2021.08.04

電力を自給自足し脱炭素社会に貢献する「オフグリッドハウス」を開発 太陽光パネルで発電し、蓄電池に充電。必要な電力は化石燃料に頼らず、再生可能エネルギーでまかなう。脱炭素社会に貢献するユニットハウスとして、アクティオがエスアールエス株式会社、エリーパワー株式会社、大和ハウスグループの株式会社ユアサロジテックとの協業により完成させたのが「オフグリッドハウス」だ。

電力を自給自足し脱炭素社会に貢献する「オフグリッドハウス」を開発

脱炭素社会に向けた取り組みが急務

近年、世界各地を記録的な熱波が襲い、大規模な森林火災を引き起こすとともに、ハリケーンや洪水が未曾有の被害をもたらしている。日本でも災害級の猛暑や熱中症による搬送者・死亡者数が増加。また数十年に1度と言われる台風・豪雨が毎年のように発生し、被害が深刻化している。もはや地球温暖化対策は待ったなしの状態。1日も早い脱炭素社会の実現に向けて、それに相応しい取り組みの実践が急務なのだ。


だからこそ、今回取り上げるオフグリッドハウスには大きな意義がある。オフグリッドとは、電力会社などの送電線につながっていない、もしくは電力会社を頼らずに電力を自給自足している状態を指す。グリッド(送電線)をオフ(切る)している、独立型電力システムというわけだ。




熱中症対策ハウス、休憩所としての使用を想定

オフグリッドハウスは、アクティオグループのエスアールエスが販売するオリジナルユニットハウス「PROハウス4坪タイプ」をベースに、エリーパワーの太陽光/蓄電ハイブリッドシステムを搭載。施工は蓄電システムの取り扱いに精通した大和ハウスグループのユアサロジテックが行い、アクティオがレンタルを担当するというオールジャパンのコラボ商品である。


ベースとなるPROハウスは、窓パネルよりも熱が室内に入りにくくするため、上部FIX(明かり取り)を採用。エアコン能力を最大限に活用できるよう配慮している。また、蓄電ハイブリッドシステムはPROハウスの裏側(短手面)に設置しているため、室内に出っ張りがなく、きっちり床面4坪を有効活用できる。


現場の要望に応じて、単棟使用のみならず、2連棟、3連棟という具合に連棟仕様にすることも可能だ。ただし、蓄電ユニットは独立仕様のため並列にはならない。ハウスごとに負荷管理が必要となる。


撮影したオフグリッドハウスは、4坪タイプを2連結している。エアコンは標準装備されている撮影したオフグリッドハウスは、4坪タイプを2連結している。エアコンは標準装備されている


オフグリッドハウスの要となるのが、電気を作り、溜める部分だ。PROハウスの屋根には、公称最大出力310Wの太陽光パネルを5枚設置。トータルで1.55kW発電できる。


太陽光パネルが発電した電気は、蓄電ユニットに充電される。メイン蓄電ユニットは蓄電池容量6.2kWh/出力2.0kWのPOWER iE6 HYBRIDで、太陽電池と蓄電池のパワーコンディショナーを一体化した「太陽光/蓄電ハイブリッドシステム」だ。パワーコンディショナーを一体化することで、太陽光で発電した電力を直流(DC)から交流(AC)に変換することなく、直接蓄電池に溜めることができるため、変換ロスを抑えられるのが特長である。サブ蓄電ユニットは蓄電池容量2.45kWh/出力1.0kWの可搬型で、いずれも安全・長寿命・高品質なエリーパワー社製だ。


この2つの蓄電池は並列にならず独立負荷だが、悪天等によりメイン蓄電ユニットが空になった場合は、サブ蓄電池ユニットの電力を予備として使用できる。このほか、電源切替盤を装備しているため、インバーター搭載の発電機を接続しての外部給電も可能である。


(左)屋根には公称最大出力310Wの太陽光パネルを5枚設置。(右)壁に埋め込まれているのが容量6.2kWhの蓄電池。その左に置いてあるのが、サブの独立した蓄電池(容量2.45kWh、出力1.0kW)(左)屋根には公称最大出力310Wの太陽光パネルを5枚設置。(右)壁に埋め込まれているのが容量6.2kWhの蓄電池。その左に置いてあるのが、サブの独立した蓄電池(容量2.45kWh、出力1.0kW)


オフグリッドハウスの稼働時間は、無日照で最大3日間の運転が可能だ。夏季日照時は、エアコンを常時使用することができる。メイン&サブ蓄電ユニットの役割分担は、以下を推奨している。

