2025.09.16

日本カーリング選手権大会 横浜2025 会場設営や電源供給など、環境整備を担うアクティオの取り組み 建設機械レンタルのアクティオは、各種イベントへの機材レンタルのみならず、会場設営、さらにはイベントの企画や演出、運営、配布物の制作までトータルでサポートしている。さまざまなイベントの裏側でアクティオの機材やスタッフが活躍し、レンサルティングを実践しているのだ。

日本カーリング選手権大会 横浜2025 会場設営や電源供給など、環境整備を担うアクティオの取り組み

アクティオのイベント部隊「プラザ事業部」

アクティオは建設機械レンタルをベースに、多彩な専門分野で活動している。事業分野は、建設DXやi-Construction(ICT施工)、送電線、基礎機械、クレーン、パワーシステム、道路、解体、林業、鉄道、高速道路メンテナンスなど、多岐にわたる。


中でも異色なのが、イベント分野だ。大規模な音楽フェスやスポーツ大会、地域のお祭り、企業の展示会、自治体主催のワークショップなど、アクティオはこれまでにさまざまなイベントを舞台裏で支えてきた。単にイベント機材のレンタルにとどまらず、会場設営、さらには企画、演出、運営、配布物の制作に至るまで、幅広くカバーしている。


アクティオの中でイベント分野を専門に扱うセクションが、プラザ事業部である。プロジェクト事例としては、「世界水泳選手権2023 福岡大会」のハイダイビングタワー設営工事およびリギング作業、「バレーボールネーションズリーグ2024 福岡大会」の仮設スタンド8,000席の設営工事やリギング作業、「Warai Mirai Fes(ワライミライフェス)」のメインステージ工事のほか、国民体育大会(現 国民スポーツ大会)や横浜開港祭、水泳やビーチバレーなどのスポーツイベント、展示会出展ブースなどを手掛けている。


※リギング工事:照明や音響などの機材を、トラスやチェーンブロックなどの装置を使い、吊り下げたり固定したりする作業全般。


記憶に新しいのが、「日本カーリング選手権大会 横浜2025」だ。2025年2月2~9日、横浜BUNTAIで開催された同大会は、首都圏初のアリーナでのカーリング大会ということもあり、大きく注目された。その舞台裏をプラザ事業部、首都圏支社、横浜支店が一丸となって支えていたのだ。まずは中心メンバーである首都圏支社 営業部 営業二課の吉川圭吾専門部長に話を聞いた。


吉川「弊社には最初、スケートリンクを作る製氷企業様からお話がありました。特設会場にスケートリンクを作るには400kVAクラスの大型発電機が2~3台必要となるため、以前から発電機のレンタルでお付き合いがあり、今回も当初は同様のご依頼でした。2023年9月20日に日本カーリング選手権大会 横浜2025へ向けた現地調査を実施し、2024年2月にカーリングシート1面を実際に作り、競技用の会場が設営可能か実証実験を行いました」


実証実験の時点では、会場となる横浜BUNTAIがまだ建設中で、会関係者や横浜市、横浜BUNTAI施工者と第1回会議を実施した。


吉川「打ち合わせの中で、発電機の排煙や騒音が気になるとのことで、横浜市より24時間連続運転となる発電機での電源供給は避けたいという申し入れをいただきました。横浜BUNTAIの建設地はマンションや飲食店が隣接していましたからね。そこで、設計変更で施設自体の電気容量を増やせないか施工者に確認しましたが、竣工が近く時間が足りないことや、予算の都合で不可となりました。何かほかに方法はないかと、公益社団法人 日本カーリング協会や公益財団法人 横浜市スポーツ協会から弊社にご相談があり、東京電力からの商用電源を臨時で導入する方法を提案しました」


実現にはさまざまなハードルがあったが、なんとか東京電力からの臨時高圧受電のめどが立ち、大会を開催できる運びとなった。ここまでのアクティオの対応は大会運営事務局に高く評価され、電源供給だけでなく、大会の設営や運営を任されるようになっていく。


