2019.04.02

BIM/CIMって何だ?【後編】アクティオの取り組み 建設業を根本から変えるとされるBIM。この新時代の建設プロセスで何ができるのか? 建設業界をどんな風景に変えていくのだろうか? 後編ではアクティオならではのBIMへの取り組みを紹介。

BIM/CIMって何だ?【後編】アクティオの取り組み

アクティオ八街工場でBIMの実証実験

アクティオIoT事業推進部 森善啓編集部:アクティオ八街工場の建設にあたって、BIMの試験的な運用をされたそうですね?

森善啓(アクティオIoT事業推進部):はい、千葉県八街市に、アクティオの新工場を建設することになりまして、その現場でBIMに関する実証実験を何かできないかということで、始まりました。今回は、工事の進捗管理をBIMで行うための基礎的なノウハウを手に入れようということで、工事の進捗管理に3Dモデルを使ってみることにしたんです。具体的には、定期的にドローンを飛ばして、上空から写真を数百枚撮って、3Dモデルにしながら工事の進捗を確認していきました。週に2回とか3回とか行いながらその都度、関係者で情報共有するということをやっていました。

アクティオ八街工場の施工途上の3Dモデル。ドローンによる3次元測量データから作成アクティオ八街工場の施工途上の3Dモデル。ドローンによる3次元測量データから作成


森:今回、施工の現状を3Dモデルにしていったのですが、これだけでも工事進捗の確認、管理がかなり容易になりましたね。また、ドローンでどのように写真を撮るか、枚数はどうするか、間隔をどうするか、など、精度を高めるための実験をして、最適値を求めていきました。最初は間隔が遠いなど、あまり精度は良くなかったんですが、最終的には、かなり良い精度で3Dモデル化できたと思います。BIMを使って進捗管理をするための基礎になる技術が一つ得られ、手応えは十分ありました。今回作成したような3次元の施工進捗のデータと、マスターのBIMモデルを比較しながら進めることで、計画と現実との差異がよくわかるようになります。こういうモデルで渡されるとオーナーさんにもわかりやすいですよね。



重機レンタルの視点からBIMを考える

アクティオ新規事業開発部 辻尾晃一アクティオ新規事業開発部 辻尾晃一


編集部:
今、ゼネコンさんや、コンサル会社さん、ソフトウェア会社さん、ネットワーク会社さんなど、様々な立ち位置からBIMに関わる企業がありますが、レンサルティングのアクティオならでは切り口、というとどんなものがあるのでしょう?

辻尾晃一(アクティオ新規事業開発部):そうですね、BIMモデルを使うと、いつ、どの工程でどういった機械が何台必要かをあらかじめ知ることができます。BIMモデルが建っていく行程を追いながら、この段階でこの機械が必要ということがわかるわけです。施工が始まる2年前ぐらい前からもう、いつ何が必要かわかるので、その時点で機械を確保しておくとか、必要な改造を予定しておくとか、先々を見越したいろんな提案、コンサルができることになります。今までは、施工の段階になってから様々なご提案、レンサルティングをご提供することが多かったわけですが、BIMのプロセスの中でなら、設計段階からコンサルを始められるという世界になっていくのではないかと思います。

編集部:なるほど、設計の段階からすでに現場に対するコンサルが始まっている、というイメージですね。

辻尾:あと、各現場で取ったデータ、例えば軽油の消費量ですとか、様々な土量のデータを蓄積して、他の現場でも利用できるビッグデータとして蓄積していくことはできないか、ということも考えています。現場からいろんなデータを集めて、職人の勘みたいなものをデータとして蓄積していくことで何か画期的なことができるのではないかと思っているところです。いわば、職人の勘を膨大なデータから導き出すというイメージです。例えば、こんな気候だとコンクリートは、どれぐらいかたまりやすいかなど、ですね。今、センサーを駆使して、いろんなデータを取って解析しています。その中で何が使えるデータかは、まだわからないんですが。

勝目高行(ペーパレススタジオジャパン):計画段階でBIMを使って、その後の施工の場面で実データを集めていく、と。すると、計画と現実の差異が解析できます。すると次にまた計画するときに精度が上がるというスパイラルを作れるわけですね。




i-BIM+提供開始

国内最大級のBIMコンサルティング実績を持つペーパレススタジオジャパン、 最高レベルの安全性を備えたクラウドサービスを提供するアイネット、建設機械レンタルのアクティオの3社が協業し、それぞれの強みを活かしたサービスを提供。国内最大級のBIMコンサルティング実績を持つペーパレススタジオジャパン、 最高レベルの安全性を備えたクラウドサービスを提供するアイネット、建設機械レンタルのアクティオの3社が協業し、それぞれの強みを活かしたサービスを提供。


