2023.01.17

レンサルティングを具現化する技術部の若きホープ アクティオの技術部は、レンタルの枠組みを飛び出し、提案型のサービスを提供する「レンサルティング」を具現化する部隊だ。その実践のためには、人材育成が欠かせない。技術部では通例1年間の技術研修を行うが、それを終えた後も、現場常駐として半年から1年、ゼネコンに出向する技術者もいる。今回はそんな若きホープを取材した。

レンサルティングを具現化する技術部の若きホープ

新人を鍛える現場研修制度

お客様へ単にモノを貸し出すのではなく、専門的なノウハウを持ってサポートし、システム設計や機械開発までも行う、付加価値の高いサービスが「レンサルティング」だ。レンサルティングが絵に描いた餅で終わることなく、確実に提案型のサービスを実践するためには、お客様の困り事を解決できるセクション、人材が必要である。そういった観点から、2010年に立ち上げられたのが技術部である。


技術部発足に向け、全国の支店、営業所から人材が集められた。しかし、箱を作り、人を集めただけでは、レンサルティングを具現化できない。現場で何が起きているのかを肌で感じられないと、課題を捉えるのは難しいのだ。


そこで、全国から集められた精鋭たちは1~2年の間、ゼネコンの工事現場に派遣された。これが「現場研修制度」の始まりである。現在、技術部に配属された社員は、最初の1年間をアクティオ内での研修に費やす。支店や営業所、テクノパークなどで、まずはアクティオの社員として必要なスキルを身につけるのだ。そして2年目は、ゼネコンの現場で1年間の技術研修を課せられる。相手先の制服を着て、ゼネコンの社員と同じように働き、現場感覚を徹底的に身につけるのだ。




技術研修の後も現場に出向

技術研修は基本的に1年で終わりだが、中にはその後も出向者として現場に残る場合がある。技術部の加藤景泰、山本遥の2人もそうだ。


加藤は入社2年目の春、スーパーゼネコンが請け負っているトンネル工事の現場に技術研修として赴いた。当然、その現場にはアクティオの機械が数多くレンタルされていたが、そういった機械の入出庫を含めた管理は、所轄の支店・営業所の営業担当者が行う。加藤の仕事は、現場で動いている機械全般の管理だった。


「最初はゼネコンの先輩の下で、先端で掘削を行うシールドマシンから、土砂を搬出するベルトコンベア、水処理機械、発電機、通信機器に至るまで、全部を管理しました。機械にトラブルが発生すると、私に連絡が来ます。すぐに現場に向かい、トラブルシューティングですね。掘進中、急に排水処理がうまくいかないことがありました。作動音はするけど、排水できない......。そのユニットには吸い出すポンプのほかに、土砂を砕くミキサーが入っているのですが、ミキサーのプロペラが壊れて、軸が空回りしていたんですね。短時間で原因を究明でき、対処法を指示して、スムーズに問題を解決できた時はうれしかったですね」


技術部 営業 加藤景泰技術部 営業 加藤景泰


トラブルを克服することによって、人は成長する。加藤は現場でその術(すべ)を叩き込まれたのだ。


「シールドマシンが故障するという、大変な事態も発生しました。なぜ故障したのか? マシンの不良なのか、はたまた施工の問題なのか? この時はマシンメーカーさんが動きやすいように立ち回り、随分と感謝されました」


(左)出向先の現場で、地上からトンネルに入った付近 (右)現場のトンネルは上下2段構造になっており、下段にはレールが敷かれ、資材等を運ぶスペースになっていた。トンネル完成時にはここにインフラが通り、さらに避難路にもなる(左)出向先の現場で、地上からトンネルに入った付近 (右)現場のトンネルは上下2段構造になっており、下段にはレールが敷かれ、資材等を運ぶスペースになっていた。トンネル完成時にはここにインフラが通り、さらに避難路にもなる


あちらこちらでアクティオの機械が活躍していたあちらこちらでアクティオの機械が活躍していた


掘削の先端部にあるシールドマシン。目標の立坑まで到達しており、この後、反対車線のトンネルを掘るため付け替えられる掘削の先端部にあるシールドマシン。目標の立坑まで到達しており、この後、反対車線のトンネルを掘るため付け替えられる


機械のことだけでなく、人とのコミュニケーションも学んだという加藤。今回の取材のため、久しぶりに2年間働いたトンネル工事の現場を訪れた。するとゼネコンの担当者のみならず、現場の警備員からトンネル坑内で働く作業員まで、多くの人たちが「あれ、どうしたの?」「久しぶり、元気?」と加藤に声を掛けてくる。これだけで、いかに加藤が慕われ、信頼を得ていたのかが分かる。


「現場の人の顔を覚えて仲良くなることが、技術研修前の目標のひとつでした。結局、人のために動く、働くのが好きなんです」


そんな加藤の後任として赴任したのが、山本だ。山本は山岳トンネルの工事現場で1年間の技術研修を終えた後、この現場に出向した。


「前任者の信頼が厚かったので、プレッシャーはありましたね。最初の頃は、大変苦労しました。機械がトラブルを起こすと、作業員から苦言を呈されたりして......。どこかの配管が詰まって排水できない。排水できても、浄化が足りない。雨のせいで漏電。何系統かあるうちの1系統が停電し、早く復旧しないと安全が担保できない......。とにかく原因を究明し、復旧させ、工事を先に進めるのに必死でした。所轄の営業所や事業部の皆さんに随分と助けられたので、感謝しかありません」


技術部 営業 山本遥技術部 営業 山本遥


2人とも出向の任を解かれ、現在は技術部で日常業務をこなしている。技術研修、そして出向の成果とは何なのか? 加藤に聞いた。


「長くトンネル工事の現場にいたので、もしかしたらトンネルにだけ詳しくなったみたいに思われるかもしれません。でも、そんなことはなくて、自ら機械の点検や維持管理を行い、構造を目にしてきたので、その原理とか、どこに負荷が掛かるとか、そういったことを考える力がついたと思います。経験することの大切さを実感しました。でも、自分は技術屋なので、たとえ経験していなくても計画、設計の段階でエラーを排除できるようにならなければ駄目だと思っています」


解決の糸口を探す方法は十人十色だが、現場を知り、機械を知らなければ突破することはできない。そのためには現場にどっぷりと浸かる時間が必要なのである。


技術部のお二人(後ろ姿)


※記事の情報は2023年1月17日時点のものです。


※2024年1月の組織改編に伴い「支店」は「支社」に改編されています。

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