2020.12.28

国土交通省主催の講習会(九州)でアクティオがICT施工の講習を担当 2020年11月19日(木)・20日(金)の2日間、国土交通省九州地方整備局 九州技術事務所は、令和2年度「ICT活用」及び「遠隔操作」講習会を開催。ICT施工の講習をアクティオが担当した。

国土交通省主催の講習会(九州)でアクティオがICT施工の講習を担当

ICT施工、無人化施工の活用促進を目指して

国土交通省九州地方整備局 九州技術事務所では、災害現場における遠隔操縦式重機のオペレーター不足や技術力の維持などの課題に対応するため、「無人化施工訓練」を平成27年度より開催。また平成28年度からは平常時において、i-Constructionの普及による施工の効率化、生産性向上を目的として、ICT機械の操作体験を民間施工従事者に対して推進している。

こうした取り組みの中、平成29年に宮崎県で発生した自然災害では、九州技術事務所が所有する遠隔操縦式バックホーを現場に緊急配備。さらに無人化施工訓練の講習を受けたオペレーターを派遣した実績がある。

一方、建設業界における生産性の向上を目的としたDX(デジタルトランスフォーメーション)も大きな課題となっている。

そこで令和2年度は趣向を変え、中小規模工事でも活用可能な小型建機を使用した「ICT活用」及び「遠隔操作」講習会を開催した。

九州技術事務所は、1950(昭和25)年4月に久留米機械整備事務所として発足。1966(昭和41)年4月に九州技術事務所として発展的に生まれ変わった。現在は、社会資本整備や維持管理及び防災に資する新技術の活用、技術開発・調査、防災機能並びに人材育成に関わる業務を担っている九州技術事務所は、1950(昭和25)年4月に久留米機械整備事務所として発足。1966(昭和41)年4月に九州技術事務所として発展的に生まれ変わった。現在は、社会資本整備や維持管理及び防災に資する新技術の活用、技術開発・調査、防災機能並びに人材育成に関わる業務を担っている


九州技術事務所内の会場で、参加者は9:00~10:45の間は本館の会議室で「i-Constructionについて」「ICT施工について」「遠隔操作(無人化施工)の概要と安全管理」という3コマの講座を受講した。この内、「ICT施工について」の講師は、アクティオ道路機械営業部ICT施工推進課の山田圭織さんが務めた。

左:「ICT施工について」の講義を担当したICT施工推進課の山田圭織さん。右:同じカリキュラムの講習会が2日間にわたって開催され、参加者は両日合わせて40名ほど。九州全県から来場した左:「ICT施工について」の講義を担当したICT施工推進課の山田圭織さん。右:同じカリキュラムの講習会が2日間にわたって開催され、参加者は両日合わせて40名ほど。九州全県から来場した


10:55~16:15の間はグラウンドに出て、「バックホー遠隔操作(直接目視)」「バックホー遠隔操作(モニター方式)+シミュレーション体験」「ICT活用(MC/MGバックホー)」「ICT活用(ブレードマシンコントロール)」の4つの実技を体験。この内、「ICT活用(ブレードマシンコントロール)」のセクションはアクティオが担当した。

実技はグラウンドを4セクションに区切って行われた実技はグラウンドを4セクションに区切って行われた

アクティオが担当した実技講習は、ICT施工推進課の日南茂雄課長のもとで行われたアクティオが担当した実技講習は、ICT施工推進課の日南茂雄課長のもとで行われた


ICT建機で頻繁に使われる用語を整理

ここで、より理解を深めるために、ICT建機で頻繁に使われる用語を整理しておこう。まず重機の位置情報を取得する方法として、TS(トータル・ステーション)とGNSS(グローバル・ナビゲーション・サテライト・システム)とが挙げられる。

TS(トータル・ステーション)は本体のレンズ部分から目に見えない光波をTSターゲットに発し、反射して戻ってきた光波を電子的に解析して距離を測るシステム。TSターゲットを自動で追尾するため、リアルタイム測量が可能となり、さらにトンネルや高架下といった人工衛星が拾えない場所でも使用できる。

