サービス・サポート
2020.11.02
「高齢化」が進む高速道路の大型設備。老朽化による事故をレンサルティングで予防する! 我が国の高速道路の整備が本格的に進められたのは1960年代。それから半世紀を経て、トンネルや橋梁の老朽化が深刻な問題となっている。事故が起こる前に点検して、必要なものには補修・補強を施すことは急務だ。アクティオは2018年1月に、産業機械事業部高速メンテナンス課を設立し、高速道路の安全をサポートするため、レンサルティングによる最適な工程や機器の提案を行っている。
日本の経済成長を支えてきた高速道路。その多くは1960年代に整備された。日本初の高速道路は1963年に開通した尼崎と栗東を結ぶ名神高速道路約71㎞。その2年後の1965年に小牧~西宮間約190㎞の全線が開通した。1969年には東京と小牧を結ぶ東名高速道路約347㎞が全線開通。これで東京・名古屋・大阪の3大都市圏が高速道路でつながることになった。ほぼ半世紀前のことだ。
定期点検とメンテナンスが急務
山や川など起伏に富む地形の日本で、高速道路を実現するのが橋梁やトンネルといった大型の建造物。これらは建設後50年以上経過した現在、老朽化や損傷が一気に顕在化してきている(図1)。高速道路を長く安全に使い続けるためには、定期的な点検とメンテナンスが必要だ(図2)。
そこで国土交通省は2014年に道路法を改正。道路法施行規則(2014年3月31日公布、7月1日施行)によって、全ての道路構造物を対象として、5年に1度の「近接目視」を基本とする点検を義務化している。これまでのように小型車・中型車を用いて届く範囲までの点検にとどまっていたり、望遠鏡を使って「望遠目視」をしてきた作業ではなく、至近距離から目視チェックを行い、必要に応じて触診や打音検査を行うことも必要とされている。
日本には現在、約70万基の橋梁と約1万本のトンネルがある。こうした大型構造物の場合、「近接目視」を実施するためには、点検する個所の近くまで作業する人を運ぶ必要がある。そのときに活躍するのが、大型の専用車両だ。ただし、これらの専用車両は高額なうえ、操作には専門技術を持ったオぺレーターの存在も欠かせない。
アクティオは2018年1月に高速道路の効果的な維持・管理をサポートするために、産業機械事業部高速メンテナンス課を設立。高速道路だけでなく、一般道も守備範囲として、レンサルティングで培った技術力と協力会社を含めた全国ネットワークを最大限に活用して、全国各地でさまざまな提案を行っている。また、メーカーの協力を得て、機種ごとのオペレーターの育成プログラムを用意している。
現場で活躍する検査用の建設機械
具体的にアクティオが提供し、トンネルや橋梁などのメンテナンスの現場で活躍しているレンタル建設機械を見てみよう。
●大型橋梁点検車「BT-400」(タダノ)
メンテナンス作業を行うレンタル車両の中でとりわけ注目度の高いのが、国内最大級の大型橋梁点検車「BT-400」だ。多関節の可動式ブームにより、橋の上から高さ5mのフェンスを越えて橋げたの下に潜り込み、桁下の点検作業を行える。また、最大片側3車線をカバーできて、3.5mの歩道越えも可能だ。
●高所作業車「スカイリフトS56XR」(ブロント)
高所作業車「スカイリフトS56XR」はフィンランド製の輸入機械だ。地上から54mの高さまでせり上がり、最大作業範囲は37.5mと広範囲で作業ができる。横方向にアームを37.5mも伸ばせるので、作業のための道路の封鎖期間を最小限に抑えながら、橋脚や桁下を点検することができる。
●高所作業車「YX60M」(ワイケー)
高所作業車「YX60M」は最大地上高5.8mのゴンドラ上の操作でステアリングの操作ができて、作業姿勢のまま移動できるなど機動性の高い車両。
●高所作業車「YX55SG」(ワイケー)
高所作業車「YX55SG」はトンネル天井部のジェットファンの点検・脱着から運搬までを1台で可能にしている。この作業車は現場の声に応えて新たに開発されたものだ。
●施設点検車「YZ30FC」(ワイケー)
施設点検車「YZ30FC」は2t車ベースでコンパクトな車体なので、車両規制幅を最小限にできる利点がある。アームとブームに垂直リンク機構を採用しており、操作がシンプルで、容易に狙った場所にアプローチできる。
●路面乾燥車(熱風送風型、ヤンマー)
この熱風送風型の路面乾燥車は雪や氷を熱風で解かす機能があり、路面を傷めにくい。
できる限り道路を止めない
アクティオの産業機械事業部高速メンテナンス課が一番大切にしていることは、できる限り道路を「止めない」こと。高速道路は人間の動脈や静脈のようなものであり、止まってしまうと経済活動に支障をきたすだけでなく、人々の生活も危険にさらすことになる。万が一災害が起こった場合、救援物資を運ぶためには、鉄道網や湾岸交通、空路が遮断された状況では、道路を使って運ぶしか方法はない。
点検する箇所や周囲の環境によっては、車両1台で対応しきれないケースもある。また、渋滞緩和のために点検作業は夜間に行われる。そのため、安全を考慮した視認性の高い安全看板を提案したりもする。
また、冬季には豪雪地帯と比べて首都圏などの交通インフラは雪に弱い。都市交通が降雪によりパニックになった際には、例えば「路面乾燥車(熱風送風型)」が活躍する。この乾燥車は雪や氷を熱風で解かす機能があり、路面を傷めずに融雪・融氷・乾燥できるのが特長だ。
2014年に全国で一斉に始まった道路構造物に対する5年点検の第1期は2019年6月で終了し、同年7月から2期目が始まっている。安全面への配慮、そして可能な限り道路通行止めの時間を短くするための効率的な作業計画。産業機械事業部高速メンテナンス課は、細心の注意と最大の情報収集をもとにレンサルティングを行っている。
※記事の情報は2020年11月2日時点のものです。
〈ご参考までに...〉
● 高速道路メンテナンスカタログINDEX(目次)(アクティオ公式サイト)
● 大型橋梁点検車「BT-400」(アクティオ公式サイト)
● 大型橋梁点検車「BT-400」(タダノ)(レンサルティングミュージアム)
● 施設点検車「YZ30FC」(ワイケー)(レンサルティングミュージアム)
● 路面乾燥車(熱風送風型、ヤンマー)(アクティオ公式サイト)
● 事業分野紹介「高速道路メンテナンス分野」(アクティオ公式サイト)