実習・事例
2022.04.26
盛岡城跡の石垣修復工事でパワーアシストスーツが活躍 盛岡城跡の石垣が崩れるかもしれないという危機に直面している。問題となっているのは北西側の石垣の一部で、下段が外側にせり出しているのだ。修復するためには、石垣をいったん解体しなければならない。その工事を行う機材のひとつとして、アクティオがレンタルしたパワーアシストスーツ「HAL®腰タイプ作業支援用」が活躍している。
人力頼みの修復工事を支援
市民の憩いの場としても人気の盛岡城跡公園。約400年前に三戸南部氏第26代当主の南部信直により築城された盛岡城の跡だ。盛岡城は東北地方では珍しい壮大な石垣に囲まれた城として知られているが、その石垣がピンチなのである。北西側に位置する三ノ丸石垣の一部が、地震や経年変化などの影響により外側にせり出してしまい、安全性に問題が生じているのだ。
そこで盛岡市は修復工事を行うことにした。当初は2022年度までの完成を目指し、2018年度から修復工事の競争入札を開始したが、幾度となく不成立に......。全国各地で災害が相次ぎ、石垣の修復工事を担える高い技術力を持つ作業員が不足しているのが、主な要因だ。当初の計画より3年遅れたが、2021年10月1日、ついに着工。幅34m、高さ8mの石垣の修復工事がスタートした。
石垣の修復工事には繊細な作業が求められるため、かなりの部分を人力で行う必要がある。今回取材にうかがった際は、石垣の内側に積まれた石を、一つひとつ人力で除去していた。石の重さは数kg程度なので、さほど重くはないが、それを中腰の姿勢で一日中、持ち上げたり置いたりするのだから、かなりこたえる作業なのは想像できる。そこで作業員の負担を少しでも軽減するため、アクティオが鹿島建設株式会社東北支店の盛岡城跡石垣修復工事事務所にレンタルしたアイテムのひとつが「HAL®腰タイプ作業支援用」だ。
腰部の負担を低減するパワーアシストスーツ
HAL®腰タイプ作業支援用は、重量物を持ったときに腰部にかかる負荷を低減することで、腰痛を引き起こすリスクを減らすパワーアシストスーツである。主に物流や農作業、介護支援の分野などで研究及び実用化が進められているパワーアシストスーツだが、ここ最近、労働環境改善や労働災害防止の観点から建設現場での活用も期待されている。現に国土交通省では、i-Constructionが目指す生産性向上、働き方改革並びに多様な主体による持続可能な建設業の実現に向けて、建設現場へのパワーアシストスーツの円滑な導入に向けた検討を進めているのだ。
HAL®腰タイプ作業支援用は、装着した作業員の生体電位信号を読み取ることで、作業員の意思に従った動作をアシスト。5段階のアシスト量を選択でき、盛岡城跡石垣修復工事の作業員はもっともアシスト力が強い段階で作業していた。HAL®腰タイプ作業支援用を装着すると、感覚的には通常の半分くらいの力で作業できるため、大幅に負担が軽減されるのだ。工事はあと数年続くため、腕のいい作業員の健康を維持するためにも、HAL®腰タイプ作業支援用は必須アイテムなのである。
解体された石垣の一部は、盛岡城跡公園の一角に整然と並べられていた。すべてナンバリングされており、元の位置に正確に積み上げられる日を静かに待っている。冬の間は修復工事の作業が中断されるため、解体作業は2022年12月までかかる予定だ。その後、2年かけて元の位置に積み直す予定だという。元通りに積み上げられた石垣が再び姿を現す日は、もう少し先になりそうだ。
▼盛岡城跡の石垣修復工事でパワーアシストスーツが活躍
※記事の情報は2022年4月26日時点のものです。
〈ご参考までに...〉
● 上向き作業用腕部補助型アシストスーツ(アクティオ公式サイト)