2023.01.25

「管工事施工管理」技術検定試験問題を解いて仕事力アップ! 【第1回:環境工学】 管工事施工管理技術検定学科試験から、毎回1問ずつ取り上げて解説します。既に資格を取得されている方は復習として、これから試験を受ける方は勉強の補強として、チャレンジしていただければ幸いです。今回は結露についての理解を問います。(問題選定と解説/井上國博=住環境再生研究所所長)

「管工事施工管理」技術検定試験問題を解いて仕事力アップ! 【第1回:環境工学】

問題

冬季における外壁の結露に関する記述のうち、適当でないものはどれか。

  1. 室内の空気の流動が少なくなると、壁面の表面温度が低下して、結露を生じやすい。
  2. 外壁に断熱材を用いると、熱通過率が小さくなり結露を生じにくい。
  3. 多層壁の構造体の内部における各点の水蒸気分圧を、その点における飽和水蒸気圧より低くすることにより、結露を防止することができる。
  4. 暖房をしている室内では、一般的に、天井付近に比べて床付近の方が結露を生じにくい。


(令和4年度 1級管工事施工管理技術検定第一次検定 試験問題より)




解説:結露を抑えるには

室内の空気が、壁面や窓ガラスに触れて冷却されることが原因で、空気中の水蒸気が凝縮し露(つゆ)となって現れる現象を結露といいます。結露を抑えるには、この室内と室外の温度差を小さくすればよいのです。

結露


(1)空気の流動による壁面の温度変化

室内の空気の流動が少なくなると、壁面の表面温度が低下して、結露を生じやすいので、室内の暖かい空気を循環させることで、壁面との表面温度差は小さくなり、結露しにくくなります。


(2)熱通過率の調整

外壁に断熱を施すと、熱通過率が小さく(熱貫流抵抗が大きく)なります。壁体の熱を通しにくくなり、結露を生じにくくなります。


(3)水蒸気分圧

飽和水蒸気圧*1と露点温度*2は比例関係にあるので、多層構造の構造体の内部における各点の水蒸気分圧(水蒸気圧)*3を低くすることにより、結露を防止することができます。


(4)同じ室内での温度差

暖房をしている室内は、一般に、天井付近の温度が高く、床付近の温度が低くなる傾向にあり、床付近の温度の方が露点温度に近づくため結露を生じやすくなります。


*1 飽和水蒸気圧:空気が含むことができる水蒸気には限度があり、その限度(飽和状態)の湿り空気の全圧のうち、水蒸気が占める圧力のことを飽和水蒸気圧という。飽和水蒸気圧は温度によって決まり、温度が高いほど高くなる。
*2 露点温度:水蒸気圧を一定にして温度を下げたとき、相対湿度が100%となる温度。空気中の水蒸気が凝結して露を結ぶ温度。
*3 水蒸気分圧(水蒸気圧):気圧のうち、水蒸気による圧力をいう。

今回の設問の答え:4

暖房をしている室内では、一般的に天井付近の方が床付近より温度が高く、床付近の方が露点温度に近づくため、結露を生じやすくなります。


※記事の情報は2023年1月25日時点のものです。

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