2020.07.21

病院の陰圧室同等の機能を持つ「仮設陰圧ハウス」開発秘話 アクティオ初の医療関連商品として、病院の陰圧室同等の機能を持つ「仮設陰圧ハウス」。まだまだ予断を許さない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から医療従事者を守り、院内感染をも未然に防ぐ仮設陰圧ハウスは、いかにして開発されたのか。キーマンに聞いた。

病院の陰圧室同等の機能を持つ「仮設陰圧ハウス」開発秘話

社会貢献性が高い商品だからこそ、スピーディーな対応を

アクティオが病院の陰圧室同等の機能を持つ「仮設陰圧ハウス」のレンタルを開始したのは4月下旬のこと。日本全国に非常事態宣言が発出されており、「3密」「ソーシャルディスタンス」「外出自粛」といったワードが頻繁に飛び交っていた時期だった。まさに世はコロナ禍の真っ只中。そう考えると随分と早いタイミングで仮設陰圧ハウスが商品化されたわけだが、その開発はどのように進められたのだろうか?

「新型コロナウイルスの集団感染がクルーズ船で起き、その話題でニュースが持ちきりだった頃、弊社の小沼直人代表取締役社長から朝礼で"ハウスの需要が高まる"という話があり、その後、社長からアクティオならではのハウスの開発を指示され、翌日にはプロジェクトチームを発足してミーティングを開始しました」


営業企画部 片桐真人部長営業企画部 片桐真人部長


こう振り返ったのは営業企画部の片桐真人部長だ。第1回のミーティングは3月10日に行われ、メンバーはエンジニアリング事業部 環境部の東盛之部長、同事業部 建築部の猪俣鉄士部長、そして片桐部長の3名。片桐部長がアクティオならではのハウス、つまりハウス内を陰圧にできないか......と相談したところ、東部長は「できます」と即答したのだ。東部長はなぜ、即答できたのだろうか?


エンジニアリング事業部 環境部 東盛之部長。エンジニアリング事業部 環境部 東盛之部長


「過去に陽圧ハウスの開発を手掛けたことがあるため、すぐに可能だと思いました。室内にセットする集塵機の向きを陽圧ハウスの逆にすれば、陰圧になりますからね。むしろ課題は医療関係者が求める仕様とは何かを探ることでした。我々は建設関係の基準に関しては熟知していますが、医療関係は初めてだったので......」


室内を陰圧に保ち、室内の空気を浄化する抗ウイルスHEPAフィルター内蔵換気装置。室内を陰圧に保ち、室内の空気を浄化する抗ウイルスHEPAフィルター内蔵換気装置


東部長が最初に調査したのが「陰圧」の定義だった。これに関しては、米国疾病予防管理センター(CDC)のガイドラインに従えば基準を満たしていると判断できた。具体的には病室内空気圧の圧差をマイナス2.5パスカル以上に維持することが推奨されており、また換気回数を1時間に12回以上、空調機には抗ウイルスHEPAフィルターの装着が必要とされている。この他、医療関係者が求める仕様とは何か? すぐにでも医療関係者を訪ねてヒアリングしたいところだが、時期が時期だけに、どこの医療施設も関係者以外の立ち入りなど許可するはずもない。しかし、いち早く仮設陰圧ハウスを完成させ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に努めたいという想いから、3月15日の週には千葉テクノパーク統括工場で試作機の製作に着手したのだ。


仮設陰圧ハウスは完成後、陰圧がマイナス2.5パスカル以上確保されているかチェックしてから出荷される。仮設陰圧ハウスは完成後、陰圧がマイナス2.5パスカル以上確保されているかチェックしてから出荷される



レンサルティングを具現化した商品

最初に製作したのは、3.8坪タイプの「仮設陰圧ハウス」だった。自社で保有しているユニバーサルハウスをベースにしたほうが、フレキシブルに対応できると判断したためだ。3.8坪タイプは室内の陰圧化に加え、抗ウイルスHEPAフィルターを採用。床や壁を抗菌素材とし、エアシャワーをオプション装備とした。この仕様で、まずは10棟を佐野テクノパーク統括工場で量産した。


3.8坪仮設陰圧ハウス外観。3.8坪仮設陰圧ハウス外観

【左】ハウス室内 ※イメージ図 【右】エアーシャワー ※オプション【左】ハウス室内 ※イメージ図 【右】エアーシャワー ※オプション


こういった作業と並行して、医療関係者が求める仕様調査も続行。そこで分かってきたのが、必要な床面積だった。医療関係者が求める仕様を満たすためには、3.8坪では狭い場合もあると判断。そこでグループ会社のエスアールエス株式会社と協働で5.0坪タイプの開発に着手。エスアールエスが保有する5.0坪のユニットハウスは、アクティオ保有の3.8坪タイプと同様、現地での組み立てが不要で、一般的な建設現場と違い、作業員が不在の医療関係施設でも使い勝手がよい。またベースとなるワンルームタイプを製作しておけば、後から前室や間仕切りで2部屋に振り分けるなどのカスタマイズが容易に行えるのもメリットだ。


5.0坪仮設陰圧ハウス外観。5.0坪仮設陰圧ハウス外観

【左】ハウス室内 ※イメージ図 【右】アクリル板の仕切り【左】ハウス室内 ※イメージ図 【右】アクリル板の仕切り


仮設陰圧ハウスをリリースして約2カ月。今でも毎日数件の問い合わせが病院関係者から寄せられるという。「これほど長期間にわたり注目される商品は過去に例がない」と、片桐部長は語る。新型コロナウイルス感染症の脅威は、まだ終わっていないのだ。さらに片桐部長が驚いたこととは......。


「当初、3カ月程度のレンタルを見込んでいたのですが、半年、1年といった長期の契約がほとんどです。やはりワクチンが開発されないと、終息にはならないのですね。また、ひとつとして同じ仕様の注文がないのも驚きでした。医療施設によっては待合室、PCR検査室、診察室、処置室という具合に4棟使って完結させる例もあった。仕様は十人十色といった感じです」

さらに東部長は短期間で完成できた背景を、次のように分析した。

「アクティオは幅広く商品を取り扱っており、それぞれの保有台数も多い。それらを組み合わせて商品化できるノウハウ、技術力も豊富です。そこが弊社の強みなのです」

アクティオが標榜するレンサルティングは、お客様の困りごとを解決することを目的としている。仮設陰圧ハウスは、レンサルティングを具現化した代表作といっても過言ではない。


5.0坪タイプは車いす用スロープや手すりのオプションを検討するなど、リリース後も進化を続けている。5.0坪タイプは車いす用スロープや手すりのオプションを検討するなど、リリース後も進化を続けている

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