2021.08.20

「土木施工管理技士」学科試験問題を解いて仕事力アップ!【第5回:土質調査】 今回は、構造物を安全に効率良く施工するために必要な地盤の情報を調べる「土質調査」を取り上げ、さまざまな試験方法に関する理解を問います。(問題選定と解説/井上國博=住環境再生研究所所長)

「土木施工管理技士」学科試験問題を解いて仕事力アップ!【第5回:土質調査】

問題

土質調査に関する次の試験方法のうち、原位置試験はどれか。

  1. 突固めによる土の締固め試験
  2. 土の含水比試験
  3. スウェーデン式サウンディング試験
  4. 土粒子の密度試験


(平成30年度 2級土木施工管理技士学科試験 後期・№1より)




解説:土質調査に関する試験方法

「土質調査」では、構造物を安全に効率良く施工するために必要な地盤の情報を調べます。調査の目的などに応じてさまざまな試験方法が用いられます。ここでは、各方法の特徴を説明します。


(1)突固めによる土の締固め試験

最大乾燥密度および最適含水比を求める試験です。含水比を変化させた土を締め固めて得られる乾燥密度を表にしたのが締固め曲線で、含水比によって締固め密度が異なります。



(2)土の含水比試験

土に含まれる水分の土粒子に対する質量比を測定する試験です。土は、土粒子(固体)、水(液体)、空気(気体)により構成され、土の含水率は土粒子の質量に対する土中の水の質量比です。



(3)スウェーデン式サウンディング試験

原位置における土の硬軟、締まり具合、土層の構成を把握するために行う試験です。比較的やわらかい地盤に適し、調査可能深度は15m程度です。



(4)土粒子の密度試験

土粒子の単位体積(1㎤)当たりの質量を測定する試験です。土は、土粒子(固体)、水(液体)、空気(気体)により構成され、土粒子の密度は、土粒子部分の単位体積質量です。

今回の設問の答え:3

(3)のスウェーデン式サウンディング試験が原位置試験に相当します。
土の性質を知る土質調査・試験には、現地で行う原位置試験と、採取した土を試験室に持ち帰って行う室内土質試験の2種類があります。
(1)突固めによる土の締固め試験と(2)土の含水比試験、(4)土粒子の密度試験は室内土質試験となるため、原位置試験には相当しません。
原位置試験は地盤特性を把握するために、原位置の地表または地中(ボーリング孔内)で直接行います。現地で地盤を調べるため、より正確な物性値を得ることができます。



<補足>

スウェーデン式サウンディング試験の概略図

スウェーデン式サウンディング試験の概略図


※記事の情報は2021年8月20日時点のものです。

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