2023.09.08

ダム工事の心臓部で稼働するアクティオの機械──東成瀬出張所〈支店探訪:東北支店 7 〉 山奥に突如現れるアクティオの営業所。なぜこんな所に......と思ったことはないだろうか? そのような営業所は、近くにある大規模現場に対応するために設置された場合がほとんどである。秋田県にある東成瀬出張所もそのひとつだ。

ダム工事の心臓部で稼働するアクティオの機械──東成瀬出張所〈支店探訪:東北支店 7 〉

大型発電機40台が発電所として稼動

秋田県の東南端、栗駒国定公園を擁する奥羽山脈の麓に位置する東成瀬村。ここに造られているのが成瀬ダムである。建設事業に着手したのは1997年のこと。国道の付け替え工事、仮排水トンネル工事などを経て、ダム本体工事の着工が2018年、ダム堤体打設工事が2019年にスタートしており、2026年の完成を目指している。


成瀬ダムは、CSG(Cemented Sand and Gravel)工法によって建設されている。現地で採取した石や砂れきをセメントや水と混ぜ、それを台形に固めて構築する最新のダム型式だ。工区は2つに分かれており、原石山工区を大成・佐藤・岩田地崎JVが、堤体打設工区を鹿島・前田・竹中土木JVが担当している。


そうした成瀬ダムの建設工事に合わせて開所されたのが、アクティオの東成瀬出張所だ。山崎順所長に話を聞いた。


山崎「ここができたのは4年前、2019年です。ダム堤体打設工事に合わせてオープンしました。さまざまな商品をレンタルしていますが、メインは大型発電機です。400~800kVAの大型発電機が合計40台、工区の各所に配置されて"発電所"として稼働しています」


ダム工事には大量の電力を必要とするが、商用電源などない。そこで何十台もの大型発電機が投入され、発電所として稼働するわけだ。原石山工区では400 kVAの大型発電機が27台、堤体打設工区では800 kVAが13台活躍している。


大型発電機大型発電機は、原石山工区を担当する大成・佐藤・岩田地崎JV用に400 kVA(左)が合計27台、堤体打設工区の鹿島・前田・竹中土木JV用に800 kVA(右)が合計13台、ダム工事現場の数カ所の基地に分かれて設置されており、電力を供給する"発電所"として重要な役割を担っている


それらの保守点検を行っているのが、東成瀬出張所の業務*担当、林秀典だ。


* 業務:機械の整備・修理や安全管理等を行う職種。


「現場にはほぼ毎日行きます。大型発電機のエンジンオイル交換やエアクリーナー清掃だけでも、全部やるのに2人で3日はかかりますね。できるだけ効率よく作業するために、例えばオイルフィルターを外す工具を独自の工夫で改良して、より速く、より確実に作業できるようにしています」


東成瀬出張所の山崎順所長(左)と業務担当の林秀典(右)東成瀬出張所の山崎順所長(左)と業務担当の林秀典(右)


ほかにはどんな点検作業を行っているのだろうか?


「大型発電機から異音はないか、エンジンオイルがにじんでいないか、排気ガスが汚れていないか、変な臭いはしないか、燃料配管に亀裂、漏れはないか......。とにかくあらゆる経験と感覚を駆使して、異変のないことを確認します」


山崎「発生主義は絶対に許されません。何か起きたら対処するのではなく、何も起きないように対処する。それが我々アクティオの基本です。預かっているのは"発電所"なので、電気が供給できなかったら現場は止まってしまいます。これまでも何度も、不具合を未然に防いできました。例えば、厳しい環境で劣化した配管のわずかな異変に気づいて、未然に交換したケースなどですね」


不具合の未然防止には最新技術も採用され、林たち現場の作業者をサポートする。成瀬ダム工事現場でレンタルを展開している発電機には、アクティオ独自のIoTデバイスが取り付けられ、燃料残量、稼働時間、電流・電圧・周波数、位置情報、各種アラートなどを、JV事務所から遠隔で常時監視することが可能になっている。


東成瀬出張所のヤード東成瀬出張所のヤード。ここは前線基地のため、大掛かりな整備は近隣の工場で行う




豪雪期も続く保守点検。お客様の言葉を支えに

時には3~4mもの積雪に見舞われる豪雪地帯の東成瀬村。ダム工事現場はさらに雪深い山奥のため、冬期は作業規模が縮小される。とはいえ、現場に出向いての保守管理は続けられる。


「原石山工区は作業中断となるため大型発電機を引き揚げ、しっかりメンテナンスする時間をつくれます。しかし、堤体打設工区は堤体の内部などで冬期も工事が続いているため、そちらは大型発電機が稼働しっぱなしになります。現場の発電機は並列接続されており、負荷に応じて稼働する発電機が増えていくよう制御されているので、交代で休ませることも可能です。とはいえ雨・風・雪・埃など過酷な状況下で稼働するため、きっちり保守管理してロングライフ性能を高める努力は怠れません」


東成瀬営業所は、発電機だけでなく、レンタカーや投光車など多様なレンタル品をダム工事向けに展開している。そのいずれも過酷な環境で使用されるため、整備は通常よりも大幅に手間がかかる。


このような全てにおいて厳しい現場で、心の支えになるのは、日ごろお客様に掛けていただく言葉だと、林は話す。


「ダムの現場は、国家的な事業のために、全国から建設会社の方々が集まって仕事をされています。いきおい我々に対する要求も厳しいものになります。そのような中で、『素早く対応してくれて助かった』『適確に動いてくれてありがとう』などのお言葉を掛けていただくと、やはりこの仕事をやっていてよかったなと思います」


ダム堤体打設工事は今がまさに最盛期。ここから数年後のダム稼働の日まで、アクティオ東成瀬出張所の奮闘が続いていく。


※記事の情報は2023年9月8日時点のものです。


※2024年1月の組織改編に伴い「支店」は「支社」に改編されています。


〈支店探訪:東北支店 8 〉へ続く



〈ご参考までに...〉

ダム工事関連商品(アクティオ公式サイト)

大型発電機 100~400kVA(アクティオ公式サイト)

超大型発電機 550kVA以上(アクティオ公式サイト)

投光車(アクティオ公式サイト)

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