2021.09.21

「壊す」を生産的に行う精鋭部隊「解体事業部」 そびえ立つビルも、存在感を放つ工場も、多くの建築物はいつか壊す日が来る。海外では爆破するケースもあるが、国土の狭い日本では難しい。安全に、無駄が出ないよう、かつスピーディーに解体していく技術の進化には目を見張るものがある。全国にある解体現場を、資機材の提供で支えているのがアクティオの解体事業部だ。

「壊す」を生産的に行う精鋭部隊「解体事業部」

建築物がある限り、解体工事はなくならない

平屋の一般住宅から高さ300m級の超高層ビル、さらには発電所のような巨大プラントまで、多くの建築物はいつか壊す(壊れる)日が来る。その理由は老朽化、耐震性の不足、設備の陳腐化など様々だ。


「解体」と言うと、「建築」よりも大雑把なイメージを抱くかもしれないが、実は至極繊細である。特に建設リサイクル法が2000(平成12)年5月31日に公布されてからは尚更で、極力廃棄物を減らすため分別し、再利用することが大前提。解体工事の規模にもよるが、違反した場合は罰則が科せられる。


解体工事(ビル)の大まかな流れは、以下の通りだ。


①騒音や粉塵を防ぐため、養生シートやパネルを取り付ける。
②室内の解体は手作業で行う場合が多い。サッシや建具を外し、天井、壁、床材を剥がしていく。
③ビルが躯体(骨組み)になったら、重機で挟んだり切ったりしながら解体していく。粉塵の飛散を防ぐため、水をまきながら行う。
④コンクリートと鉄筋を分離、分別する。室内の解体で出た廃材も含め、適切な専門処理場へ運搬。
⑤整地して完了。


具体的なビル解体の工法だが、クレーンで吊り上げた重機をビルの屋上に降ろし、重機で壊しながら低くしていく「階上解体」と、地上部に大型の解体機を置いて、上から順に壊していく「地上解体」の2通りに大別される。今後は超高層ビルの解体も想定されるため、大手ゼネコンを中心に新しい工法が次々に考案されているのが現状だ。


豊富なラインナップと技術で解体をサポート

このような解体に関する資機材の提案・レンタルを行う部署として、2014年に発足したのがアクティオの解体事業部である。解体の現場は全国どこにでもあるが、それに特化した営業(事業部)として全国展開しているレンタル会社は、アクティオのみ。北は東北、南は九州まで、解体事業部のセンターは13拠点、埼玉には工場もある。お客様からご要望があれば、全国どこにでも資機材を供給できる機動力が1番の強みだ。


今回は解体事業部の埼玉工場を取材した。解体事業部が取り扱う資機材は多岐にわたるが、まずは室内関係から見ていこう。


超高圧洗浄機の水圧は50MPa*1もある。一般的な洗浄機が5MPa程度なので、なんと10倍の水圧だ。解体事業部では内装材を剥がす機材としてレンタルしているが、 その威力から船舶等に付着したフジツボなどの貝を落とす事にも使用できる。さらに、現場を知り尽くしたアクティオならではの一工夫として、本体への負荷を軽減するための補助タンクをオリジナルで設置、エンジンをガソリンからディーゼルに変更。ガソリンは揮発性が高いため燃料の管理がシビアであること、また他の機材や重機と燃料を共通化させるため、あえてディーゼルに変更したのだ。


*1 MPa:メガパスカル。圧力・応力の単位で、国際単位系 (SI) における、固有の名称を持つSI組立単位。Paを106した値。

50MPaという超高圧が特徴。内装材を剥がす機材として使用している50MPaという超高圧が特徴。内装材を剥がす機材として使用している


コンクリート切削機(RT-2500)はコンクリートやアスファルトの表層を削る機材で、特徴的なのが縦回転の動きだ。表面を研磨する機材は歯を横回転させて削っていくのが一般的だが、 コンクリート切削機(RT-2500)は畑を耕す耕耘(こううん)機のような縦回転の歯の動きで、表面を削っていく。

縦回転という動きがコンクリート切削機(RT-2500)ならでは。コーティング材等を素早く効率的に除去するのに大変有効な機材だ縦回転という動きがコンクリート切削機(RT-2500)ならでは。コーティング材等を素早く効率的に除去するのに大変有効な機材だ


