2020.03.23

工事現場の排水制御を見える化 アクティオは、ディープウェル工法で24時間連続排水を行っている工事現場において、排水状況をパソコンやスマートフォンなどで遠隔監視することが可能なシステムを開発した。

工事現場の排水制御を見える化

作業の省力化を図りつつ、安全も確保

現場は海底トンネルの海と陸の接続部分。地上部分の掘削に際し「ディープウェル工法」が採用された。これは地盤に井戸を掘り、水中ポンプで強制排水して地下水位を低減させる工法だ。しかし場所柄、地中の塩分や鉄分の濃度が高いため、汲み上げた地下水をそのまま海に戻すのはNG。かといって下水への排水は上限があり、全量を下水処理することは不可能である。そこで施工エリアの外に井戸を掘り、水中ポンプで汲み上げた地下水を再び地中に戻す「リチャージ」という方法が計画された。

本来であれば排水を管理する作業員が常駐し、水中ポンプの管理を手作業で行う必要がある。しかし、今回の現場は施工エリアが広く、さらに井戸の本数もエリア内に10本、エリア外に7本と多いため、かなりの労力を要するのは必至。必要な作業員を確保するのも難しい...。こんな経緯からアクティオの技術部が行ったのが、ディープウェル工法の排水制御システムの「見える化」だ。

開発したシステムは、パソコンやタブレット、スマートフォンなどの端末を使用し、インターネット経由で水中ポンプを遠隔操作、遠隔監視できるというもの。水中ポンプの起動・停止、電磁バルブの開度調整といった操作や、水中ポンプの運転状況、流量、水位などをモニタリング。異常時には担当者に警報メールが配信されると同時に、現場内3か所に設置した回転灯と警報音声によって、異常がリアルタイムに検知でき、即座に対応することが可能だ。加えて現場が停電した場合の対策として、発電機自動運転盤により非常用発電機が稼働するシステムも組み込まれた。
PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラー)を使用し、流量計からのアナログ信号や起動盤・フロートスイッチからの各種接点信号を取り込み、流量の表示や警報の出力を行った。PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラー)を使用し、流量計からのアナログ信号や起動盤・フロートスイッチからの各種接点信号を取り込み、流量の表示や警報の出力を行った。

異常時の警報は担当者にメール送信すると同時に、現場内では回転灯を点灯させ、現場事務所内では音声で通知。異常な状態を確実に把握できるよう対策した。異常時の警報は担当者にメール送信すると同時に、現場内では回転灯を点灯させ、現場事務所内では音声で通知。異常な状態を確実に把握できるよう対策した。

停電時の対策として、発電機自動運転盤を設置。停電時の対策として、発電機自動運転盤を設置。



今後のレンサルティング業務にも活用

排水制御システムの開発を担当したのが技術部 企画計画課の若きホープ、小林賢甫。開発時に心がけたことを聞いた。

「最優先はシステムがトラブルなく稼働できることですが、今回はさらに、シンプルで容易に修正でき、間違いが発見しやすいよう開発しました。現場の仮設設備に付随するシステムでしたので、工事の進捗に合わせた仕様変更が必ず必要になると考えました。実際に簡単な修正を含めると、何度現場に足を運んだか分かりません。納期など時間的に厳しい点もありましたが、初めて経験する内容も多く、自分でも成長できたと思っています」

今回と似たようなシステムの導入相談はあるそうだが、現場ごとに仕様が異なるため右から左...というわけにはいかない。しかし、水中ポンプに限らず機械の制御、見える化などには応用できる技術なので、今後のレンサルティング業務に活かされるのは間違いない。

話を聞いたアクティオ 技術部 企画計画課 小林賢甫アクティオ 技術部 企画計画課 小林賢甫


※記事の情報は2020年3月23日時点のものです。


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