2019.07.04

タイ政府の視察団がアクティオを訪問 みちびき(準天頂衛星システム)の海外展開を内閣府は推進している。その一環として、タイ政府の視察団がアクティオを訪問。空中写真測量用GNSSマーカーを用いたUAV写真測量のセミナーを受けられた。

タイ政府の視察団がアクティオを訪問

日本版GPSの"みちびき"をタイでも利活用

もはや"GPS"という単語は、市民権を得た感がある。GPSはグローバル・ポジショニング・システムの略で、全地球測位システムと訳される。これは米軍の軍事技術のひとつで、地球周回軌道に配置された概ね30基の人工衛星が発信する電波を利用し、緯度・経度・高度などを割り出すことが可能になるわけだ。

実は人工衛星が発信する電波は暗号化されたものと被暗号化の2種類あり、前者は米軍しか利用できず、誤差は数センチから数十センチといわれている。民生用に利用できる後者は故意に精度が落とされているため、誤差は10メートル程度となり、有事の際は100メートルほどまで落とされたこともあった。

そんなGPSの日本版となるのが"みちびき(準天頂衛星システム)。通常の静止衛星は赤道上に位置するが、みちびきの準天頂衛星の軌道は地球を止めた状態で見ると、日本とオーストラリアの間で8の字を描くように動く。まさに日本、ひいてはアジアを中心とした軌道だ。また、みちびきはGPS衛星と互換性を持つため、GPS衛星と一体で利用することが可能。これらにより、数センチの誤差での運用が可能になる。
これら、グローバルな衛星測位システム先般をGNSS(global navigation satellite system)と呼んでいる。

みちびきの運用は当初、JAXAが行っていたが、2017年2月28日をもって内閣府に移管。内閣府はみちびきの利活用事例として、自動車の自動運転、海洋土木工事、IoT路面情報検知システム、交通安全分析サービスなどを挙げている。この他、海外展開に関しても積極的だ。日本とタイの両首脳は、タイにおいて高精度測位により精密な地図作成や洪水対策を含む幅広い分野で利活用が可能な、衛星測位技術を活用した電子基準点網の導入に協力することで同意(2015年2月9日)。さらに電子基準点網の整備に関する協力覚書(2017年6月7日)を交わしている。

これを受けて2018年4月24日に設立されたのが、日タイG空間推進協議会。この協議会は、GISTDA(タイ地理空間情報宇宙技術開発機構)のSKP (Space Krenovation Park)に開設されたGNSSイノベーションセンターを拠点として、みちびき(準天頂衛星)などを用いた日タイ企業によるGNSS測位サービスの開発実証及びビジネス化を推進。これにより、同国のG空間活用社会の発展に資するとともに、高精度位置情報を活用する測量機材、建設機材、 農業機材の普及や、位置情報サービス、地図情報サービスなど、タイにおける会員企業の活動を支援することを目的としている。2018年8月31日現在、会員企業は15社となっており、その一社としてアクティオが名を連ねているのだ。

日タイG空間推進協議会


これまでに日タイG空間推進協議会はi-Constructionセミナーやタイ科学技術博覧会の企画監修などを行ってきたが、より踏み込んだ活動として、タイ政府の視察団を日本に招聘。一行は2019年6月10、アクティオを訪れ、空中写真測量用GNSSマーカーを用いたUAV写真測量に関するセミナーを受けられた。当日は屋外でデモンストレーションを行う予定であったが、激しい雨に見舞われたため、座学のみに急遽変更。しかし、タイ政府視察団の眼差しは真剣そのもので、セミナー後には活発な意見交換が行われた。さらに次回は、アクティオがタイでデモンストレーションを行いたいと提案。タイにおける電子基準点網の本格整備、地理空間情報を活用した高度情報社会の発展に向け、アクティオのチャレンジはこれからも続く。


※記事の情報は2019年7月4日時点のものです。



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