2019.03.27

高速道路メンテナンス。橋梁、トンネルを点検せよ 2012年12月2日、中央自動車道の笹子トンネルで起きた崩落事故を受け、橋梁やトンネルの点検に関する法令の整備が一気に加速。それを受けたアクティオの取り組みを取材した。

高速道路メンテナンス。橋梁、トンネルを点検せよ

5年に1度の近接目視が法令化

日本には、約700,000の橋梁(2m以上)、約10,000のトンネルがある(2011年4月1日現在、国土交通省調べ)。これらの構造物、実は5年ほど前まで点検に関する法令がなかった。遠方目視で「大丈夫だな」で済まされていたのである。しかし、冒頭で述べた笹子トンネル崩落事故が引き金となり、国土交通省は道路法を改正。道路法施行規則(2014年3月31日公布、7月1日施行)によって、橋梁やトンネルなどは国が定める統一的な基準にしたがい、5年に1度の近接目視による全数監視が定められたのだ。

省令・告示で点検を規定する構造物の数
省令・告示で点検を規定する構造物の数2011年4月1日時点の国土交通省調べ(資料:国土交通省「第5回道路メンテナンス技術小委員会」


これを受け、アクティオも大きく舵を切った。高速道路の維持管理をサポートするため、昨年、産業設備部の中に高速メンテナンス課を新設したのだ。そこで担当者に高速道路の維持管理に関する取り組みをうかがった。


株式会社アクティオ 産業設備部 高速メンテナンス課 課長 伊藤 学株式会社アクティオ 産業設備部 高速メンテナンス課 課長 伊藤 学


Q:道路法が改正されて5年。どのような状況の変化をお感じですか?


伊藤:私が高速道路のメンテナンスに興味をもったのは、笹子トンネルの事故や道路法の改正時期よりも随分と前です。15年ぐらい前、仙台に異動になった際、高速道路の維持管理をしている企業と知り合い、こんな会社があるんだ、こんな需要があるんだと気づかされた次第です。土木建築を主体とした営業活動をしていく中で、徐々に高速道路に寄っていったという感じでしょうか。

この5年で、高速道路の維持管理は劇的に変わりました。1年目、2年目こそ大きな動きは感じられませんでしたが、3年目ぐらいから状況が一変。維持管理が本格化し始めたのです。アクティオが大型の橋梁点検車BT-400を導入したのも、ちょうどこの頃。橋梁の近接目視に、BT-400は欠かせませんからね。

BT-400最大の魅力は、高性能ブームです。防音壁やフェンスを容易に乗り越え可能な第1ブーム、さらに旋回機能を備えた第2ブーム、3段伸縮式の第3ブームにより、優れたアプローチと十分な差し込み長さを確保しています。差し込み長さは15メートル、最大地下深さは17.4メートルもありますから、たいていの橋の裏まで回り込めます。

このBT-400で橋梁に近づくと、コンクリートの劣化がひと目でわかります。例えば、ひび割れですね。こういった箇所を発見したら、こぼれ落ちるのを防ぐため、あえて叩いて落とします。初期の処置を施した上で、報告書にまとめて補修に入るわけです。


国内最大級の点検作業領域をもつ橋梁点検車「BT-400」国内最大級の点検作業領域をもつ橋梁点検車「BT-400」


Q:BT-400は複雑な動きをするため、オペレーターの育成も必要では?


伊藤:その通りですね。高速道路の維持管理業務では、アクティオからオペレーターの派遣が可能になるため、自社での採用、育成を進めています。育成には半年ほどかかりますが、自信をもって現場に送り出せますからね。また、自社のオペレーターだと機械を大切にするんですよ。安い商品ではないため、これは非常に重要です。

Q:講習会やトレーニングも行っているとお聞きしました。

伊藤:高速道路の維持管理における日々の安心安全をより推進するため、高速道路のメンテナンス事業者様を対象にした講習会を開催しています。また、鉄道事業者さんを対象としたトレーニングも実施していますね。本来、橋は所有者に点検する義務があるのですが、鉄道線路を跨ぐ跨線橋は特殊で、鉄道事業者さんが点検を行います。橋の下から軌陸車で近接目視の点検が行えない場合は、橋の上から行うしかありません。BT-400の出番ですね。鉄道事業者さんはBT-400を使った点検に慣れていませんし、さらに終電から始発までの短時間で作業を終える必要もあります。この間に作業が終わらなかったら事故扱いになるため、一大事。そこで事前にトレーニングを実施します。特にトラブルシューティングは入念に行いますね。

Q:BT-400以外にも橋梁点検車があると思いますが、その使い分けは?

伊藤:現場に合わせてアクティオが機種を選定する。まさにレンサルティングですね。フィンランド製の高所作業車「スカイリフトS56XR」は導入当初、高層ビルやプラント系の特殊補修工事を見込んでいました。しかし、首都高速の保守点検でも威力を発揮します。最大作業床高は54m、最大作業範囲は37.5mもありますからね。つまり、横方向にアームを37.5mも伸ばせるんですよ。年度末の3月は交通量が増えるため、首都高速は基本的に交通規制を伴う点検を行いません。でも作業を平準化させるためには、3月も点検を行いたい。そんな時こそ、スカイリフトS56XRが役立ちます。都市部の高速道路の橋梁や橋脚は、下からスカイリフトS56XRで点検できる場面が多いですからね。


フィンランドのブロント製高所作業車「スカイリフトS56XR」フィンランドのブロント製高所作業車「スカイリフトS56XR」


アクティオの強みとは何か?

高速道路の維持管理における事業で、アクティオの強みとは何か? 確かに一億円を超える高所作業車を何台も保有できる資本力はある。人材も育成できる。トレーニングも行える。現場に合わせたさまざまな提案も可能...。忘れてはならないのがネットワークだ。

伊藤:現場は全国にあります。だからこそ、ネットワークが重要です。道路の維持管理に関し、アクティオは高速道路をメインに営業活動しているため、主力の高速道路の管理事務所、主要インターチェンジのそばには、かなりの確率でアクティオの営業所を展開しています。ここが他社との大きな違いです。

アクティオは機械のメンテナンスに重きを置いているため、全国5か所にテクノパーク工場を展開し、専門性の高いスタッフによる整備を行っています。この他にも整備を行う工場を全国に展開。この態勢があるからこそ、営業所はコンパクトで済みます。営業所で整備する必要がないからですね。この利点により、他社では真似のできないネットワークが形成できるのです。

いま、高度経済成長期に建造された橋梁やトンネルなどが、続々と50年を迎えている。鉄筋コンクリート構造物の寿命は50~60年程度と考えられており、寿命を延ばすためには点検保守が欠かせない。アクティオのチャレンジは、これからも続くのだ。

三重いなべテクノパーク工場三重いなべテクノパーク工場

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