▶メイン蓄電ユニット:エアコン、冷蔵庫、LED照明、換気扇など
▶サブ蓄電ユニット:電子レンジ、電気ポット、ノートパソコン、携帯電話の充電など

ハウス内の出力は計3.0kWとなる。なお、発電量や使用状況はカラーモニターでタイムリーに確認できる。


(左)発電量や充電量はモニタリング可能。(右)万が一、蓄電池の電力を使い切った場合は、発電機を接続して対応できる(左)発電量や充電量はモニタリング可能。(右)万が一、蓄電池の電力を使い切った場合は、発電機を接続して対応できる




度重なる仕様変更を経て、ようやく完成

オフグリッドハウスは約1年半の開発期間を経て、2021年6月1日からレンタルを開始した。開発期間、特に後半の半年間は大規模な仕様変更の連続で多忙を極めたという。そのあたりの詳しいお話を、アクティオ産業機械事業部の川上修明次長とエスアールエス株式会社プロマックス事業部プロハウス営業推進室の帆足圭太室長にうかがった。



――どのような仕様変更が行われたのか、いくつかお聞かせください。


川上次長:そうですね。例えばメイン蓄電池ユニットは住宅にも使われており、屋外に設置しても問題ない性能を備えています。しかし、トランス(変圧器)は通常、室内に設置するのが基本。今回のオフグリッドハウスは、室内側に極力凹凸をなくし、4坪の空間を確保するのが設計理念です。そこでトランスだけでなく、電源切替盤、メイン蓄電池ユニットも含めた設備を室外に設置できるよう、風雨に耐え、防塵性にも優れたユニットパネルを新設しました。これは美観の向上も兼ねています。



――外側に出っ張りが増えると、運搬時の対応も考慮する点が増えますね。


帆足室長:ベースとなるPROハウス4坪タイプは、通常4tユニック車で運搬します。今回のオフグリッドハウスもそのつもりでした。短手面に張り出した新設のユニットパネルは問題ないのですが、重量が......。4tユニック車で吊り上げられる重量を超えてしまったため、増トン(4t)のユニック車か、8tなどの大型ユニック車が必要になります。大型ユニック車で運搬する場合は、現地に大型車が入れるかなど、確認事項が増えますね。


川上次長:運搬時の苦労話と言えば、太陽光パネルの取付高さの変更もありましたね。


帆足室長:そうそう。当初よりも太陽光パネルの取付高さを50mm下げました。これは道路運送車両法を遵守するためです。トラックの荷台にオフグリッドハウスを積載した際、高さが3.8mに収まるように、試作まで進んでいたアングルやステーを改良して調整しました。



――住宅用の蓄電池システムをユニットハウス用にアレンジするにあたって、ご苦労された点はありますか?


川上次長:オフグリッドハウスを設置後、電源を入れてシステムを起動させる際は、たとえメイン蓄電池ユニットが満充電の場合でも、太陽光パネルが発電していなければ起動しません。これは住宅業界では常識らしいのですが、弊社としては想定外でした。


帆足室長:この仕様では、日照がない天候時にはオフグリッドハウスの設置が行えないため、電気回路を改良し、サブ蓄電池ユニットの電力を利用することで解決しました。



――オフグリッドハウス完成後、輸送試験を行ったそうですね。


川上次長:オフグリッドハウスが輸送中に異常をきたさないか、東京~熊本間で輸送試験を行いました。往路は高速道路、復路は一般道を走行し、各部に問題がないことを確認しました。


お話をうかがったアクティオ産業機械事業部の川上修明次長(左)と、エスアールエス株式会社プロマックス事業部プロハウス営業推進室の帆足圭太室長お話をうかがったアクティオ産業機械事業部の川上修明次長(左)と、エスアールエス株式会社プロマックス事業部プロハウス営業推進室の帆足圭太室長


このようにオールジャパンで開発・製作したオフグリッドハウスは、夏季の熱中症対策用ハウスとしてのレンタルを想定しているが、騒音対策が必要な現場への設置、また商用電源の確保や発電機用の燃料配達が困難な僻地での使用も充分に考えられる。また、コロナ禍で事務所への入場人数を制限している現場もあると聞く。電気工事が不要で、設置するだけで室内電源がすべて使用可能なオフグリッドハウスの利用価値は、カーボンニュートラルなのは当然として、極めて高いのだ。




〈ご参考までに...〉

オフグリッドハウス(アクティオ公式サイト)

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