実習・事例
2021.12.23
産学官連携事業の「建設業ナイストライ」をアクティオがサポート 2021年11月2日、一般財団法人熊本県建設技術センターにおいて、熊本県内の工業高等学校の土木科の生徒を対象にした「建設業ナイストライ」が行われた。生徒たちは普段の授業では学ぶことが難しい舗装実習に加え、ICT建機のマシンコントロールや転圧管理、3D測量、さらにはVRを用いた安全教育システムも体験。その実習体験をアクティオが主に機材面でサポートした。
約170名の高校生が参加
「スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)」をご存じだろうか。これは文部科学省が2014年度より実施している事業で、専門高等学校等が大学・研究機関・企業等との連携強化などにより、社会の第一線で活躍できる専門的職業人の育成を図るのが目的だ。
今回の「建設業ナイストライ」は、熊本県立熊本工業高等学校が2018年4月、九州の工業高等学校で初めてとなるSPHの指定を受けたことに端を発する。熊本地震で被災した経験から、「災害に対応できる生徒を育成する」ことの大切さを痛感し、SPH指定校として3年間、防災に関する授業・実習等に取り組んだのだ。その一環として2020年10月、土木科の生徒が校内で舗装実習を行った。専門業者の支援がなくては成し得ない実習で、そこでひと肌脱いだのが一般社団法人熊本県道路舗装協会だった。
その舗装実習が、今年は「建設業ナイストライ」にパワーアップ。熊本県から委託され、2023年まで毎年開催される予定だ。対象も熊本県内の土木科がある工業高等学校に広げられ、今年は熊本県立熊本工業高等学校(2年生39名)、熊本県立玉名工業高等学校(2年生31名)、熊本県立小川工業高等学校(1年生26名)、熊本県立球磨工業高等学校(1年33名)、熊本県立天草工業高等学校(2年生39名)の生徒が、会場となる一般財団法人熊本県建設技術センターに集まった。
約170名の生徒を対象に、舗装実習だけのカリキュラムで回すのは現実的ではない。そう判断した熊本県道路舗装協会は、アクティオに協力を打診。アクティオとしても、次世代の担い手の育成に貢献できるのであれば、断る理由などない。舗装実習で使用する機材に加え、「マシンコントロール」「転圧管理」「3D測量」「VRを用いた安全教育システム」のカリキュラムに必要な機材を用意したのだ。
5つのカリキュラムを用意
舗装実習は、会場となった熊本県建設技術センターの駐車場を、実際にアスファルト舗装するという実践に即した内容だ。生徒たちは大量のアスファルトを均一に地面にまいてならす「アスファルトフィニッシャ」や、アスファルトを押し固めて整地する「ロードローラー」に担当者と共に試乗。さらに「振動コンパクター」でアスファルトを固め、「手押しライナー」で白線を引くという作業も行った。
ICT建機を使ったカリキュラムとしては、TSマシンコントロール技術を搭載した建機を使用し、ブレードのマシンコントロールを体験。また、締固め管理を明確にすることで、過転圧や転圧不足を防止し、品質管理の向上が見込まれるローラー締固め管理システムも実機で体験した。
3D測量では、三脚に据えたレーザー測量機から360度全方位にレーザーを照射し、地形を計測する仕組みを学習した。
この日、生徒たちの興味をもっとも引きつけたのは、VRを用いた安全教育システム「Safety Training System VR of AKTIO」かもしれない。今回は高所作業車編とバックホー編を体験。特に高所作業車編の室内高所作業車が点検作業中に転倒するシーンでは、膝から崩れ落ちるほど驚く生徒が多かった。危険行動を安全に体験できるのが、Safety Training System VR of AKTIOのメリットである。
この「建設業ナイストライ」には、アクティオのほかにも多くの企業、団体が協力している。施工協力は熊本ニチレキ株式会社、興亜建設工業株式会社、吉坂建設株式会社の3社で、現場で指導した作業員の中には、今回参加した工業高等学校のOBもいた。先輩が活躍する姿を身近で感じられたのも、良い刺激になっただろう。また舗装実習に必要な資材は、一般社団法人熊本県アスファルト合材協会が提供した。
舗装実習を終えた駐車場を見ると、白線が波打っている箇所が散見された。皆初めての作業なので、うまくできるはずなどない。主催した熊本県道路舗装協会の舗装実習特別委員会は、こうなることを想定し、会場を提供した熊本県建設技術センターに、「少し失敗するかもしれないが、そこは大目に見てください」と事前にお願いをしていたのだ。もちろん、熊本県建設技術センターは了承。なんとも懐が広い話である。
土工作業員の高齢化は深刻で、若い人材は喉から手が出るほどほしい。だからこそ、こうして種をまいているのだが、そんな下心は抜きにして、高校生にものづくりの達成感や専門的な知識・技術を直接的に学ぶ機会を提供できたことが一番の収穫だ。
▼産学官連携事業の「建設業ナイストライ」をアクティオがサポート
※記事の情報は2021年12月23日時点のものです。
〈ご参考までに...〉
● アスファルトフィニッシャ(アクティオ公式サイト)
● TS締固め管理(アクティオ公式サイト)
● GNSS締固め管理(アクティオ公式サイト)
● GNSS締固め管理システム(レンサルティングミュージアム)
● ブレード3Dマシンコントロール バックホー(アクティオ公式サイト)
● 通信計測機器(アクティオ公式サイト)
● i-Construction(アクティオ公式サイト)
● 事業分野紹介「i-Construction(ICT施工)」(アクティオ公式サイト)
● Safety Training System VR of AKTIO(高所作業車編・バックホー編)(アクティオ公式サイト)
● Safety Training System VR of AKTIO(レンサルティングミュージアム)