左奥は電動遠隔解体ロボットで、その右側に並ぶ機材は床材剥がし機等の数々左奥は電動遠隔解体ロボットで、その右側に並ぶ機材は床材剥がし機等の数々


解体事業部のメインとなる資機材がバックホーに代表される重機と、そのアタッチメントである。バックホーは土砂の掘削や、バケットに入れた土砂をダンプカーなどに積み込む作業に向いているが、このバケットを解体用のアタッチメントに変更することで、解体の現場で大活躍する重機となる。


挟む力でコンクリートを破砕するアタッチメントが油圧圧砕機の大割/小割だ。大割はコンクリートの柱や梁を破砕する際に使用。小割は大割で破砕したコンクリートのガラを砕く際に使用する。ガラ付き鉄筋をキャッチできるマグネット(磁石)付きの小割もある。

左が油圧圧砕機のSRC用大割、右はマグネット付きの小割左が油圧圧砕機のSRC用大割、右はマグネット付きの小割


油圧ブレーカーはビルの解体作業の他に、道路工事や採石場などでも使われるアタッチメントだ。先端部分が連続打撃することによって、対象物を破砕する仕組みになっている。このほか、木材家屋を挟んで壊したり、廃材を挟んで移動させるフォークというアタッチメントもある。

鉛筆の芯のような部分が連続打撃することで対象物を破砕する油圧ブレーカー鉛筆の芯のような部分が連続打撃することで対象物を破砕する油圧ブレーカー(手前)


解体現場で放水しているのをよく見かけるが、あれは粉塵が舞うのを防ぐため。ビル解体のような大きな現場では、放水専用の機材を使用して近隣へ配慮している。

解体用散水機解体用散水機


油圧破砕機の大割/小割で砕いたコンクリート塊を、解体現場で処理できる機材がジョークラッシャーだ。コンクリート塊を砕石にし、鉄筋と分けてくれる優れもの。砕石は解体現場に埋め戻すことも可能なため、コンクリート塊を処理施設に運搬するコストが削減できる。

ジョークラッシャージョークラッシャー


取材した解体事業部の埼玉工場では、機材の整備・保守も行っている。最初に目に飛び込んできたのが、油圧ブレーカーのオーバーホールだ。定期的にメンテナンスしないと油漏れを起こし、打撃が弱くなってしまう。

油圧ブレーカーのオーバーホール油圧ブレーカーのオーバーホール


その奥では何やらバチバチと火花が......。これは肉盛りという作業で、角が丸まってしまった大割/小割の爪に、溶接で角を立たせているのである。ちなみに、こういったメンテナンスは自社機だけでなく、可能な範囲でお客様の手持ち機械も引き受けている。

肉盛り作業によって、丸く削れていた爪が、ビシッと角が立った姿に生まれ変わる肉盛り作業によって、丸く削れていた爪が、ビシッと角が立った姿に生まれ変わる


今回お話をうかがった解体事業部の池田嘉統事業部長(左)と本間洋次郎部長今回お話をうかがった解体事業部の池田嘉統事業部長(左)と本間洋次郎部長


耐震性の向上、コンクリートの進化などにより、建築物はより頑丈になっていく。だからこそ解体しにくくなるため、よりタフな機械、テクニックが求められるのだ。さらにきめ細かなサービスをお客様に提供するためには、拠点を増やす必要もある。確かな技術、サービス向上のために、解体事業部は今日もレベルアップをモットーに邁進している。

今年、解体事業部に配属になった新入社員の面々。全体研修を終え、解体事業部での研修に励んでいた。これからのご活躍、期待しています!今年、解体事業部に配属になった新入社員の面々。全体研修を終え、解体事業部での研修に励んでいた。これからのご活躍、期待しています!


※記事の情報は2021年9月21日時点のものです。



〈ご参考までに...〉

電動遠隔解体ロボット(アクティオ公式サイト)

油圧圧砕機大割(アクティオ公式サイト)

油圧圧砕機小割(アクティオ公式サイト)

散水機(アクティオ公式サイト)

ガラ処理機/可搬式(アクティオ公式サイト)

事業分野紹介「解体分野」(アクティオ公式サイト)

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