GNSSは人工衛星を使った測位システムで、GNSSのアンテナ本体だけでは位置情報の精度がさほど高くない。そこで人工衛星を観測可能な基地局と呼ばれる機械を現場に設置するRTK(リアル・タイム・キネマティック)、もしくは国土地理院が設置している電子基準点を利用するVRS(バーチャル・リファレンス・ステーション)方式を併用する。

次にMG(マシンガイダンス)/MC(マシンコントロール)を説明しよう。

MGは、TSやGNSSの測位システムを用いてICT建機の位置、さらに施工情報から3次元の設計データ(設計値)との差分を算出。これをオペレーターに知らせることで、ICT建機の操作をサポートする技術だ。

MCはMGの技術に加えて、3次元の設計データ(設計値)通りにICT建機の作業装置をリアルタイムに自動制御し、施工を行う技術となる。

アクティオが担当した実技講座で使用したICT建機は、ミニバックホーのブレード部分をTSマシンコントロールする新製品アクティオが担当した実技講座で使用したICT建機は、ミニバックホーのブレード部分をTSマシンコントロールする新製品


高精度なICT施工を体験

今回、アクティオが担当した実技講座では、TSマシンコントロール技術を搭載したICT建機を使用した。見た目はバックホーだが、上部旋回体のバックホーは制御していない。下部走行体に装着されているブレード(排土板)を自動制御している。ブレードはブルドーザと同様の動きとなり、チルトもアングルも可。この動きを3次元の設計データに合わせて自動制御するわけだ。勾配が変化する複雑な地形でも、丁張りなしで高精度な施工が可能。もちろん、施工スピードもアップする。

広大な現場ならICT建機による自動化は有効だが、果たして小型のICT建機にメリットはあるのか?といった疑問が湧く方もいらっしゃるだろう。しかし、この手の小型ブルドーザ(D2クラス)は歩道やコンビニ駐車場の敷き均し、野球場のピッチャーマウンド整備など、さまざまな現場での活躍が期待できるため、アクティオは開発に踏み切ったのだ。

左:ニコン・トリンブルのTSを使用。右:ブレードに取り付けられているのがTSターゲットで、TSが発した光波がここで反射してTSに戻り、電子的に解析して距離を測定する左:ニコン・トリンブルのTSを使用。右:ブレードに取り付けられているのがTSターゲットで、TSが発した光波がここで反射してTSに戻り、電子的に解析して距離を測定する

操縦席に設置されたコントロールボックス。事前に3次元の設計データ(設計値)を読み込むと、施工時には重機の位置、設計情報、測位情報などが表示される操縦席に設置されたコントロールボックス。事前に3次元の設計データ(設計値)を読み込むと、施工時には重機の位置、設計情報、測位情報などが表示される


さて、参加者はひとりずつミニバックホーに乗り込み、前進するだけでブレードが自動制御されるICT施工を体感。普段の仕事に直結する技術だけに、説明員を務めたICT施行推進課の山田圭織さんに熱心に質問をする参加者が数多く見受けられた。

搭乗体験する参加者と、操作のご説明を行うアクティオICT施工推進課スタッフ搭乗体験する参加者と、操作のご説明を行うアクティオICT施工推進課スタッフ


実技の最後には、出来高をチェック。3次元の設計データ(設計値)との誤差は数ミリという正確さに、参加者一同は大きな感触を得ていたようだ。

出来高チェックは施工面にプリズムを設置し、TSが発した光波をプリズムで反射させ、そのデータを多機能フィールドコントローラで読み込んで行う出来高チェックは施工面にプリズムを設置し、TSが発した光波をプリズムで反射させ、そのデータを多機能フィールドコントローラで読み込んで行う


ポストコロナに向けた現場環境の改善を鑑み、九州技術事務所では来年度以降も同様の講習会を開催予定とのこと。ICT施工や無人化施工の普及推進に大きく寄与することに期待したい。



▼国土交通省主催の講習会(九州)でアクティオがICT施工の講習を担当


※記事の情報は2020年12月28日時点のものです。



〈ご参考までに...〉

ブレード3Dマシンコントロール バックホー(アクティオ公式サイト)

ICT施工関連機器(アクティオ公式サイト)

事業分野紹介「i-Construction(ICT施工)」(アクティオ公式サイト)

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