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2022.11.15
建設業界が注目する「重量物運搬ドローン」と「BIM×Drone」 建設業界におけるドローンの利活用が加速している。ドローンといえば手軽に空撮できる機械といったイメージが強いと思うが、各種点検、測量といった業務をはじめとして、重量物の運搬や屋内での飛行も可能になりつつある。ここでは建設業界で注目されている2つのドローン「重量物運搬ドローン」と「BIM×Drone(ビム・クロス・ドローン)」を紹介したい。
最大49kgの荷物を運搬可能なドローン
「重量物運搬ドローン」は、その名の通り重い荷物を運搬できるドローンだ。最大49kgの荷物を運搬でき、飛行時間は8分、距離にして1.6kmの移動が可能である。「たった8分か......」と思われるかもしれないが、往路と復路でバッテリーを交換して運用することを想定しているため、実際には16分、移動距離は往復3.2kmという計算だ。バッテリーをフル充電するのに1時間かかるため、複数のバッテリーで運用するのが前提になる。
果たして、どんな現場での活躍が期待されているのか? 重量物を人力で運ばなければならない現場、例えば山間部における鉄塔の修復工事などがそれに当たる。クルマで行ける最前線から現場まで、直線距離はたったの700m。しかし高低差も700mというのはザラ。そんな山道を数十kgの資材を背負って徒歩で進むわけだが、往復で1時間半もかかるという。それを1日に5往復するというから、かなりの重労働だ。
そこで重量物運搬ドローンを使うことで、資材の運搬や工事にかかる時間を大幅に短縮でき、作業の効率化を図ることができる。直径は約3mとかなり大型のため、耐風性能が高い。ドローン単体では風速10m程度でも飛行可能だが、重量物を吊った状態での飛行となると、風速5m程度が現実的である。
室内も飛行可能なドローン
BIMやCIMという用語を随分と聞くようになった。BIMはBuilding Information Modelingの略で、建築物の計画段階から3次元データを使ってプロセスを進めていく手法である。3DCADのような建物の形状に加えて、構造や材質、コストといった建築にまつわるさまざまなプロパティデータをひも付け、関係者全員で同時に共有しながらプロセスを進めていくわけだ。日本においてBIMは建築寄りで、土木に関してはCIM(Construction Information Modeling)、その中に「ICT施工」にフォーカスしたi-Constructionがあると考えると分かりやすい。
一般的なドローンは、GPS等の衛星測位システムによって機体位置を測位し、ほかのセンサーと連携しながら自動で飛行する。そのため屋内や地下、トンネル内部、橋梁の下、タンク内部など衛星電波の受信が難しい場所では測位不能に陥りやすく、誤差が大きくなるといった課題があった。また、非GPS環境において自己位置の測位が可能な機体を用いた場合でも、機体自己位置とマップ上の機体位置を合わせ、直感的なルートを設定できない点がボトルネックにもなっていた。
そのような課題を解決し、非GPS環境、つまり屋内でも飛行可能となるのが、屋内外自律飛行システム「BIM×Drone」だ。搭載したステレオカメラとBIMを用いて、BIMデータ上に飛行経路を設定することで、非GPS環境でもドローンの安定飛行を実現。屋内の壁や障害物などの特徴をリアルタイムで捉えながら、自己位置を把握して自動で飛行するのである。
BIM×Droneの実用化が進めば、今までは作業員が行っていた、ビル建設現場の室内の進捗状況の確認や、完成後のビル内の警備点検が可能になる。またアクティオの業務という観点では、ビル建設現場における室内の資機材状況の把握に大いに活用できる。
ドローンといえば美しい空撮映像に目がいきがちだが、建設現場にも急速に浸透しつつあるのだ。
※記事の情報は2022年11月15日時点のものです。
〈ご参考までに...〉
● 屋内自律飛行システム搭載ドローン BIM×Drone(アクティオ公式サイト)
● 室内用ドローン(レンサルティングミュージアム)
● 事業分野紹介「i-Construction(ICT施工)」(アクティオ公式サイト)