首都圏支社 営業部 営業二課の吉川圭吾専門部長首都圏支社 営業部 営業二課の吉川圭吾専門部長


受電関係は横浜支店、横浜中央営業所、さらにグループ会社の株式会社シンテクノが担当。会場設営などは横浜支店、プラザ事業部 東京営業所、首都圏支社 営業二課が受け持つ形で、日本カーリング選手権大会 横浜2025に関するアクティオの仕事が本格的にスタートした。




短期間での設営・撤去という課題

日本カーリング選手権大会 横浜2025の開催準備から撤去までのスケジュールは、以下の通りだ。


■スケジュール(37日間)

2025年1月6~8日
受電設備用電柱建柱工事
2025年1月14~16日
東電受電設備現場設営
2025年1月17日~2月1日
会場設営
2025年1月18日~
NHK中継テスト
2025年2月2~9日
本番調整対応
2025年2月9~12日
会場・受電設備各撤去、引き渡し


まず、電源供給が大型発電機から臨時高圧受電に変更されたため、受電設備用電柱建柱工事が必要になった。そこで、完成したばかりの横浜BUNTAI敷地内に穴を掘り、臨時の電柱を立てることで対処。さらに東京電力から供給された高圧電力を低圧電力に変換するキュービクルも、当初の計画から変更になっている。製氷機械に加え、テレビ放送の中継車にも電源を供給することになり、受電容量が150kVAも増加。結果として600kVAの供給容量となった。


キュービクルは受注生産のため、納品までに時間がかかるのが常だ。直前の仕様変更は致命傷になりかねないが、今回はグループ会社の株式会社シンテクノがキュービクルに精通していたため、見事に乗り切ることができたのである。また、竣工間際の施設のため、キュービクルの設置跡や電柱撤去後の穴の復旧などにも配慮した。


(左上・左下)受電設備用の電柱を建柱するため、ドリルにて2m掘削(右)掘削した穴に電柱を差し込み、受電機材を装着(左上・左下)受電設備用の電柱を建柱するため、ドリルにて2m掘削
(右)掘削した穴に電柱を差し込み、受電機材を装着


キュービクルを設置キュービクルを設置


会場の設営関係を主に担当したのが、プラザ事業部 プラザ営業一課の竹下龍志主事だ。


竹下「今大会の作り込みでメインになるのがトラスです。これは金属製の構造物で、フェスやライブでは照明や音響機器などを設置・固定するために使います。カーリングを行う長さ約45m、幅5mの氷のエリアをシートといいます。シートの両側にはストーンを投げ入れる同心円"ハウス"が描かれていて、その中心点となる"ティー"の真上に設置するカメラを5台取り付けるためにトラスを使用しました」


今回は設営・撤去の時間に制約があり、特に施工面では厳しかったと話す。


竹下「カーリングシート設置前にしかトラスの作り込みができず、位置合わせには特に気を遣いました。ちなみに、トラスは13本のウインチで吊っており、トラスの上下移動や微調整は専用の制御盤で行います。こういった機材はプラザ事業部で所有しており、熟練したオペレーターが作業にあたっています」


プラザ事業部 プラザ営業一課の竹下龍志主事プラザ事業部 プラザ営業一課の竹下龍志主事


天井に吊るされている構造物がトラスで、これにカメラを設置した。こうした作業は、カーリングシート設置前に行った天井に吊るされている構造物がトラスで、これにカメラを設置した。こうした作業は、カーリングシート設置前に行った


このほか、カーリングならではの会場設備も作り込んだ。


竹下「カーリングシートの温度管理のため、冷気だまり(鉄柵)を設置しました。冷気は重いので、カーリングシートの周囲を鉄柵で囲むと冷気だまりができるわけです。また、横浜BUNTAIは観客席の下に空調の吹き出し口があり、そこから出る温風がカーリングシートに当たるのを防ぐため、防風柵(システム)も設置しました。温度や空調、降霜などを24時間管理することで、2,000人を超える観客や選手・スタッフが入る会場でも、国際大会レベルのカーリングシートを設営できました」


