2023.04.05

「管工事施工管理」技術検定試験問題を解いて仕事力アップ! 【第3回:衛生設備】 管工事施工管理技術検定学科試験から、毎回1問ずつ取り上げて解説します。既に資格を取得されている方は復習として、これから試験を受ける方は勉強の補強として、チャレンジしていただければ幸いです。今回は排水・通気に関する理解を問います。(問題選定と解説/井上國博=住環境再生研究所所長)

「管工事施工管理」技術検定試験問題を解いて仕事力アップ! 【第3回:衛生設備】

問題

排水・通気設備に関する記述のうち、適当でないものはどれか。

  1. 排水トラップのディップとは、水底面頂部のことである。
  2. 自己サイホン作用とは、トラップ内の器具排水管内を排水が満流状態で流れるためサイホン作用が生じ、封水が誘引されて損失する現象をいう。
  3. 伸頂通気管は、排水立管の上部を通気管として延長し大気中に開口する。
  4. 排水管の管径は、器具排水トラップの口径より小さくしてよい。


(令和4年度 2級管工事施工管理技術検定第一次検定(前期) 試験問題より)




解説:トラップ、通気管の役割

トラップは、排水管の途中に水を溜めて、公共下水道などから臭気や害虫などが侵入することを阻止する目的で設置されるもの。通気管とは、排水管やトラップを水が通過する際に、スムーズに流すことができるようにするために設置される管のことです。 排水管と外気を連結して換気することで、排水管内の気圧を調整する役割を持ちます。


(1)トラップの構造

ディップは排水トラップの水底面頂部のこと。また、あふれ面のことをウェアといい、排水トラップのディップからウェアまでの距離を封水深(ふうすいしん)といいます。封水深は50mm以上100mm以下とすることが定められています。

トラップの構造


(2)自己サイホン作用とその防止方法

自己サイホン作用とは、排水がトラップ内や器具排水管内を満流状態で流れることでサイホン(細い管を液体が吸引されるように移動すること)が生じ、封水が誘引されて損失する現象をいいます。自己サイホン作用を防止するため、器具排水口からトラップウェアまでの垂直距離を600mm以下とします。


(3)伸頂通気管

伸頂通気管は、排水立管の上部を通気管として延長し、大気中に開口します。

伸頂通気管

(4)器具に応じた排水管の管径

排水管の管径は、器具排水トラップの口径より小さくしてはなりません。各器具排水トラップの最小接続口径は次の通り。


器具 JIS記号 接続口径
〔単位:mm〕
大便器 C 75
小便器 U 40
小便器(ストール型) U 50
洗面器 L 30
手洗い器 L 25
床排水   40~
汚物流し   75
医療用流し   40
掃除用流し S 65
浴槽   40


今回の設問の答え:4

排水管の管径は、必ず器具排水トラップの口径以上とします。


※記事の情報は2023年4月5日時点のものです。

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