2024.04.30

静かで速い! 最新の杭打ち機「スマートパイラー®」 「パイラー」を日本語で言えば「杭打ち機」。土木工事で、遮水や土留め、基礎などを担う「杭」を地盤に打ち込む機械だ。その起源は古代にまで遡ることができ、現在に至るまで土木基礎工事を担い続けている。この杭打ち機の最先端の姿が「スマートパイラー®」だ。

パイラー界の大型新人

一口に「杭打ち機」と言ってもさまざまなタイプがある。最も代表的なものは、産業革命時に普及し、現在でも広く使われている「打撃式」の杭打ち機だ。杭にハンマーを打ち付けて地盤に打ち込んでいく。杭打ち機と聞いて多くの人がイメージするのがこのタイプだろう。地盤を選ばず、しかも低コストだ。しかし、施工時に大きな騒音や振動を生むのが最大の難点。建物が密集する都市部や住宅地の近隣などでの使用は難しい。


このパイラーの騒音・振動問題を解決すべく誕生したのが、油圧のパワーで杭を地盤に押し込む「圧入式」のパイラーだ。1975年に日本の機械メーカー、株式会社技研製作所が開発し、今や世界中で使用されている。製品名はその名も「サイレントパイラー®*」。このシリーズ最新鋭機が「スマートパイラー®*」だ。


* サイレントパイラー、スマートパイラーは株式会社技研製作所の登録商標です。


スマートパイラー®は、国内で最も使用頻度の高い400mm幅のU形鋼矢板専用の圧入機。矢板という板状の杭を打ち込みながら次々と接続し、地中に鋼鉄の「壁」を作ることができ、土留めや遮水工事に用いられる。


システムの全体像。左の箱形の装置は油圧パワーユニット。この一式を15t車1台で運搬できるシステムの全体像。左の箱形の装置は油圧パワーユニット。この一式を15t車1台で運搬できる




圧入式の杭打ちとは?

圧入式のパイラーは、すでに地盤に対して垂直に立て込んだ杭を機械でつかみ、次の杭を油圧の力で地中に押し込む。深く押し込んだら少し戻し、さらに深く押し込んでは少し戻し...... という動作を繰り返して杭を規定の深さまで差し込んでいく。


この方式の最大の特徴は、騒音が極めて少なく、振動が発生することがないという点。打撃式パイラーの難点を完璧にカバーする画期的な工法なのだ。


杭を「チャック」と呼ばれる機構でつかみ、油圧を使って地盤に押し込む杭を「チャック」と呼ばれる機構でつかみ、油圧を使って地盤に押し込む




スマートパイラー®の先進性

圧入式の杭打ちは、地盤の抵抗力との闘いだ。地盤の抵抗力は、大きな力で杭を押し込めば押し込むほど増し、蓄積していくという性質がある。そのため、施工効率が落ちてしまうのだ。


スマートパイラー®は、この抵抗力を最小限に抑えながら圧入を行う。小さな力で押し込みと引き抜きを素早く、頻繁に繰り返すことによって、抵抗力の増大を巧みにかわし、高効率な圧入を可能にしている。


杭に加える力の大きさや、押し込む速度は、現場地盤の分析データを使ってあらかじめ最適化されている。しかも、この動作はボタン1つで自動的に繰り返される。そのため施工スピードも飛躍的にアップしているのだ。


従来機とスマートパイラー<sup>®</sup>の圧入比較(概念動画)従来機とスマートパイラー®の圧入比較(概念動画)


国土が狭く、住宅や施設の密集地で土木工事を行わざるを得ない日本。だからこそ誕生できた新機軸のパイラーが、スマートパイラー®だ。アクティオは、開発元である株式会社技研製作所のパイラー全機種を保有し、さまざまな現場へ送り出している。


※記事の情報は2024年4月30日時点のものです。


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サイレントパイラー®(アクティオ公式サイト)

基礎・地盤改良機(アクティオ公式サイト)

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