2022.04.13

「造園施工管理」技術検定試験問題を解いて仕事力アップ!【第2回:植物管理】 造園施工管理技術検定学科試験から、毎回1問ずつ取り上げて解説します。既に資格を取得されている方は復習として、これから試験を受ける方は勉強の補強として、チャレンジしていただければ幸いです。今回は整枝剪定について取り上げ、植物管理に関する理解を問います。(問題選定と解説/井上國博=住環境再生研究所所長)

「造園施工管理」技術検定試験問題を解いて仕事力アップ!【第2回:植物管理】

問題

造園樹木の剪定に関する以下の記述のうち、適当でないものはどれか。

  1. 常緑樹を冬季に剪定すると、切除面が寒さや乾燥した寒風などにより害を受けやすくなるので、この時期の剪定は避ける。
  2. 落葉樹を冬季に剪定すると、樹木の成長が止まっていることにより、切除面の回復が遅れるので、この時期の剪定は避ける。
  3. 落葉樹、常緑樹とも若葉が萌芽する時期に剪定すると、樹木は不定芽を発生するので、この時期は強い剪定は避ける。
  4. 落葉樹、常緑樹とも夏季に剪定すると、光合成をおこなう緑葉の損失により、樹木の生理を著しく損ねるので、この時期の強い剪定は避ける。


(令和3年度 1級造園施工管理技術検定第1次検定 試験問題Aより)




解説:整枝剪定の目的と時期について

■整枝剪定の目的
理想の樹形を維持するために枝を切る「整枝剪定」には、さまざまな目的があります。景観、美的整形を目的とした剪定もあれば、病虫害対策や日照などを考慮した植物生育上必要な剪定もあります。ほかにも、防風、遮蔽(しゃへい)、緑陰(りょくいん)、防火などの機能を向上させる目的もあります。

整枝剪定

■整枝剪定の時期
整枝剪定をする時期の選び方のポイントは、以下の4つです。

①整枝剪定による樹木への損失が少ない時期であること。
②整枝剪定による切り口の回復が早い時期であること。
➂花の咲く樹木は、花芽分化(はなめぶんか)*1時期以後、整枝剪定をしない。
④整枝剪定作業が容易な時期であること。


*1 花芽分化(はなめぶんか):花芽が形成されること。栄養生長から生殖生長への移行の最初の過程。植物の栄養状態や気温、日照時間などの環境による影響が大きい。

整枝剪定として一般的な「冬剪定」と「夏剪定」について、ポイントをおさえておきましょう。

【冬剪定】
・ 落葉樹、針葉樹は、休眠状態にある冬の時期に剪定を行うことで、樹木の剪定による損
失を最小限にします。
・常緑広葉樹は、剪定による切り口が寒気の通風による害を受けやすいため、剪定は春の新芽前に行います。
・萌芽する時期に剪定すると、落葉樹、針葉樹ともに樹木は不定芽を発生するため、この時期の強剪定は避けます。
・落葉時の樹形を大きく変える主幹、主枝の強剪定は冬季に行い、切り口、幹、枝の養生、保護を十分行います。

【夏剪定】
・常緑樹、落葉樹を問わず新枝の伸長が収まった時期に繁茂した枝葉を軽く剪定し、通風、日照をよくするとともに、むだな枝を取り除きます。
・夏の盛りの時期の剪定は、落葉樹、常緑樹とも光合成をおこなう緑葉の損失により、樹木の生理を著しく損ねるので、この時期の強い選定は避けます。

今回の設問の答え:2

落葉樹は、休眠状態にある冬の時期に剪定を行います。そうすることで、樹木の剪定による損失を最小限にすることができます。よって、「冬季の落葉樹の剪定は避ける」とするのは適当ではないため、正解は(2)となります。


※記事の情報は2022年4月13日時点のものです。

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