リンク付近の温度は10℃以下、観客席は18~20℃を保ち、良い環境づくりに貢献した。その上で、会場全体の配置や動線についても工夫を凝らしたという。


竹下「横浜BUNTAI自体の色使いやビジョンレイアウト、観客目線とカメラ目線を考慮した会場レイアウトと色調を心がけました。さらに競技者にけがをさせない動線・バリアフリー対策、試合に集中できる環境の整備なども行いました」


カーリングシートは専門の製氷業者が担当カーリングシートは専門の製氷業者が担当


手前に見える青い壁が冷気だまりの柵手前に見える青い壁が冷気だまりの柵


日本カーリング選手権大会 横浜2025は、NHK(日本放送協会)の全国放送決定を機に、各地上波局、YouTube、新聞各社から、配信用動画カメラやスチールカメラを設置したいとの要望が殺到。設営・撤去のオペレーションは複雑になり、会期中に訪れる報道陣の数も当初の予定より大幅に増えたため、対応にも追われた。メディア関係を担当したのが首都圏支社 営業二課に所属する仲陽花だ。現在はイベント関連の研修を行っており、今回の仕事に携わった。


「メディアが増えたことでプレスルームの席が足りず、レイアウトを変更しました。頭を悩ませたのが、コンセントの数です。パソコンの電源、カメラやスマホを充電されるため、かなりの数が必要でした。また、ブレーカーが落ちてしまうと競技にまで影響を及ぼすので、電源管理には細心の注意を払いました」


首都圏支社 営業二課(現在はイベント関係の研修でプラザ事業部に所属)の仲陽花首都圏支社 営業二課(現在はイベント関係の研修でプラザ事業部に所属)の仲陽花




より多くのカーリング大会を全国で実施したい

首都圏初のアリーナでの開催となった、日本カーリング選手権大会 横浜2025は、大盛況のうちに幕を閉じた。主催した公益社団法人 日本カーリング協会の酒巻智副会長兼専務理事にも、率直な感想をうかがった。


酒巻氏「アリーナでカーリング大会を開催するのは初めてでしたので、全てが手探り状態でした。アクティオさんには北海道の大会でお世話になっており、とにかく経験豊富ですから、お知恵を拝借といった気持ちでしたね。今大会には多くの業者の方々が関わっており、特に設営・撤去の段取りが煩雑でしたが、アクティオの方々にうまく立ち回っていただき感謝しています。午前中に何かをお願いすると、午後には要望を叶えていただけるというスピード対応で、円滑な大会運営を実現できたと思います」


今回、発電機の代わりに使用することになったキュービクルについては、次のように評価している。


酒巻氏「結果として良かったですね。アイススケートのリンクと違い、カーリングのシートは繊細な温度管理を求められます。安定した電力を供給できるキュービクルはカーリングに最適でした」


公益社団法人 日本カーリング協会の酒巻智副会長兼専務理事公益社団法人 日本カーリング協会の酒巻智副会長兼専務理事


今回の成功を機に、協会として新たな展望も見えてきた。


酒巻氏「日本はカナダに次いでカーリングの人気が高い国です。その割にコンテンツが少ない。日本に常設のカーリング場は北海道、青森、長野にしかないですからね。今回、アリーナでもカーリング大会が開催できることを証明できたので、今後は日本全国で開催できるようパッケージ化したいと考えています。そのためには運営コストを抑えつつ、よりクオリティーを上げる必要があります。また、もっと簡単に氷を張れて、短期間で設営や撤去ができる仕組みづくりも必要です。カーリングの普及に向けて、今後もより一層、邁進していく所存です」



野外、屋内を問わず大規模なスポーツイベント、競技会などイベントの制作に力を入れているアクティオ。今後も主催者様や来場者様とのご縁を大切にし、丁寧なイベントづくりに努めていく。


※記事の情報は2025年9月26日時点のものです。


お問い合わせはこちら


〈ご参考までに...〉

イベント用品(アクティオ公式サイト)

イベント用品カタログINDEX(目次)(アクティオ公式サイト)

事業分野紹介「イベント分野」(アクティオ公式サイト)

ページトップ