するのが九州テクノパーク統括工場だ。離島を含む九州全域をカバーする整備・物流の拠点で、高所作業車、大型発電機、水中ポンプ、道路機械、小型機械など、多種多様な機械に対応している。敷地内にアクティオグループの2社も営業所を構えている九州テクノパーク統括工場を、3回にわたって紹介したい。
筑後工場
九州支店の機械を整備
九州テクノパーク統括工場は、九州にあるアクティオの各営業所で使用する機械の整備を担当する工場として2016年4月に開設された(当時は九州テクノパーク工場)。その後、社内の組織変更を経て、現在は本社直轄のテクノパーク統括工場として運用されている。
敷地内には工場棟が2棟あり、A棟に筑後工場、九州リフト広域工場、九州道路機械工場、B棟に小型機械九州センターに加え、アクティオグループの株式会社シンテクノ九州営業所、株式会社アクティオトランスポート九州営業所も事業所を構えている。このほか、アクティオの筑後営業所も併設しており、九州における整備・物流の拠点として重要な役割を担っている。
まずは筑後工場の詳細を宮原秀明工場長に聞いた。ちなみに、宮原工場長は九州リフト広域工場の工場長も兼務しているため、その項でも再度登場予定だ。
宮原「私は1995年にアクティオに入社して、最初の配属は本社の機械管理部(当時)でした。その後、マンションの建設ラッシュに沸く千葉の幕張営業所、宮城の仙台工場で重機や発電機のことを学び、福島のJヴィレッジを担当していた大熊営業所(当時)、それから関東に戻って、野田(千葉)にある高所作業車の専門工場に異動になりました。六本木や汐留の再開発に携わってから、九州ですね。九州テクノパーク工場が開設された当初から、九州リフト広域工場の工場長をしています。そして九州テクノパーク統括工場に組織変更されてから、筑後工場の工場長も兼務しています」
筑後工場は、九州支店の営業所向けの工場のため、幅広い機械を扱っている。
宮原「ここで扱うのは、発電機、重機、水中ポンプ、小物機械などです。九州は広いため、全ての機械をここに集めると運送コストがかさみます。営業所の敷地も広いので、大きな機械ほど日常的な整備は各営業所で行う傾向が強いですね」
筑後工場としてだけではなく、九州テクノパーク統括工場として取り組んでいる課題には、「安全意識の向上」と「人材の確保」が挙げられる。
宮原「月に1回、各工場の工場長が集まり、そこに産業医の先生も入っていただいて安全衛生会議を行っています。各工場の事例を共有し、安全意識を全体的に向上させようという試みです。また、人材の確保も課題のひとつです。ここは九州自動車の八女インターチェンジに近く、九州全域へのアクセスも良好なのですが、もともと人口が少ないエリアのため、なかなか人が集まらないという悩みがあります。若い社員も育ちつつあるのですが、もっと若手を確保したいですね」
営業所では手に負えない重整備の発電機に対応
筑後工場で発電機をメインに担当しているのが花田茂樹主査だ。実は花田主査、元バイクメーカーチームのライダーという異色の経歴の持ち主である。
花田「ライダーを引退後、バイクショップを開いたのですが、縁あってアクティオに出合い、2012年に入社しました。以来、発電機の整備を担当しています。バイクも発電機も動力源はエンジンなので、エンジン好きな自分としては性に合っていますね」
発電機と一口に言っても大小さまざまだが、どの程度のサイズのものを整備しているのだろうか?