編集部:アクティオから提供が開始されている、BIM/CIM導入支援サービス「i-BIM+」ですが、このサービスの背景についてお話を伺えますか。

辻尾:はい、ひとことで言えば、BIM/CIMの導入から運用まで一括でサポートするサービスです。BIMでの施工例のアンケートを見てみると、現状、BIMに取り組み始めたものの、そもそもBIMを使える人が少ないといった声が多いんです。あと、ワークステーション、サーバなど、BIMを使うための初期投資の問題もあります。1社ですべてやろうと思ったらかなり大きな投資が必要になってしまうので、BIMの導入は結構ハードルが高いと思います。今回、我々は、そのハードルを越えていただくため、BIMの基盤サービスの提供を行っていきます。その中のメニューには、人材教育支援もありますし、ワークステーション、クラウドのご提供、各種ハードウェアの環境、現場で使う機材、と総合的にご提供します。これらを、一気通貫に、しかも月額課金のレンタルでご提供していきます。

勝目:実は、BIM/CIMで、実際に利益が出るのは、BIMのデータを現場に結びつけたところなんですよ。特に設計段階をちゃんとやっていないと本当のメリットは出てきません。だいたい、設計段階で従来の2倍の労力がかかると考えていいと思います。これをがんばってやって、しっかり現場につないでいくと、現場で5倍の利益が出る、ということなんです。今は、まだここがしっかりしていないので、BIMの設計段階で苦労はするものの、データが現場にうまくつながっていかないので、あまり利益が出ていないケースも多いですね。例えば、BIMの場合、設計段階ですでに施工技術を導入しないと設計が完成しないんです。つまり、設計段階に現場の人も関わってこないとできないんです。ここが、縦割りの日本の組織だとうまく機能しない場合が多い。部署や会社をまたいだ情報共有がなかなかできないんです。

編集部:そこを打破しよう、ということですか。

勝目:はい、そこで必要だと思ったのは、第3者の存在です。設計施工の組織の外側で、データを預かり、管理し、適切な現場にしっかりつなげてあげる第3者の存在が必要なんだと思います。ですので、今回、i-BIM+では、3社協業で、BIMの川上から川下までしっかりつなげて、しっかりメリットが生まれるようにしていきたいと考えています。先ほども言いましたが、日本では、建設プロセスの各フェーズをデータがまたげない仕組みなってしまっています。BIMを使うことの苦労とメリットがなかなか釣り合わないんです。そこを我々が、第3者として、データを預かって、設計から現場までデータを連係させてあげたいわけです。


辻尾:それと、BIM/CIMの作業スタイルを見ていくと、数あるメリットのうち、まだ部分的にしか効果が得られていないことが多いと思います。現場レベルのBIMによる変革のお手伝いにも力を入れていきたいですね。例えば、墨出しのご支援ですとか、進捗管理のお手伝いなどです。

森:BIMが普及することによって、現場は確実に時短になるでしょう。今、働き方改革が言われる中、現場の人も楽になるし、いいことずくめだと思います。どんどん普及してほしいですね。そのことで、現場のビッグデータがどんどん集まりますし、それらを元に、今後いろんなサービスの可能性が広がりそうで、楽しみです。

勝目:将来的には、BIMモデルのデータは、ビルメンテナンスにもつなげることができるし、今アクティオが推進している自治体との災害連携ともつなげることが可能です。災害対策といった面でもBIMの可能性があるんです。

→i-BIM+について詳しくはこちら(ニュースリリース・PDF)
→i-BIM+お問い合わせはこちら




建物を印刷する世界

可能性に満ちたBIMのお話におなかいっぱいになりながら、インタビューを終え、雑談の最中、こんなお話も飛び出した。

勝目:最近では、BIMモデルを元に、特殊なコンクリートを3Dプリンターで印刷して、建物を作る技術もあります。これは、もう、ドバイで実用化されていますよ。将来、ナノ素材が進化すると、プリントアウトしたものが鉄と同じ強度を持てるようになります。将来の建築物はすべてプリントになってしまうかもしれませんよ。

なんと、BIMの先に広がるのは、建物を「印刷」してしまう世界......。勉強不足で知らなかったのだが、実際調べてみると確かにドバイに、3Dプリンターで印刷された建物が建っていた。

→ドバイで3Dプリンターだけで建設されたビルが完成(ライフハッカー日本版)

BIMの普及によって、土木、建築の世界は大きく風景が変わるのは間違いない。3DのBIMモデルを関係者全員で共有しながら、設計から施工、そして完成後のメンテナンスや防災計画までをも進めていく。そればかりか、建築の方法論そのものが従来とまるで違ったものになる可能性も秘めているようだ。BIMのその先には、単に作業の効率化にとどまらない世界が大きく広がっている。

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