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2022.06.09
安全・安心な水をつくり出す「小型海水淡水化装置」「循環式手洗いユニット」 蛇口をひねれば、安全・安心な水がいつでも提供される日本。しかし、状況や場所によっては上水道を利用できないこともある。そのような場合に活躍する装置が、小型海水淡水化装置と循環式手洗いユニットだ。
海水や河川の水を飲み水レベルに造水
小型海水淡水化装置
ネコ型ロボットが活躍する国民的マンガで、海水を飲むと真水になって口に入るストローが登場するエピソードがある。そんな魔法のようなシロモノが、小型海水淡水化装置だ。この装置は海水や河川の水を飲み水レベルにまで造水できる(飲料水として飲むことはできません)。想定される使用シーンは、上水道を引くことが難しい現場事務所や作業台船上の工事現場、災害といった緊急事態など。きれいな水がない場所でも、安全・安心な水で手を洗ったり、体を拭いたりすることなどができるのは大いにありがたい。
小型海水淡水化装置で、ポイントとなるメカニズムが「逆浸透」だ。逆浸透を理解するためには、通常の「浸透」を知るのが近道である。淡水と海水(塩水)を、一定の大きさ以下の分子だけが透過できる「半透膜」で仕切ると、淡水は塩分濃度の高い海水(塩水)へ浸透し、塩分濃度を等しくしようとする作用が働く。これが浸透だ。浸透からしばらく時間が経つと、海水(塩水)側の水位が上がる。この際の水位の差に相当する圧力が、海水(塩水)の「浸透圧」である。
このメカニズムの逆、つまり人工的に浸透圧以上の圧力を海水(塩水)側にかけると、海水(塩水)の水の分子だけが半透膜を超えて淡水側に押し出される。これが「逆浸透」で、この作用により海水を真水に変えるのである。
今回紹介する小型海水淡水化装置は、前処理フィルターユニット、逆浸透膜ケース、UV殺菌装置などから構成されている。細かい仕様を写真と共に見ていこう。
この小型海水淡水化装置のサイズは全長810×全幅685×全高555mm、重量約70kg。世界最小クラスのため、持ち運びにも困らない。また、100Vで駆動するため、小型の発電機での運用も可能だ。
今回、実際に小型海水淡水化装置を使用している現場を取材することができた。東洋建設株式会社様はトイレ横に設置し、手洗い用として使用している。
監理技術者の戸取靖さんによると、「現場に上水道が引けないため導入を決定した」とのこと。以前、同様の現場ではポリタンクで水道水を運んでいたが、結構な労力を必要とするため、不便だったという。また、担当技術者の大槻真希さんは「未処理水が結構汚れていても、この装置を使えば匂いもなく、きれいな水が使えるのは助かる」と語っていた。
手洗いで使用した水を浄水し、再利用!
循環式手洗いユニット
上水道が引けない、下水がないため排水できないといった現場での活躍が期待されている装置が、循環式手洗いユニットだ。その名の通り、手洗いで使用した水を浄化して再利用するため、場所を選ばずに手洗いが可能である。
浄化の原理は、先に紹介した小型海水淡水化装置とほぼ同様である。手洗いで使用した水は、まずオイル吸着シート、カーボンパック、バックフィルター5μを通過。さらにプレカーボンフィルター、10&20インチ0.5μセディメントフィルターなどを経た後に逆浸透圧ケースに送り込まれ、最終的には紫外線&オゾン殺菌されて蛇口から流れ落ちる。浄化能力が高いため、せっけんの使用も可能だ。コロナ禍ということもあり、最低限の接触で手洗いを可能にするため、ワンプッシュ蛇口を採用。タンクの水は定期的に補水する必要があるが、雨水やエアコンからの排水でOKだ(飲料水として飲むことはできません)。
循環式手洗いユニットのサイズは全長550×全幅1,200×全高1,260mm、重量約90kgで、100V電源があれば使用可能。現場への設置は、本体を吊り上げるフックが付いているためユニックで行える。移動用キャスターも付いており、細かい位置調整も容易だ。
場所を選ばずに手を洗うことができ、給排水の手間を大幅に軽減。現場の衛生環境整備に、また新型コロナウイルス感染症対策としても、循環式手洗いユニットは要注目である。
▼小型海水淡水化装置
▼循環式手洗いユニット
※記事の情報は2022年6月9日時点のものです。
〈ご参考までに...〉
● 小型海水淡水化装置(可搬式脱塩淡水化装置)(アクティオ公式サイト)
● 循環式手洗いユニット(アクティオ公式サイト)