花田「小さなものは13 kVA、上は1,100 kVAまでが守備範囲です。九州支店の発電機に加え、エンジニアリング事業部パワーシステム部が運用している大型発電機の整備も担当しています」
発電機は重機と違って自ら動く機械ではないため、ぶつかって壊れるといったことは滅多にない。だが、エンジンはさまざまな要因でダメージを受ける。
花田「建設現場はどうしても埃っぽくなるため、空気の吸入口となるエアクリーナーは定期的に清掃交換が必要です。エンジンオイルも普通だったら600時間ごとに交換します。レンタル中でも、本来なら現場でエンジンオイルを交換したり、場合によっては発電機そのものを入れ替えたりするのですが、そういったことが不可能な現場もあるため、どうしてもノーメンテナンスの状態で長く稼働し続ける発電機が出てしまいます。そうなると重整備が必要です」
先述の通り、九州では日常的な整備を営業所で行うことが多く、発電機もその例外ではない。
花田「基本的な整備は営業所で行います。ここに戻ってくる発電機は、営業所では手に負えないような重整備のものばかりです」
発電機のほかに、バルーン投光機、溶接機、コンプレッサーなども整備するという。
花田「私たちのセクションでは、各作業者の経験年数にも差があるため、整備のクオリティーの均一化という面ではまだまだだと思っています。そのあたりの改善が今後の課題ですね」
バックホー、クローラーダンプなど、多様な重機を整備
筑後工場で重機の整備を担当しているのが成冨和昭主事である。
成冨「筑後工場には、バックホー、クローラーダンプ、フォークリフト、搭乗式芝刈り機、ハンドガイドローラーなどが入庫してきます。重機の種類も多いですし、年々、機械も進化していますので、覚えることが多くて大変です」
成冨主事はこれら多種多様な重機の整備に、幅広く対応している。
成冨「重機に関しては営業所では手に負えない、そのままでは休眠せざるを得ない機械も入庫してきます。そういった重機をどこまで直すのか、費用をかけて直して採算がとれるのか。そうした判断をしながら、仕事を進めています」
重機の寿命は、どういったことで決まるのだろうか?
成冨「やはり定期点検が重要です。営業所の整備担当者さんが常日頃、油をさしている重機はガタが出にくいんですよね。動く時に摩擦がある部分の油、グリスが切れてしまうと、金属同士が直接当たって、どんどん摩耗して、ガタが出てしまう。それを防ぐのが注油、グリスアップなのです。またエンジンのオイル交換も然り。そういった定期点検をしっかり行っている重機は長持ちしますね」
豪雨災害の復旧工事に欠かせない水中ポンプ
アクティオの原点とも言える水中ポンプを担当しているのが、加藤長武だ。
加藤「ここでは100Vの一番小さいサイズから、三相200Vの19kWぐらいまでをメインに整備しています。基本的に水中ポンプは1人1台で整備を行い、最後の塗装工程だけはまとめて行います。1人あたり1日20台がMAXでしょうか」
ここ数年、九州では豪雨災害が多く発生し、その際にも迅速な対応が求められた。
加藤「私は中途入社で、ちょうど班長になりたての2020年7月に熊本の球磨川(くまがわ)で大きな水害がありまして、その時は目まぐるしい忙しさでしたね。九州にあった水中ポンプの在庫が全てなくなり、近隣の中国支店や四国支店から在庫を回してもらって、どうにか乗り切ったという感じです。たとえ水が引いても、復旧工事で水中ポンプを使いますから、1年以上、完成品の在庫が不足している状態でした。最初にこの洗礼を受けたので、どんなことがあっても乗り越えられるという自信がつきました」
ランマー、小型発電機などの小物も整備
貴重な若手として、小物を担当しているのが久木原惇平である。
久木原「土を固めたりするランマー、小さな発電機、電工ドラムといった、いわゆる"小物"を担当しています。あとは季節商品ですね。スポットクーラーとか」
整備する機械の種類が多いため、手順を覚えるのは大変だが、修理できた時の喜びはひとしおだという。
久木原「高校で自動車の整備を学んでいたので、ある程度の知識は身についていると思うのですが、より確かな整備を行うため、電気工事士の資格を取るつもりです。ボロボロになって帰ってきた機械が、きちんと作動するように修理できた時はうれしいですね」
シリーズ1回目は筑後工場にスポットを当てた。2回目以降は各セクションの責任者へのインタビューを軸に、それぞれの役割を掘り下げていきたい。
※記事の情報は2023年7月28日時点のものです。
※2024年1月の組織改編に伴い「九州支店」は「九州支社」に改編されています。
〈ご参考までに...〉
● 九州テクノパーク統括工場(アクティオ公式サイト)