2021.07.13

スポッと被せて粉塵抑制「すぽっとQ」 床や壁のコンクリートを剥がす際に舞い上がるのが、粉塵。健康被害をもたらすため、無視できない存在だ。作業員は呼吸用保護具を装着するため多量に吸い込む心配はないが、周囲に浮遊した粉塵は? そのまま放置? そんなときこそ「すぽっとQ」の出番だ。

スポッと被せて粉塵抑制「すぽっとQ」

商品名はユニークだが、効果は絶大

斫り(はつり)。普段、一般の方はあまり見聞きしない単語ではないだろうか。本来、「斫」の音読みは「シャク」、訓読みは「き」だ。そのつくりから想像できるように、「斧で断ち切る」という意味がある。不可能なことのたとえとして「斫水(シャクスイ)」という熟語もあるが、いずれにせよなじみの薄い単語である。


ところが、建設業界では「斫り」にピンと来る方が多いと思う。コンクリートで作られた壁や床などの構造物を壊したり、形を整えるために表面を鑿(のみ)で削ったりすることを、斫り作業と呼ぶのだ。人力で行える規模の作業を指すことが多く、重機によって建造物そのものを壊す行為は解体工事となる。


そんな斫り作業には、粉塵が付き物。労働者が多量の粉塵を長時間吸い込むような環境では、くしゃみや咳ぐらいでは体内から十分に排出・処理することができない。肺の中に滞留した粉塵が、肺胞やその周囲に繊維組織を増やすことで呼吸機能が低下する「じん肺」、発がん性粉塵による「肺腫瘍(がん)」、粉塵に対するアレルギー反応である「喘息」などが発生する。1980(昭和55)年当時、国の調べでは、じん肺新規有所見労働者が6,842人にも達した。この状況は看過できないため、1981(昭和56)年に「粉じん障害防止規則」が全面施行され、2016(平成28)年にはじん肺新規有所見労働者が122人まで減少。しかし、依然としてじん肺新規有所見労働者が発生しているため、現在も第9次粉じん障害防止総合対策が推進されている。


当然、事業者は斫り作業に従事する労働者に対し、呼吸用保護具の使用の徹底と、適正な使用の推進を図らねばならない。さらに万全を期すなら、粉塵の飛散も防止すべきだ。


そこで注目したいのが「すぽっとQ」。アクティオが株式会社 竹中工務店、朝日機材株式会社、アキレス株式会社と共同開発したこの商品名には、スポッと被せる「すぽっと」と、英語で場所を意味する「spot」の2つが込められている。組み立ては簡単。コンプレッサー(付属品)で空気を送り込むと自立するエアフレーム型なので、3分もあれば設置OKだ。

本体の差込口にコンプレッサー(右の写真)を取り付けて空気を送り込むと、エアフレームが柱や梁となって自立する。2人で作業すれば、組み立て3分以内、解体5分という早業が可能だ本体の差込口にコンプレッサー(右の写真)を取り付けて空気を送り込むと、エアフレームが柱や梁となって自立する。2人で作業すれば、組み立て3分以内、解体5分という早業が可能だ


設置後に集塵機をセットすれば、斫り作業時に発生する粉塵を、グイグイ吸い込んでくれる。ちなみに、この状態だと「すぽっとQ」の内部は陰圧になるため、粉塵が外に漏れることはない。壁面の斫り作業を行う際は、ファスナーを開けて横幕をまくればよい。シートはシースルーなので、内部の様子を外からでも確認できるので安心だ。テント内での作業になるため、季節によっては熱中症が心配だが、スポットクーラーを併用できるため心配無用である。

(左)吸い出された粉塵は、集塵機後方にセットされた粉塵袋に溜まる。(右)必要に応じてスポットクーラーの併用も可能。これなら熱中症対策も万全だ(左)吸い出された粉塵は、集塵機後方にセットされた粉塵袋に溜まる。(右)必要に応じてスポットクーラーの併用も可能。これなら熱中症対策も万全だ


「すぽっとQ」の外寸は、幅2,086mm×奥行2,454mm×高さ2,352mm。テントの生地は帯電防止シートのため、静電気による粉塵の付着を軽減でき、テントをたたむ際に周囲に粉塵が舞いにくいので安心だ。
テント内で立ったまま作業でき、必要に応じて連結も可能なので、「すぽっとQ」はさまざまな現場での活躍が期待される。



▼すぽっとQ


※記事の情報は2021年7月13日時点のものです。



〈ご参考までに...〉

簡易養生テント(すぽっとQ)(アクティオ公式サイト)

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