2021.05.25

「土木施工管理技士」学科試験問題を解いて仕事力アップ!【第1回:施工管理】 土木施工管理技術検定学科試験から、項目ごとに、2級と1級の問題を1問ずつ取り上げて、解説します。既に資格を取得されている方は復習に、これから試験を受ける方には勉強の補強として、ご活用ください。今回は「工程管理」の項目からの出題です。(問題選定と解説/井上國博=住環境再生研究所所長)

「土木施工管理技士」学科試験問題を解いて仕事力アップ!【第1回:施工管理】

設問

●問題1(初級編)

下記の説明文に該当する工程表は、次のうちどれか。
「縦軸に部分工事をとり、横軸にその工事に必要な日数を棒線で記入した図表で、作成が簡単で各工事の工期がわかりやすいので、総合工程表として一般に使用される。」

  1. 曲線式工程表(グラフ式工程表)
  2. 曲線式工程表(出来高累計曲線)
  3. 横線式工程表(ガントチャート)
  4. 横線式工程表(バーチャート)


(平成28年度 2級土木施工管理技術検定学科試験 No.50より)


●問題2(上級編)

工程管理に使われる工程表の種類と特徴に関する次の記述のうち、適当でないものはどれか。

  1. ガントチャートは、横軸に各作業の進捗度、縦軸に工種や作業名をとり、作業完了時が100%となるように表されており、各作業ごとの開始から終了までの所要日数が明確である。
  2. 斜線式工程表は、トンネル工事のように工事区間が線上に長く、しかも工事の進行方向が一定の方向にしか進捗できない工事に用いられる。
  3. ネットワーク式工程表は、コンピューターを用いたシステム的処理により、必要諸資源の最も経済的な利用計画の立案などを行うことができる。
  4. グラフ式工程表は、横軸に工期を、縦軸に各作業の出来高比率を表示したもので、予定と実績との差を直視的に比較するのに便利である。


(令和2年度 1級土木施工管理技術検定学科試験 問題B(必須問題) No.11より)




解説:工程表について

工程表とは、各工事の施工順序を時系列的に示す図表のことです。管理区分で工事全体を示す「総合工程表」、対象期間を月単位にした「月間工程表」、週単位にした「週間工程表」などに分かれます。
工程表を作ることで、工事の各工程を視覚的に確認できるようになり、施工管理の担当者は、人員配置や作業時間、進捗状況などを把握しやすくなります。作業効率の向上にも欠かせません。
いくつか種類がある工程表の中から使用目的によって、使い分けます。組み合わせて工事の進捗を管理していきます。では、下記に各工程表の特徴を説明していきます。


●工程表の種類と特徴

図1「曲線式工程表(グラフ式工程表)」

図1「曲線式工程表(グラフ式工程表)」
工期を横軸に、施工量の集計または完成率(出来高)を縦軸にとり、工事の進行をグラフ化して表します。作業が順序良く進む工事には適していますが、作業間の関連については不明です。



図2「斜線式工程表」

図2「斜線式工程表」
縦軸に工期を。横軸に距離をとり、作業ごとに1本の斜線で、作業期間、作業方向、作業速度を表します。トンネル、道路、地下鉄工事のような線的な工事に適しており、作業進度が一目で分かりますが、作業間の関連は不明です。



図3「曲線式工程表(出来高累計曲線)」

図3「曲線式工程表(出来高累計曲線)」
縦軸に工事全体の累計出来高(%)、横軸に工期(%)を取り、出来高を曲線にしたもの。工事全体の進捗状況を把握するのに便利です。



図4「工程管理曲線工程表(バナナ曲線)」

図4「工程管理曲線工程表(バナナ曲線)」
工程曲線について、許容範囲として上方許容限界曲線と下方許容限界曲線を示したものです。実施工程曲線が上限を超えると、工程に無理やムダが発生していることを示します。下限を超えると、突貫工事を含めて工程を見直す必要があります。



図5「横線式工程表(ガントチャート)」

図5「横線式工程表(ガントチャート)」
縦軸に工手(工事名、作業名)、横軸に作業の達成度を%で表示します。各作業の必要日数が分からないため、工期に影響する作業は不明です。



図6「横線式工程表(バーチャート)」

図6「横線式工程表(バーチャート)」
縦軸に工種(工事名・作業名)、横軸に作業の達成度をバーで表示します。作成が簡単で、各工事の工期が分かりやすいので、「総合工程表」として一般的に使われます。ただし、工期に影響する作業は不明です。



図7「ネットワーク式工程表」

図7「ネットワーク式工程表」
各作業の開始点と終点を矢印(→)で結び、矢印の上に作業名、下に作業日数を書き入れて連続的にネットワークとして表示したものです。コンピューターを用いたシステム処理により、必要な諸資源について最も経済的な利用計画などを立案できます。




今回の設問の答え

問題1(初級編):4
説明文は総合工程表として使われる 4.「横線式工程表(バーチャート)」(図6参照)についての説明です。ということで答えは4です。


問題2(上級編):1
選択肢の「横線式工程表(ガントチャート)」(図5参照)は、縦軸に工種(工事名、作業名)、横軸に作業の達成度を%で表示します。各作業の必要日数はガントチャートでは分からず、工期に影響する作業は不明です。ということで答えは1です。


※記事の情報は2021年5月25日時点のものです。

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